2018年北海道胆振東部地震の停電記

◆ 2018年北海道胆振東部地震について、私自身の体験を残しておきます。

2018年9月6日午前3時7分、それは起こった。

ベッドで眠っていると揺れを感じて目を覚ます。
地震だとすぐにわかったが、揺れは収まるどころかだんだん強くなった。
これまでに経験したことのない強い揺れだった。

「これはすごい地震だ」とつぶやいてベッドのパイプを掴んでいた。

これだけ大きな揺れは、2011年の東日本大地震以来と思うが、それよりも大きな揺れだった。
部屋を明るくしてテレビをつけると地震速報をやっていた。

震源は苫小牧の北東にある厚真町とのこと。最大震度は6強(後に7に訂正される)。
札幌市中央区では震度4となっていた。あの揺れは4じゃないぞと思うが、部屋を見ると特に倒れたり落ちたりしたものは無かったので、やっぱり4だったのかもしれない。
同じ市内でも、北区は震度5となっていた。

とにかく、札幌は地震の少ないところで、もう何十年と札幌市民をやっていると、ちょっとした地震でも大げさに感じてしまう。
それでも今回の揺れは今までに経験したことのないものだった。

その後も、余震なのか地震が何度も繰り返し起こる。最初ほどではないが、そのたびに戸やふすまがバタバタと音を立てる。

トイレへ行き、しばらくテレビで地震速報を見ていたら突然真っ暗になった。停電だ。時刻は3時半ごろ。
地震発生から20分ほどして停電したことになる。

窓から外を見ると、普段は立ち並ぶマンションの夜景が見えるが、どこも真っ暗だった。あたり一帯停電らしい。
ちらほらと弱い明りが見えるが、マンションの廊下などに灯っている非常灯だろう。

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 停電で真っ暗になった夜景。

停電もしばらくすれば復旧するだろうとこの時思っていた。
ベランダへ出て空を見上げると、雲の合間にはきらびやかな星がたくさん見えた。
こんな星空を見たのは去年出張で行った知床、その前はもう何年も前だが美幌峠で車中泊したとき以来だ。

札幌の中心部ちかくでこんな見事な星空を見ることなんて今日くらいしかないぞ。
しばらくベランダで星空に見とれていた。

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 札幌の夜空に光る星空。肉眼では画像よりももっと多くの星が見えた。

停電もそのうち収まるだろうと、またベッドに横になった。
ひと眠りして目を覚ますと、こんどは外が明るくなっていた。
6時、依然として停電中。

水道の蛇口をひねるが水は出ない、断水。
もともとの水道が断水しているのか、マンションの水道ポンプが停電のため動かないためか不明だが、とにかく水は出ない。

スマホでインターネットを見ると、どうやら全道で停電中らしい。地下鉄、市電、JRともに停電のため運休とのこと。
これは長期戦かなと思い始める。

あり合わせのもので朝食。お湯はポットの残り湯があったし、この時点で特に困ることはなかった。

大の用は、トイレのタンクにあった水で流し切った。地震の後すぐにトイレに行っておいて正解だった。

8時前に会社から本日出勤停止との連絡あり。
私は歩いて行けるが、地下鉄もJRも止まっているのではそうなったのだろう。

携帯ラジオがあるのを思い出し、スイッチを入れると放送が入った。
停電は厚真町にある火力発電所が停止したために連鎖して全道の火力発電所が停止したということだった。
信号機もほとんどが消灯して、主要な交差点では警官が交通整理をしているとのこと。
大規模な土砂災害もあったらしい。

スマホのバッテリーも現在65%。昨日寝る前に充電しておけばよかった。
スマホはワンセグ機能もあるが、バッテリーを温存させるために極力使わないようにする。しばらくは携帯ラジオだけが情報源となる。

これは停電復旧まで昼くらいまでかかるだろうかと思った。
水は2Lのペットボトルに水道水を入れて冷凍してある。別に非常用というわけではなく、暑いときに氷柱代わりにするので冷凍しておいたものだ。こんなところで役に立つとは思わなかった。

