呑み鉄 イン・ザ・札沼線2

 ◆ 石狩月形 20:19 【5434D】 20:48 北海道医療大学

再び石狩月形駅から。

こんどの折り返す列車は浦臼始発の列車で、上りの最終列車となる。

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 改札口にある石狩月形の駅名板。

改札口のところには『次の改札 石狩当別行』の札が下がっていた。
改札業務はしていないが、ホームに入る際は入場券が必要の旨の表記もあった。

助役帽の駅員が出てきて、「列車に乗りますか?」と訊かれたので「はい」と答えると、『次の改札』の札を『改札中』のほうに裏返した。

何だか、妙なところで律儀な駅だな、という印象だった。

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 ホームにはさっき乗ってきた車両が停車している。

さっきの駅員がカンテラを持って立つ。
ここでタブレット交換があるからだ。もう道内でもここだけになる。

これで車両がタラコ色だったら国鉄時代の風景だろうな。

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 上り列車が接近。

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 ホームに並んだ列車。右が回送、左が石狩当別行。

浦臼始発の上り最終は、石狩月形で8分停車する。
さっき乗ってきた車両をここで連結して2両になって戻るんだなと思っていたが、一向に連結作業をする気配は無い。

ホームへ行くと、さっき着いた車両には『回送』と表示されていた。
別々に戻るんだな。

まあ、ここで連結すると石狩当別でまた切り離さなければならないので、却って手間になるのだろう。

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 石狩月形の駅名標。

こんどの列車は乗客ゼロで到着した。
乗るのは私とさっき石狩金沢で乗ってきた人だけ。
実質乗客ゼロの列車ということになる。

これも予想通りということではあったけど。

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 明かりが照らすホームで、しばし発車を待つ。

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 上りはキハ40 819が務めます。

札沼線の気動車は、サボ受けに『学園都市線』のシールを貼った専用車両が使われているが、今日のは一般型の車両だった。
しかも原型エンジンの車両だった。

エンジンをめい一杯ふかしてからノソ〜っと動き出すのがこのキハ40形の特徴だった。
今は強力型のエンジンに換装されてそんなこともなくなったが、まだこんな車両が残っていたのか。

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 青いボックスシート。

札幌駅のキヨスクで買った金滴をまた飲む。
こんどは夜行列車の雰囲気で行こうか。

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 こんどはチータラで飲む。

ボックスシートの夜行といえば思い出すのが、ひとつは急行利尻の自由席。普段はリクライニングシートのキハ400形だが、多客期の増結車にはボックスシートのキハ56形が連結された。
青いボックスシートで、しかもニス塗りの板張りの床。冷房無し。
お世辞にも綺麗には見えず、一般の乗客からは敬遠されていたようで、いつもがら空きだった。

もう一つは快速ミッドナイト。札幌〜函館間を夜行で結んでいた快速列車で、普段は全車指定だったが青春18きっぷシーズンだけ2両のキハ56が連結された。
夏休みシーズンなどは満席ということもあったが、それ以外はがら空きだった記憶しかない。

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  ありし日のキハ56のボックスシート。

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 木の床だったキハ56。1995年、快速ミッドナイトの自由席にて。

さらに古くは旧型客車ということになるのだろうが、それは私よりさらに上の世代ということになる。

そんなボックスシートに陣取って、ウイスキーの小瓶とチェイサーの水かお茶を置いてチビチビ。
当時吸っていた煙草の煙をプハ〜と吐き出せば、至福のひとときだった。まだ20代のころ。

煙草は20代のときにやめたが、酒は相変わらず飲んだくれている。

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 北海道特有の二重窓。

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 冬バージョンにした状態。

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 小物は置けるが、揺れがあると落ちそう。

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 金滴はうまい酒だなあ。

暗闇で景色は見えないが、ガタンゴトンと響くジョイントの音も楽しい。
ときどき音の間隔が短くなるが、30kgレールという軽量の短尺レールを使用しているためだ。
通常のレール長は25mとなっているが、この30kgレールの長さは10mで、それで音が短くなるのだ。

もともと札沼線は簡易線という規格で建設された路線だった。
簡易線とは、軸重11トン、最高速度は45kmという線路幅こそ他の国鉄線と同じだが、それ以外はほとんど軽便鉄道並みの規格の路線である。
のちに気動車に限り最高速度は65kmまでとなった。

軸重11トンとはどういう規格かというと、機関車はDD51形はもとより支線用のDE10すら入線できないのである。
蒸気機関車のころはC12などが入っていたが、ディーゼル化されると簡易線用のDD16がわざわざ製作された。

大正や昭和時代の、幹線の輸送力アップよりもとにかく路線を拡充することを優先した時代の産物だった。
その旧簡易線はローカル線に多く、ほとんどは廃止になっているが、現在残っているのはこの札沼線と日高本線の富川〜様似間となる。

中でも30kgの短尺レールが残っているのはこの札沼線北部だけだろう。
国鉄末期の民営化を直前にした設備投資で、多くの線路は50kgレールに交換された。

このときレールが交換されなかった路線があって、それは特定地方交通線として廃止予定路線となっていた線はさすがに対象外だった。廃止予定ではないが、深名線、札沼線北部も対象外とされた。

深名線は当時から廃線が噂されていたし、他の路線がワンマン化されてもずっとワンマン化されなかったので、どうせ廃止するのでワンマン化の設備投資をしても無駄になるからだと思っていた。

