2018年11月26日(月)
今日からいよいよ大移動が始まる。
シドニーからブロークンヒル経由でアデレードまで行き、そこからメルボルンまでの行程。
総移動距離は2465km、これを丸3日かけて地上移動しようというのだから、まさしく大移動である。
ブロークンヒル・アウトバックエクスプローラーのルート。
シドニーからアデレードまで移動する方法はいくつかあるが、鉄道ならば週2回運転のインディアンパシフィック号ということになる。
ただこの列車、全車個室寝台で食事付きのクルーズトレインのため、シドニー〜アデレード間の運賃は一番安いので片道969ドル(約78,000円)と豪華価格。
とてもじゃないが無理ということで、途中のブロークンヒルまでは定期列車で行き、ブロークンヒルから先は旅客の定期列車は無いのでバスで移動ということにしたのだった。
◆ シドニー 6:18【445 アウトバックエクスプローラー】19:10 ブロークンヒル
早朝のセントラル駅は長距離列車の出発タイムである。
案内所上に掲げられた発車案内には『Booked seats only』(全車指定席)と表示された長距離列車が並ぶ。
北方向はカジノ行、南方向はキャンベラ行、そして西へ向かうブロークンヒル行である。
5時50分過ぎ、発車25分前だが4番ホームには入線している列車が見える。
ホーム入口にはオパールカードの自動改札機が並んでいるが、持っているのは出発前にプリントしてきた予約完了のEメールだけ。
見ていると、改札口の端に駅員が立って、そこからスーツケースを引いた人たちが次々と入って行く。
その駅員に「ブロークンヒル」と言うとホームに入れてくれた。
頭端式ホームの改札口。
ブロークンヒル・アウトバックエクスプローラーは、シドニー〜ブロークンヒル間を結ぶ列車で、所要時間は13時間22分、走行距離は1125kmにもなる長距離列車である。
しかも夜行ではなく、早朝に出発して夜に到着する昼間の列車というのも今どき珍しい。
料金はネットの早期割引で69.2ドル(5782円)だった。Transport NSW(ニューサウスウェールズ交通)のチケット予約フォームから直接予約・決済したもの。
通常価格では124.5ドルとなる。それでも日本のJRならば普通運賃オンリーと同水準の価格だ。
諸物価の高いオーストラリアだが鉄道運賃はなぜか安い。
定期列車ではあるが運転は週1回のみで、シドニー発は月曜日、ブロークンヒル発はその折り返しになる火曜日だけとなる。
どう考えてもこの区間の移動は飛行機が常識だ。
シドニー〜ブロークンヒル間は直行便ならば毎日1往復あって、2時間半で結んでいる。
インディアンパシフィック号と同じ路線を走るので景色は良さそうだが、夜行列車ならばともかく、朝から晩まで1日中かかって乗り通す客などいるのだろうか。
車両はエクスプローラー(Xplorer)と呼ばれる気動車が運行する。この車両は、シドニー〜キャンベラ間などシドニーと各地を結ぶ列車に使用されている。
4番ホームにはすでに3両編成のエクスプローラーが入線していた。1000kmを超える長距離列車にしては寂しい編成である。
先頭がA車、真ん中がB車、後ろがD車となる。なぜかC車はない。
A車はファーストクラス。B・D車がエコノミークラスになっている。
A車はビュッフェ(売店)もあって、一応長距離列車らしい陣容にはなっている。
1段ステップとプラグドアの入口。
ホームには売店もなく、ビュッフェに商品の積み込み作業が行われている以外は近郊列車のムードと変わりない。
特に旅立ち前という雰囲気もなく、列車を撮影して車内に入る。
B車とD車のエコノミークラスは回転リクライニングシートが並ぶ。
日本の在来線特急クラスといったところ。
ファーストクラスも覗いてみたが、エコノミーとあまり変わらない。違うのはシートピッチだけのようだ。
発車20分前、座席は3分の1くらいが埋まっているが、まだ空席が目立つ。
この間に車内の写真を撮る。