家にいてもラジオを聴くくらいしかなく、外の様子を見に行く。

なるほど、信号機は消灯している。
車はどちらが優先ということもなく、譲り合って通っているようだった。

近所のコンビニは、表に長い行列ができている。停電なので店内は真っ暗。
混乱しないように何人かずつ区切って店内に入れている。
レジも使えないので、手売りで対応していた。

店からは飲み物やカップ麺がたくさん入った袋を下げた人が出て来る。
そんなにカップ麺買いこんで、今日中にそれ全部食うのかよ、と突っ込みたくなるような人多し。

ここは札幌の、しかも都心近くだぜ〜、停電ったってせいぜい今日か明日くらいなもの。どうしてこうも買いだめに走るのか。
行列を見ると並ばなきゃ、カラが目立つ陳列棚をみると、とにかく買っておかなきゃという心理のまま動いているのだろう。

こういう時に一番必要なのは心の余裕である。

まず冷静にならなきゃ。
どう考えてもカップ麺の確保よりも、自分ちの冷蔵庫でしょ。冷蔵庫の中の食品が傷む前に食べてしまうのが先だと思うのだが。

こういう人に限って冷蔵庫の中は買いだめした食品で一杯だったりするものだ。

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 消灯した信号機と、行列ができるコンビニ。

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 スーパーも開店を待つ人の大行列が。

電車通りは、都心方向へ歩く人がいつもより多い。市電も地下鉄も止まっているので、職場まで徒歩で行くのだろう。

中島公園は枝や葉がたくさん散らばっている。倒れている木もある。
そういえば昨日は台風が来たんだったなと思い出した。
昨日の台風今日の地震である。
なんだか、昨日の台風が先週や先月の出来事のように思えた。

家へ戻る途中、水道局の人がマンホールを開けて水道の蛇口を取り付けていた。非常用の給水施設となるようだ。
停電だが、水道は普通に供給されているのだった。

これ幸いと家へもどり、バケツと保存瓶をもって水を汲んでくる。

マンションは停電でどこも断水状態のようで、これを知った近くの人たちが続々とポリ容器やバケツを持って集まってきた。

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 南11条西7丁目の臨時給水所。

とにかく今日1日の飲み水とトイレ1回分の水は確保できたので、お湯を沸かしてお茶を入れる。
ガス(都市ガス)も普通に供給されていた。

ラジオを聴きながら、お茶を飲んでいたら電話がきた。

友人からスマホのバッテリーが切れそうなので、車で充電させてほしいとHELP。
しょうがねえなあと車を出す。

道路はどこの交差点も信号は消灯中。信号が稼働している交差点や警官が整理に当たっているところもあるが、主要交差点だけ。
運転していて無茶苦茶怖かった。

それでも事故は見かけなかった。
自分もそうだが、どの車も細心の注意を払って、また譲り合って運転しているからだろう。

こんな日だが、郊外の幹線道路は交通量がいつもより多かった。
市内の学校は一斉に臨時休校になっているし、仕事が休みになった人も多いだろうから、停電の家にいても仕方ないので出てきたといったところだろうか。

カーラジオでは、水力発電所から火力発電所に電気を送って再稼働する準備をしているという。数時間後には復旧する目途を決めるとのこと。

「こりゃあ今夜は停電のまま夜明かしかねえ」
などと話をする。

シガーソケットにUSB変換ソケットを突っ込んで、30分ほどで充電完了。
自分の分の充電コードも持って来ればよかった。失敗した。

昼飯でも奢ってもらえば良かったのだが、飲食店はどこも閉店してるし、開いている店はどこも大行列。
友人を家近くまで送って、自分も自宅へ戻る。

部屋に戻ろうとしたが、ラジオを聴くくらいしかすることもないので、歩いて都心へ行ってみることにした。
さっき水を汲んだ給水所は長蛇の列。気づいたときに汲んでおいてよかった。

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 いつもより人通りの多い駅前通り。 

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 4丁目三越前の交差点。信号機は消灯し、車もたまに通りすぎるだけだった。

