2007年 はなたび利尻で稚内へ3

自転車があるので行動範囲がぐんと広がった。

これで宗谷岬まで行こうと思えば行けるが、稚内駅から30kmも離れてる。片道2時間はかかる。
市内を通り抜けて、富岡の先にある市内東側の丘までいくことにした。

稚内の町は南北に細長い、いわゆるフンドシ町というやつ。
町中を通ると、人口の割に妙に広い町に感じるのはこのせいだ。

住宅地は南に広がる一方で、従来からの中心部だった稚内駅前はすっかり寂れてしまった。

市内南側郊外のかつては原野だったところに大型店舗が次々と出店し、商業の中心はそっちに移ってしまった。
町はずれだと思っていたところがすっかり様変わりしていた。

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 南稚内駅手前の踏切り。道路標識ではSLが走っている。

街中は看板や標識などあちこちにロシア語が併記してある。「Магазин」ならば「マガジーン」と読み、店のこと。
自分はロシア語を勉強しているので、ついつい読んでしまう。

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 市内いろいろなところで見かけるロシア語の表記。

そんな市内を通り抜けて市内東側にある丘に登る。

丘には風力発電の風車が何台も立っている。ゆっくりと回っているように見えるプロペラは、近くに行くとブンブンと力強く回っている。
稚内は西に日本海、東にオホーツク海をあわせ持って、風の吹き抜ける町でもある。

冬など泣きたくなるような強風が吹き荒れる稚内だが、この風も今では立派な資源になっているようだ。。

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 丘の上から一望する景色。観光スポットではない穴場。

東側の丘からは、幕別平野と大沼が俯瞰でき、宗谷海峡の向こうにはサハリンの島影が見えた。
観光名所ではないが、なかなか穴場的な名所である。

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 宗谷海峡の水平線には、うっすらとサハリンの島影が見えた。

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 富岡の住宅地と利尻富士。

富岡にあるスーパーで最近売り始めたというロシア産ビールを買って、再び稚内駅前まで戻る。

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 稚内で買ったロシアビール。

稚内の隠れた名物(?)に激辛カレーというのがあって、日本一辛いと宣伝している。
自分は実は激辛マニアで、どんなものか一度挑戦してみたかった。
それが今回の旅行目的のひとつでもあった。

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 ヴァンのとなり。文字通りヴァンというレストランの隣にある。

駅近くの「ヴァンのとなり」という食堂でその激辛カレーを食べる。別に激辛の店ではないラーメンや定食もある普通の食堂である。普通のカレーライスのほかに1つだけ激辛カレーがある。そのカレーの辛さたるや、恐るべし・・・

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 日本一辛いという激辛カレー。

激辛マニアも納得させる看板に偽りなしの激辛カレーは辛い中にも深い味わいがあって、札幌あたりであのカレーをだせばきっと激辛マニアで大繁盛するのではないかというほどのものだった。

また何回でも食べたい。

でも、一般人や真性激辛マニアでない人はやめておいたほうが無難である。

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 見た目は普通のカレーだが、その辛さたるや・・・

稚内副港市場というのがこれも新しくできていた。地元のお客でにぎわっている。
中に入ると、昔の町を再現したコーナーや、昔の稚内の写真や地図を展示したコーナーがあって面白い。

すっかりさびれてしまったイメージだった稚内旧中心部も最近は再開発されて以前とは変わってきているようだった。

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 新しくできた稚内副港市場。

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 開業時の稚内港駅(現在の稚内駅)を模した一角。

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 昔の懐かしい町並みを再現したみなとギャラリー。

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 昭和45年の稚内駅周辺の住宅地図。(副港市場の展示物)

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 昭和42年の稚内駅前通り。奥はまだ木造駅舎の稚内駅。副港市場の展示物)

海産物がメインの市場や食堂もたくさんあって、なかなか面白い所ができたものだ。
30分くらい居て、そろそろ13時になるので稚内駅へ戻る。

レンタサイクルは返却して駅へ。

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 建て替えが予定されている稚内駅。

まだ少し時間があるので、駅前の食品館相沢を覗いてみる。
今の建物は昔の高林デパートだったところ。稚内の老舗百貨店だったが1992年に倒産。
その後空き家状態だったが、隣にあった相沢市場がこちらに移って来た。