客室の前の方は、子供たちと引率らしい大人たちのグループが乗っている。小学校の遠征といった感じ。
回転リクライニングシートが並ぶ客室内。
13時間以上も身体を預ける座席。
デッキにあるトイレ。
洗面所兼用のトイレ。
6時を過ぎたころから、乗客が1徐々に増え始め、発車する頃には8割方の席が埋まる状態となった。
この列車は、長距離列車の発車時刻としてはかなり朝早い。しかも月曜日だけ運転の週1列車とあっては、がら空きなのではないかと思っていたので意外だった。
ブロークンヒルまでの時刻表。ブロークンヒル着時刻は東部時間では19:40になる。
6時18分、定時発車。
ブロークンヒルまで長い旅がスタートする。
セントラル駅を発車すると、通勤駅を次々と通過する。どの駅も、いかにも通勤客という人たちが並んでいる。いかにも月曜の朝といった感じがする。
まだ6時台だが、ホームは通勤客が目立つ。パラマッタ駅停車中。
発車して12分で最初の停車駅、ストラスフィールド(Strathfield)で、ここで隣人が乗ってきた。
相席とは窮屈だがしょうがない。
パラマッタ、ブラックタウン、ペンリスとしばらくはシドニー近郊の駅に停車し、空席もだんだん埋まってきた。
7時を過ぎたころ、車掌が検札に回ってきた。
私はEメールのプリントを見せるとOKだった。
隣人はスマホの画面を車掌に見せ、なにやらやり取りしている。そうしているうちに、隣人が荷物を持って別な席へ移っていった。座席指定をしていない客だったのだろうか。
とにかく、相席じゃなくなったのはありがたい。
それにしても皆どこまで行くんだろうか。
私みたいな鉄道ファンでもなければ、終点まで13時間以上も乗り通す人などそうはいないと思うのだが。
車内の乗客層はというと、件の小学校グループのほかは、学生っぽい若者からミドルエイジ、年配者まで多岐にわたる。
ビジネス客は皆無、観光客という感じでもない。海外旅行客っぽい人もいないようだ。
私が海外旅行客だが、荷物は小さいバックパック1つだけなので、とてもそういう風には見えないだろう。
中国人もいない、ていうか東洋人は私だけのように見えた。
沿線には都市と呼べるような大きな町もなく、ニューサウスウェールズ州をひたすら西へ西へと向かうこの列車。沿線の人たちには週1だけの貴重な列車なのかもしれない。
ちょっと帰省とか、シドニーに出てきてその帰りとか、そういう印象の人ばかり。
車内の雰囲気を、しいて表現させてもらえばこうなる。
ローカル急行列車。
セントラルから1時間41分でカトゥーンバに停まる。
ここで、年配の女性4人連れが乗ってきて、通路を挟んだ空席に座った。車内はの席は9割方埋まった状態。3両編成とはいえ、なかなかの盛況だ。
ここまでは昨日ブルーマウンテンズに行った時と全く同じ路線だったが、ここから先は初乗車。ちょっとワクワクする。
ブルーマウンテンズ、そしてグレートディバイディング山脈という、オーストラリアの山岳地帯を越えるための上り勾配と急カーブが続く。列車は50〜60km/hで唸るように進む。
マウントビクトリア駅を通過すると、ここから下り勾配になったのかスピードが上がり始めた。
ジグザグ鉄道(ZigZag Railway)のアーチ橋。
リスゴー(Lithgow)はセントラルから1時間21分。
セントラルからの近郊電車ブルーマウンテンズラインの終点となる駅だ。
リスゴー駅はセントラル駅から156km。ブルーマウンテンズラインの終点。
リスゴー駅ホームの発車案内。
リスゴーからは非電化区間になる。
ここから山岳区間も終わったようで、直線区間ではスピードも結構出て、スマホで測ったら130km/h以上は出ているようだ。
さっき検札の車掌がゴミ袋を持って車内を回る。車掌はもう1人乗務していて、そっちはビュッフェの店員をしているようだった。
たまに駅が現れて通過するが、停車する列車が無くなってしまったのか、どの駅も廃駅のように朽ちている。
保線基地になっているのか、オレンジ色の作業着姿の保線作業員をよく見かける。
ランクル改造の保線用軌陸車?