中島公園からすすきの〜札幌駅と歩いてきた。
デパートもテナントビルもどこも今日は営業していない。飲食店もどこも閉まっている。

どういうわけか休日のように人が多い。
家にいてもしょうがないし、とりあえず出てきましたみたいな。

逆に郊外と違って車は少ない。会社も店もやっていないし、大体駐車場も休止中なので駐車するところもないからだろう。

何だかヨーロッパの日曜日の雰囲気を思い出した。
あちらでは日曜日はデパートを含めほとんどの店が休みになる。それでも人だけはやたらと出ている。

あと自転車が多い。
交通機関が全くない状態なので、自転車が大活躍といったところ。

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 大通公園とテレビ塔。お馴染みの電気時計は消灯している。

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 北1条西4丁目の交差点。ここは警官が交通整理中。

札幌駅までやって来た。
ここも動いている列車は1本も無いが、動き出すのを待っている人が大勢集まっていた。

コンコースはここだけ電気が復旧したのか明るくなっている。
壁際には途方もなく座り込んでいる人が多い。

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 薄暗い札幌駅ステラプレイスの通路。

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 全列車運休中だが、駅には多くの人がいた。西改札口前。

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 西改札口と真っ黒の発車案内パネル。

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 3時過ぎに全列車終日運休が決まった。

駅構内は照明こそ灯っているが、売店はすべて休業、自販機も止まっている。
駅近くのコンビニも閉まっていて、駅では何一つ手に入らないようだった。

と思いきや、エスタのバスターミル内の自販機は停電でも稼働していた。
お金を入れてボタンを押すと普通に商品が出てきた。

バスの発着は無いが、ターミナルは開放されているが中は真っ暗なためここを通る人も少ないし、まさか自販機が動いているとはだれも思わないだろう。
こういう災害時対応の自販機は確かにあちこちにあるようだ。

だけど今日の状況でこれが知れ渡ったら、あっという間に自販機を取り囲んで大行列が出来、すぐに売り切れるだろうな。
私も内緒で水1本だけ買って後にする。

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 停電の中稼働していた自販機。気付く人はほとんどいなかった。

都心はとくに混乱も見当たらず、いつも以上に静かな休日という感じがした。

あと目立ったのは、歩道にたむろする外国人観光客。
停電と断水ではホテルの部屋にいるのもままならず、外へ出るしかない様子だった。

また歩いて家へ戻る。

近所の惣菜屋は店先にテーブルを並べて弁当の販売を始めた。
1折千円。どんだけぼったくるんだよと思ったが、あっという間に人が集まって売り切れになった。

さて、今日の夕食は。
実は来週は出張週ということで、食料はなるべく使い切るようにしていたので、家には買い置きがほとんどなかった。

それでも冷凍庫には弁当用の冷凍ご飯と冷凍食品、冷凍魚などがあるのでそれを食べてしまおう。
停電してから冷蔵庫は開けないようにしていたので、冷凍庫のものは半解凍くらいの状態を保っていた。
冷凍したペットボトルも保冷材の役割を果たしていたようだ。

洗い物が出ないようにフライパンにアルミホイルを敷いて加熱する。

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 冷凍庫にあった塩サバを焼く。

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 こちらは冷凍のから揚げ。これもフライパンで。

紙皿にアルミホイルを敷いて食器にする。
まあなんとかそれらしいものが出来あがった。

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 本日の夕食、ていうか酒のつまみ。

ランタンの明かりをつけ、ラジオを聴きながら夕食というか晩酌。

ラジオでは、厚別区や手稲区のほうでは電気が復旧したとの情報もあり。
ここも今夜中には停電が解消するのかな。

停電時はカップ麺やレトルトよりも、冷蔵庫の食品を食べてしまう方が先。

ラジオを聴いていると、停電だからと庭でバーベキューをしていた家もあったとか。肉を腐らしてしまうよりは賢い選択だろう。

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 藻岩山の向こうに日が沈み、一番星が現れる。

6時半も過ぎれば外もだいぶ暗くなってきた。
依然として停電中。ラジオではあちこちで停電解消の情報が流れてくるが、こちらはさっぱりだ。
郊外のほうを優先して復旧させてるんだろうか。

