奥津軽いまべつ駅の謎 1

2016年3月に開業した北海道新幹線。ことしで開業2周年を迎えた。

同時に開業した新函館北斗、木古内、奥津軽いまべつの3駅のうち、特に異彩を放つのが奥津軽いまべつ駅である。

利用者数は1日当たり約60人(乗車人員)とワースト1位。
停車する列車本数は、上下各7本合計14本とこれもワースト1位。
駅のある自治体の人口は、今別町の約2700人とこれもワースト1位。

ワースト三冠王の新幹線駅である。

駅の立地や利用者の少なさから、新幹線の秘境駅 などと揶揄されもする駅。

今回は、なんでこんなところに駅を作っちゃったんだろうということを含めて、この 奥津軽いまべつ駅 についての考察です。

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 JR時刻表(交通新聞社発行)の路線図より。縦向きにしてます。

時刻表の路線図で見る限りは、奥津軽いまべつ駅は津軽半島北部の中心にあるように見えるが、これは時刻表の索引図が鉄道路線に合わせてデフォルメしているからで、実際は次のようになる。

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 実際の奥津軽いまべつ駅の位置。(地理院地図より作成)

上の地図を見るとわかるが、奥津軽いまべつ駅の場所は、津軽半島の北端である。
駅勢圏はというと、駅のある今別町のほかは外ヶ浜町の旧三厩村くらいか。
蟹田や小泊は微妙。

無料駐車場を設けて、上北や下北地方の広域から乗客を集めることで成功した七戸十和田駅とは対照的だ。



この駅は在来線時代は津軽今別駅という駅だった。
当時から駅前は道の駅以外には何もないところで、田んぼの向こうの離れた所に集落が見えるという駅だった。

そもそもなんでこんな場所に駅ができたのかというと、ここは青函トンネルの工事中は新津軽二股信号場として計画されていたからである。

これは、海峡線は当初から新幹線と在来線の併用という前提で設計されたので、本州側と北海道側の出口付近に列車追い越しのための待避線を設ける必要があったからだ。

地元の請願もあったことからホームが設置されて、海峡線開通と同時に津軽今別駅として開業したのだった。

同じように北海道側は新湯の里信号場が設置された。こちらはのちに知内駅となる。

当初は在来線だけの開業ということで、退避設備として使用されることは無かったが、海峡線の本州側の保線基地や列車火災時の消火設備などが置かれていた。

駅ができたとはいえ、停車する列車は快速海峡が3往復のみ。
利用者は少なかったと見え、全列車が特急白鳥化された際には、停車列車は2往復に減らされている。

営業的にはあまり設置したくない駅なのだろうが、ここに駅がないと新青森の次は木古内まで113kmも駅が無いということになるわけで、仕方なく設置した感が半端ない。
北海道側の知内駅は、木古内に近すぎるということなのか駅が設置されることは無かった。

新幹線の駅であるが、在来線も併用している区間なので待避線があり、ここで新幹線が貨物列車を追い抜くことになる。



そんな奥津軽いまべつ駅を実際に見に行ったのが2018年4月の日曜日であった。
『北海道150年日帰り周遊パス』を使っての北海道新幹線初乗車でもあった。

札幌を朝6:00に発車する『スーパー北斗2号』に乗り、新函館北斗駅で『はやぶさ16号』に乗り継いで、奥津軽いまべつ着は10:22。
所要時間は4時間22分で、乗り換えがあるものの、時間距離的には札幌〜釧路間といったところか。

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 奥津軽いまべつ駅のホーム。

ホーム全体は屋根で覆われて、階上の駅舎へはエスカレーターもある。
思いのほか立派な駅だ。

ホーム中ほどには助役帽の駅員が立って、新幹線に発車合図を送る。

駅は橋上駅になっているのは、ホームと駅前の間には貨物列車の待避線と津軽線の線路があるためだ。

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 改札口とみどりの窓口。

駅舎内には自動改札機とみどりの窓口、それにコンコースとはガラス張りの壁で隔たれた待合室がある。
みどりの窓口には指定券の券売機が2台もあるが、使う人がいるのかな。1台は販売中止と表示されていた。

改札口上の発車案内に表示の列車は上下とも13時台である。
もう3時間以上も列車は来ない駅。
1日に停車する列車が上下それぞれ7本ずつではそうなる。

駅の中をウロウロしているのは私だけで、ほかには誰もいなくなった。
もうここは新幹線ではなく、ローカル線の雰囲気が漂う。

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 奥津軽いまべつ駅に掲示の時刻表。

連絡通路からは新幹線と津軽線の位置関係がよくわかる。
津軽二股駅のホームは従来の場所にあり、新幹線駅の近くに移設とはならなかったようだ。

こちらはJR北海道の駅、あちらはJR東日本ということで、あくまで別ということか。
もっとも乗り換えが便利になったところで、ダイヤは新幹線接続はまったく考慮されていないので、乗り換え客はいないだろう。

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 連絡通路から見た『道の駅いまべつ』と津軽線の津軽二股駅。

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 駅前広場にある奥津軽いまべつ駅案内図。

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 奥津軽いまべつ駅正面。駅ビルに見えるのはエレベーターと階段室。

115段ある長い階段を下りると駅前広場に出た。

駅前はロータリーやバス乗り場が整備されているが、それ以外は津軽今別駅時代とほとんど変わっていない。
変わったのは三厩や平舘方面へ行く巡回バスや津軽中里駅とを結ぶ路線バスが新設されたくらい。

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 駅前広場こそ整備されたが、あとは何もない駅前。

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 今別町巡回バス。

駅前には無料の屋内駐車場が新たに建てられて、道の駅の向こうには『いまべつ総合体育館』の新しい建物が見える。
ただ、新たにできたものといえばそれだけ。

駅前広場の先は田んぼがあるだけになっている。
これ以上整備するつもりも何かを建てる気も無いようだ。

屋内駐車場の中を通り抜けると道の駅いまべつ(半島ぷらざアスクル)があって、土産物屋とレストランが入っている。
道の駅の方は車での客がちょくちょくやって来る。

道の駅の裏が津軽線の津軽二股駅になっている。
無人駅だが、乗車券は新幹線駅のみどりの窓口で買える。

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 道の駅いまべつ。この建物の裏に津軽二股駅のホームがある。

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 津軽二股駅から奥津軽いまべつ駅を見る。

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 奥津軽いまべつ駅の遠景。

駅前通りを200mほど歩くと県道にぶつかる。県道に沿って小さな集落があるが、それだけ。コンビニも無い。

田んぼと残雪、それに川の流れ。
静かな田舎の日曜日である。

それだけに奥津軽いまべつ駅だけが異様にそびえ立っている。
えらいところに駅を作ったものだと思った。

ところがこの奥津軽いまべつ駅で、ひとつだけ異様なことに気づいた。
これがこの駅最大の謎ともいえる。ミステリーと言っても良い。



posted by pupupukaya at 18/04/14 | Comment(0) | 北海道の駅鉄
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