札沼線北部も深名線と同じような扱いで、これも廃止にするんだろうなと思っていたが、深名線廃止後にワンマン化された。

よくぞ今まで残っていたなというのが正直思うところだ。

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 本中小屋に停車。学園都市線の表記が似合わない。

列車は各駅停車で律儀に停車するが、どの駅も乗降ゼロ。

石狩金沢で件の人が下車した。
これからどうするんだろう。
ホームと待合室こそ照明があるが、それ以外は真っ暗闇である。

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 石狩金沢に停車。乗り鉄らしき人が降りていった。

駅前の暗闇のなかに1台の車が見えた。
どうやら車で来て、石狩月形まで往復したようだ。

私も駅に車を駐車して、ローカル線にチョイ乗りというのはよくやる。

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 ワンマン列車なので現金払い。

本当は石狩月形駅できっぷを買って、札幌駅の改札口で無効印を押してもらって持ち帰るつもりでいたが、きっぷを買えなかったので北海道医療大学駅で現金を払って降りる。

次に乗り換える札幌行の始発は北海道医療大学というのと、もう一つ魂胆があってのこと。

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 デッキにある運賃表示器。

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 運転台と運賃箱。

北海道医療大学駅のホームはこんな時間でも学生が10人くらいホームに立っていた。
当別までの客ならばこの列車で帰るのだろう。

運賃箱のフタが閉じられていて、降りる人がいると気付いたようで運転士が出てきた。

「ここで降りるんですか?」

と言われ、向こうに停車している電車を指さして、

「あれに乗ります」
「それでしたら、着いた駅で・・・」
「あ、いや、札幌までだから、ここで払った方が安くなるので」
「あ、そうでしたか、ありがとうございます」

と石狩月形からの整理券と360円也を渡した。

そうなのだ。
実は、札幌〜石狩月形間の運賃は通しで買うよりも、札幌〜北海道医療大学北海道医療大学〜石狩月形と2区間に分けた方が安くなるのだ。

・札幌〜石狩月形 1070円

・札幌〜北海道医療大学 640円
・北海道医療大学〜石狩月形 360円
 ・・合計 1000円

このように北海道医療大学で一旦降りると、通しより70円安くなる。

こういう区間はほかにもあって、例えば札幌〜余市間の運賃は1070円だが、これを小樽で降りて買い直したほうが70円安くなる。
直通列車が無いか少ないために、必然的に乗り換えが発生する場合は実用的な買い方だ。

これが、札幌〜新千歳空港間は1070円、これも恵庭で一旦降りて買いなおすと1040円となり30円安くなるが、僅か30円のために恵庭で一旦下車する人はまずいないだろう。

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 医療大の学生が乗り込む。

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 赤いランプの列車は去って行った。


 ◆ 北海道医療大学 21:04 【2642M】 21:54 札幌

石狩当別行の1両の列車を見送って、ホームにある券売機で札幌までの乗車券を買う。
この駅は無人駅だが、待合室内にセイコーマートがある。
場所柄、駅利用の学生が対象である。

営業時間は20時まで、すでに閉店していた。

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 駅ナカにセイコーマートがある北海道医療大学駅。

ほかに行くところも無く、今度は札幌行の電車に乗る。
元エアポートの6両編成。uシートもそのままで、快速エアポート運用以外は普通車として開放している。

さすがに人気で、他は無人の車両ばかりなのに、この車両だけ乗客が集まっていた。

もう1本ワンカップを持っていたので、この電車内で飲んでいくつもりだ。
人の多いuシートだと居心地が悪い。

前のほうの普通車に乗る。

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 人気の無料uシート。

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 転換クロスシートの普通車。

無人の車内。とりあえずは貸し切りである。

座席を向かい合わせにしてボックスシートにする。
青いボックスシートはノスタルジックで良かったが、純粋な座り心地ではこちらが上だ。

こんどは青いラベルのワンカップを出す。
さっきと違って、今度は通勤電車。

クロスシートとはいえ、いささか罪悪感のようなものが・・・

まあ、そこが呑み鉄の楽しいところでもあるが (^^;

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 こんどはワンカップで飲む。

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 前の座席と向かい合わせにすればuシートよりも快適。

発車すれば次は石狩当別。ここで5分停車となる。
ここからこの車両に乗ってくる人もなく、しばらくは貸し切りで過ごせそうだ。

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 札幌からの電車が到着した石狩当別駅。

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 ワンカップのフタは滑り止めのコースターになる(裏ワザ)

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 紳士シャツの胸ポケットは、おつまみを入れるためにあるのです(嘘)

あいの里教育大でこの車両にも乗客が乗ってきた。
仕事帰りという人ばかり。

私の格好はどこからどう見ても酔っ払いだが、金曜の夜だし、勘弁してもらおう。
札幌市内に入ると、どの駅でも乗り降りする人があって、すっかり通勤電車だ。

夜汽車の気分もこのあたりでおしまいになる。

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 札幌に戻ってきた。

札幌を18:45に出発して、戻ってきたのは21:54。3時間ちょっとのミニ旅行だった。

ここまでかかったお金は3千円と少し。
たまにはこんな飲み方もいいなと思った。

とはいえ、乗客の少ないローカル列車と目星をつけてのことで、私みたいな人がたくさん現れたらそれはまた困ったことになるだろうな。

廃止がほぼ確定した札沼線。
これからは名残乗車客が増えるだろう。

静かに乗車できるのも、今のうちかもしれない。

 最後までお読みくださいましてありがとうございました。

【かかったお金】
JR 札幌〜石狩月形 1070円
JR 石狩月形〜医療大 360円
JR 医療大〜札幌 640円
金滴2本+ワンカップ 753円
おつまみ2つ+おにぎり 474円
 合計・・・・・・3297円

おわり


posted by pupupukaya at 18/06/30 | Comment(0) | 北海道ローカル線考
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