テレビも見れないしパソコンも動かない。
もうラジオも飽きてきたし、こんどは懐中電灯を持って外に出てみる。
トイレもなるべく外で済ませてきたいのもあった。

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 道路は車のヘッドライトだけが唯一の明かり。中島公園通電停。

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 南4西4すすきの交差点。ここは発電機で信号機が稼働。

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 真っ暗な駅前通り。いつもは昼間のように明るいのだが。

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 4丁目三越前。車が途切れると真っ暗になる。

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 車が通らない狸小路アーケード内は真っ暗闇。

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 すすきの交差点。ネオンの消えた滅多にない風景をスマホで撮る人も多い。

9時半頃家に戻ってきたが依然として停電中。
中央区も桑園のほうじゃ電気がついたという話。そろそろこちらも復旧するのだろうか。

またベランダで星を眺めて過ごす。

11時過ぎ、ラジオをつけたまま寝ることにした。
結局起きているうちに停電が解消することはなかった。


9/7(金)

未明、突然明るくなって目を覚ます。3時50分ごろ。
ようやく電気がついた。
トイレのタンクには水の溜まる音がする。

テレビがついた。この時間から災害の特別番組をやっていた。
清田区や厚真町の被害はラジオやインターネットで知っていたが、初めてテレビの映像で見た。 

電気と水のある生活がなんとありがたいことか。
まずはシャワーを浴びて、洗濯をする。
また停電するかもわからないので、バケツと保存瓶に水をためておいた。

地震から丸24時間の停電と断水だったことになる。
自分の周りには被害らしいこともなかったし、今となっては貴重な体験だったといえる。

あと、これが冬じゃなくて本当に良かった。

まだ市内の停電は完全復旧とはなっていないようで、地下鉄と市電は始発から運休。
今日も出勤停止との連絡が会社からきた。

停電も徐々に解消しているようで、市電は10時51分から、地下鉄は14時20分から運転開始となった。
コンビニは昨日のうちに品切れになったのか閉まっているところが多い。
近所のスーパーは店内には入れず店頭販売のみ。

これも日ごとに解消されるのだろう。


◆ 長時間停電を経験して

まる24時間にわたる停電と断水を経験したわけですが、この経験で停電や断水時に必要だと感じたものを挙げてみます。

 ◆ うちにあったもので役立ったアイテム
・懐中電灯
・携帯ラジオ
・ランタン
・電池
・冷凍ペットボトル
・紙皿
・アルミホイル
・保存瓶(飲み水貯水用)
・バケツ(トイレ水貯水用)
・空きペットボトル(水を注いで手を洗ったり)

まあこれも、キャンプや車中泊をする趣味があったからたまたま持っていただけで、別に威張れた話ではありませんね。

特にラジオは、信用できる情報源として非常に重要です。
スマホでもワンセグとかラジコがありますが、バッテリーのことを考えたらそうそう使うわけにもいきませんしね。
SNSの情報など参考程度にはなるけど、惑わせる情報ばかりでうんざりします。

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 とりあえず役に立ったアイテム。

 ◆ 今回なかったがあると良かったアイテム
・モバイルバッテリー(今回の騒動が収まったら買いに行きます)

あと、今回はガスがきていたので必要ありませんでしたが、カセットコンロがあるとお湯を沸かしたり簡単な調理ができるので便利です。私はアウトドア用のを持っているので、それを使用します。

非常時の定番であるカップ麺や缶詰、非常用飲料水なんかもあればいいんでしょうけど、水は水道水をペットボトルに入れて、たまに入れ替えたもので十分だし、食料はまず冷蔵庫のものを痛む前に消費するのが先です。

備えあれば憂いなしという諺がありますが、非常事態に備えてそのためだけの物資を常備するよりも、普段使用している物が非常時にどういう役に立つのかを考えておくのが本当の備えだと感じました。

ことが起こってからコンビニに走るのは、はっきり言って愚の骨頂。

冷静になれ。

災害時に一番大事なことは、まずこれです。

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 当分は停電に備えて水を蓄えておくことにした。

最後になりますが、今回の北海道胆振東部地震で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

拙い記録ですが、お読みいただきましてありがとうございました。

タグ:災害 札幌

posted by pupupukaya at 18/09/08 | Comment(0) | その他
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