 ◆ 稚内 13:45 【サロベツ】 19:08 札幌

稚内から帰りの列車は、特急サロベツ。
はなたび利尻と同じ車両である。

所要時間は5時間23分でスーパー宗谷より20〜30分余計にかかるし、車内販売も無い。
スーパー宗谷と比べるとかなり遜色特急だが、座席だけはリニューアルされたサロベツのほうが良くなっている。

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 稚内駅ホームの特急サロベツ。この日は1両増結の4両編成。

キヨスクに駅弁が置いてあるのを発見。稚内駅から無くなった駅弁がまた復活したらしい。 

以前は、白い帽子に白衣のおじさんが駅弁の販売をしていた。1日3回、札幌行急行列車の改札が始まると、籠を持ってホームに現れていた。

消費税ぶん値段をまけてくれたり、お茶をサービスで付けてくれたり、買いに行くと空の籠を前に「すいません売り切れました」と謝って、でも発車までホームに立っていたりしたのを思い出す。
人情味の人だったが、残念なことに数年前に亡くなったそうだ。

前の業者『サンエイ商事』から受け継いだようで、駅弁のデザインは変わらない。 

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 右側はサロベツ、左側は札幌から着いたスーパー宗谷。稚内駅ホーム。

車内は数えるほどしか乗客はいないまま13:45、稚内を発車する。次の南稚内でこの車両にも10人ほど乗ってきたがまだ空いている。

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 復活した稚内の駅弁『さいほくかにめし』。 

キヨスクで買った『さいほくかにめし』を開ける。

箱のデザインやカニをかたどった容器は以前のものと変わらない。白いご飯の上に味付けのカニが載っているのも変わらない。でも味は以前の駅弁屋のおじさんが作っていた酒の風味が漂う素朴なかにめしとは別のものだった。

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 ホロッピーが出迎える幌延駅。

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 名寄で距離も時間もほぼ半分。

名寄、士別と過ぎても車内は空いたまま。車内販売も無いので車内は静か。

乗り物は空いていたほうが居住性は良い。しかし、あまり空いていると、この列車の行く末が気にかかる。 

17:33に旭川に到着。ホームの前2両の自由席部分は長蛇の列。こちら指定席車にもずいぶん乗ってきて、車内は満席近くなった。

30分おきに出るスーパーホワイトアローとライラックだが、なぜか17時台だけは30分発のライラックが無く、17:34発のサロベツが代わりにその役割を担っている。

旭川からすっかり車内は賑やかになって19:08、終点札幌についた。

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 終点札幌に到着。
〜おわり


 ◆ リメイク版あとがき

2006年3月から季節列車に格下げされた特急利尻は、夏季の週末に限って『はなたび利尻』と名前を変えて運転されていました。
2007年は『はなたび利尻』としては2シーズン目ということになります。

その翌年、夏にはまた走りだすと思った矢先の2008年4月、道内夜行特急の全廃が発表されることになります。
これにより、はなたび利尻は2007年9月の運転が事実上の最後ということになりました。

当時は夜行の座席車など退屈だし、貧乏旅行だと思っていましたが、実に貴重な時間だったような気がします。
頬杖をつきながら、夜汽車に身をゆだねて、流れる夜景をぼんやりと眺めるなんて、当時は普通だと思っていましたが、今はもう過去のことです。

夜行バスじゃ、こうはいかないでしょうしね。

あれから10年半が経って、このリメイク版を作成していると、無くなってしまったものが随分あることに気づきました。
夜行列車もそうですが、稚内旧駅舎、待合室の立ち食いそば、キヨスク、ヴァンのとなり、レンタサイクルなど。

サロベツも特急宗谷と同じ261系に統一され、運転区間も旭川〜稚内に短縮されました。
名寄駅2・3番線ホームの上屋も撤去されて今はありません。

あと、幌延のホロッピー。
あれを今ググっても過去の画像しか出てこないんですけど。
一体どうしちゃったんだろう (^^;

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 18/03/24 | Comment(0) | 道北の旅行記
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