新千歳空港新線のルートを予想する

現在、快速エアポートは札幌〜新千歳空港間を15分間隔で運行しているが、ここ数年、混雑がひどくなってきている。

全区間満席、新千歳空港駅は列車が着くたびにホームや階段、改札口に大勢の降車客があふれるという昼間でもラッシュのような光景が見られる。

実際、新千歳空港駅の乗客数もここ数年前からうなぎ上りに増えていて、2016年度にはJR北海道の駅としては札幌駅に次いで2位の乗客数の駅となった。

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 混雑する新千歳空港駅コンコース。

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 狭いホーム。ここにスーツケースを引いた降車客が殺到する。

これだけ混雑しているのだから、列車の増発か車両の増結で対応すべきところなのだが、新千歳空港駅の制約があって、そのどちらもできないのである。

まず、南千歳〜新千歳空港間は単線ということ。これが増発を難しくさせている。
もう一つは新千歳空港駅のホームの問題。6両編成対応の1面2線(幅8m長さ130m)のホームでは、6両以上の列車が発着することは不可能だ。

駅を改修すればいいのだが、地上駅ならともかく地下駅とあっては大工事になってしまう。
快速エアポートの増発や車両増結はもう何年も前から言われていたことだが、このような事情から難しいのが現状だった。

そんな中、新千歳空港アクセス鉄道の抜本的な改良案というものが報じられた。
JR北海道は近い将来には路線も大幅に短縮され、もうこの先はないのかと思っていた矢先に明るいニュースでもある。

どうしん電子版(北海道新聞)からの引用

”国土交通省がJR北海道の新千歳空港駅と周辺について、大規模改修の検討に着手したことが1日、同省関係者らへの取材で分かった。駅を千歳線の本線に組み込む形で苫小牧側に貫通させるほか、石勝線を接続する構想。実現すれば道東や苫小牧方面への接続の利便性が大幅に向上するほか、経営難にあえぐJRの増収効果も期待される。”

  〜中略〜

構想では南千歳―新千歳空港間(単線、2・6キロメートル)について、苫小牧側への貫通のほか、複線化を行う。帯広・釧路方面に通じる石勝線の起点も南千歳駅から新千歳空港駅に変更する。


要約すると、新千歳空港とその支線について、

 ・現在の行き止まりから、苫小牧・室蘭方面および石勝線への直通化。
 ・現在の単線から複線化する。
 ・ホームを増設する。

ということになる。

道新に掲載の略図では苫小牧・室蘭方向は直通だが、石勝線へはスイッチバックのようにも見えた。

南千歳から分岐する石勝線の位置関係を考えるとそれもやむを得ないのかと思っていたら、2018年5月3日付の北海道建設新聞1面に『新千歳空港駅アクセス鉄道改良計画』として、新線の配線図が掲載されていた。

chitosenewroute.jpg
 2018年5月3日北海道建設新聞掲載の『新千歳空港駅アクセス鉄道改良計画』より筆者作成。

こうして見るとなかなか大掛かりな新線計画となる。
南千歳からの分岐は、現在の地下への入口の隣に並行してとすぐにわかるが、他の2か所の接続箇所やルートはどうなるのか。

いやいや、それ以上に鉄道ファンとして何だか熱くなってきた。
それで、地理院の電子地図に実際に線を引いてみたのが下の図。

chitosenerroutemap.jpg
 新千歳空港アクセス新線予想図(国土地理院の電子地形図25000より筆者作成)

千歳線南側への合流は当初美々信号場と予測したが、実際に線を引くと美々信号場の1.5km南側にある美々川の橋梁付近になった。

南千歳駅から現・千歳線と分岐する。
新千歳空港駅の手前で現在の線路と分かれ、新・新千歳空港駅へ。
この駅は現在駅の西側に作られる。場所で言えば、一般車乗降レーンの直下となる。

ホームは3面4線。特急列車10両対応とすれば、長さ220mとなる。ホーム幅を10mとすれば、地下駅の幅も45mとなり、地下駅としては大規模な駅になりそうだ。

新千歳空港駅を過ぎると現・千歳線に向かってカーブ。
R400m(R=曲線半径)の急曲線ならば美々信号場に接続できそうだが、接続手前でまた急曲線が入る。
特急列車も通る路線ではあまり望ましくない。

現・千歳線、美々信号場の南側にR1000mのカーブがあり、それに沿うように同じくR1000のカーブで分岐させ、新千歳空港駅南側にR600mのカーブを入れるとうまく収まった。

現・千歳線は、美々信号場南側から美々川の橋梁までの約1kmが10‰の下り勾配となっていて、高低差が10mほどとなっている。
美々川の橋梁付近に新・美々信号場を設けて新線を分岐、そのままレベル(水平)で新線を敷設すれば自然と地下へ入って行くことになる。

一方で石勝線は、駒里信号場の西端からR800m(石勝線はR800mが標準)で南側に分岐させると、国道36号線を過ぎたあたりで新・千歳線に取り付けることができた。
この場所にR600mのカーブが入るのは苦しいが、滑走路の下に大型の構造物や立体交差を設けるのは良くない気がして、こうなった。

新・千歳線の上下線の真ん中から始まる石勝線は20‰の上り勾配であれば400mくらい並行すれば南行の線と交差できるはずだ。

新・千歳線のほうは殆ど地下区間になりそうだが、石勝線のほうは36号線手前あたりで地上に出られそうだ。
高架橋で36号線と現・千歳線と交差し、駒里信号場で現・石勝線と合流する。

滑走路下を通らず、滑走路と並行して南下し、植苗駅付近で合流というのも考えてみたが、相当大掛かりになるし、何よりも石勝線が遠回りになりすぎるので却下。

空港新線から外れた現在線は、貨物列車が使うのでそのまま残るだろう。

以上、こんな感じでルートを想像してみました。

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 現在行き止まりの新千歳空港駅終端。

事業費は1000億円規模、早ければ2022年の完成となる。
国が主体の事業となれば、動き出せば早いだろう。

快速エアポートも改善され、各地からの空港アクセスも良くなるので、一刻も早い完成が望まれる。
それよりもなによりも、鉄道ファンとして久々の心が躍る出来事でもある。


posted by pupupukaya at 18/05/12 | Comment(0) | 北海道の駅鉄
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