だんだん大陸的な車窓になってきた。
リスゴーから平坦になったと思われたが、しばらくするとまた線形が悪くなりスピードが落ちる。
ずっと起伏の多い丘陵地帯が続いて、その地形に沿うように右に左に軋みながら曲がりくねる。
だんだん平坦になってきたころ、コンテナの貨物ヤードが見えてきた。
コンテナヤードと貨物駅。こちらの方が鉄道の主役。
バサースト(Bathurst)は、セントラルから3時間29分。
ブルーマウンテンラインの近郊電車扱いのバザースト・ブレット(Bathurst Bullet)と呼ばれる2両編成の気動車が、この駅まで1往復のみシドニーから乗り入れている。
そのため、バザーストまでがシドニーの近郊駅という扱いのようで、この列車の時刻表にはシドニーからバザーストまでの各駅は『予約した方だけ乗車できます』との意味の記号が付けられている。
オーストラリアの鉄道には、急行や特急といった種別はなく、全車予約制ということで、近距離客と中長距離客を分けているようだ。
バサーストは人口3万5千人。19世紀のゴールドラッシュで発展した町で、中心部は当時の華やかな建物が多く残っているという。
車内から見ても立派な駅舎は1876年建築で、ニューサウスウェールズ州遺産登録にもなっている。
バサースト駅。セントラル駅から240km。
バザーストでも1人か2人入れ替わったくらい。特に車内に動きはないまま発車する。
この時点で7分遅れ。日本じゃないので定時運転を期待してはいけないとわかっているが、できればあまり遅れないでほしい。
ここから先の列車は、週1のみ運転のこの列車のほかは、ダッボー(Dubbo)まで行く毎日運転の列車の2本だけとなる。
線路は単線になっていた。列車は相変わらず丘陵地帯を曲がりくねりながら進む。
この辺は牧草地が多い。牛が放牧されていたり、ポプラの木が並んでいたり、どこか北欧的な眺めが続く。
くねくねと羊腸の道が続く。
なだらかな丘陵地帯を行く。
乗客は地元の人ばかりのようだった。
放牧の牛の群れ。オージービーフになるんだろうか。
ポプラが並ぶ、どこの北海道っていうような風景。
オレンジ(Orange)はセントラルから4時間41分。ここまでで全行程の約3分の1となる。
人口は約4万人の町。シドニーを除くアウトバックエクスプローラーの沿線では一番大きな町である。
ここで初めてまとまった下車があった。カトゥーンバからの4人連れもここで降りる。9割くらいだった乗車率は7割くらいになった。空列の席もできたが、オレンジから乗ってきた人もいて、また席はふさがった。
シドニーからここまではメイン・ウェスタン線(Main Western Line)という路線で、ダッボーへと続くが、こちらはオレンジからはブロークンヒル線(Broken Hill Line)という路線に入る。
ここまでは、この列車の1時間後を走っているダッボー行毎日運転の列車があるが、この先は週1運転のこのアウトバックエクスプローラーが唯一の定期列車になる。
立派な上屋があるオレンジ駅。セントラル駅から323km。
11時07分、発車する。定刻は10時59分なので8分遅れ。ずっと7〜8分の遅れを引きずっている。
それはともかく、動き出したのは反対方向。
地図を見ると、ブロークンヒル線はこれまでの進行方向とは逆向きに分岐していて、オレンジ駅ではスイッチバックとなるようだった。
車内の誰もは座席を転換する様子もなく、やれやれ、ずっと後ろ向きと思ったら、駅構内を過ぎたあたりで停止した。
と思ったら、また元の進行方向へ発車する。またオレンジ駅へ戻るでもなく、列車はそのまま走り続ける。
???・・・
しばらくして気付いた。
ブロークンヒル線の分岐は三角線になっていて、オレンジ駅手前の分岐点までバックしてから改めてブロークンヒル線に入ったということだった。
ずいぶんと手間のかかることをするものだが、スイッチバックではなくなったのでとりあえず良かった。
だいぶ車内も落ち着いたので、ビュッフェへ行ってみる。
ビュッフェと言ってもテーブルがあるわけではなく、要するに売店である。
座席のマガジンラックにはビュッフェのメニュー表が置いてあるが、カウンターには表示はなかった。
ガラスケース越しに並んでる商品を直接取ってもらう方式らしい。
カウンターの脇にLunch(ランチ)と手書きのメニューがあったので「ランチ」と言ってみた。
いくつか種類があってこの中から選べということらしい。
英語なのでどれが何だかわかるはずもなく、Beefの文字があった品を指さして「ビーフ」と言った。
値段は9.5ドル。
クレジットカードを渡すが、機械で読み取りができず、現金で払う。
伝票のような紙を渡された。
さっき車掌がこの伝票の綴りをもって「ランチ」と言いながら回っていたのはランチの注文取りだったのか。
出来たら呼びますからみたいなことを言われ、席に戻る。
8割方の席が埋まったエコノミークラス。
ランチと引き換えの伝票。
30分くらいしてから車内放送があった。
車内の何人かがビュッフェへ向かう。どうやらランチができたようだ。
ランチを受け取りにビュッフェへ。
伝票と引き換えに段ボール箱入りのランチを受け取る。
ドリンクはビールでも買おうかと思ったが、1缶7.5ドル!
炭酸水のペットボトルを持ってきてたので、ドリンクはそれでいいや。
箱入りのランチ。パンとバター付き。
で、9.5ドル也のランチ。
いかにも冷凍をチンしましたという容器入りのランチボックスに、小さなパンとバターが付いていた。
オリエンタルビーフと言う名の料理らしい。
牛肉の甘辛煮といった感じ。それにボソボソのライス、茹でたインゲンが添えられていた。
うーん、選択を間違ったか、それともどれも似たようなものだったのか。
まあ、物は試しといったところか。
それ以上は追及しません。
これがオリエンタルビーフ。お味は・・・
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