2006年ロシア極東旅行記4 連絡船サハリン7号

3日目 2006年7月11日

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 ユジノサハリンスク〜ホルムスク〜ワニノのルート。(地理院地図より作成)


 ◆ ユジノサハリンスク 〜車〜 ホルムスク港

昨日に昼寝したせいか、あまりよく眠れなかった。

旅行会社から当初もらっていた予定では、10時頃ホテルを出発、連絡船のホルムスク出港が18時頃、ワニノ着が翌15時頃となっていた。
ところが、フェリーの出港時刻が定かではないということで、朝7時に出発と伝えられていた。

6:40にガイドのP君が部屋にやってきた。朝食だという。レストランは8時からなので、今日は朝食抜きだと思っていたが、ホテルに話をつけておいてくれたのか、レストランに行くと朝食の準備がしてあった。

昨日と同じサラダと目玉焼きの朝食。P君がやたらと時間を気にしている。タクシーがもう来たと言うので、急いで紅茶を飲んで部屋に戻り、荷物を持って1階へ降りる。フロントで鍵を返し、車に乗る。

6:55に車はホテルの前を出発し、サハリンスカヤ通りの踏切をわたる。踏切のあたりは、昼間はいつも渋滞しているが、この時間はまだほとんど車は走っていない。

車は100キロ以上のスピードで飛ばす。道路はツギハギだらけのデコボコ道だが、そこはさすがに日本車で、サスが効いて揺れは少ない。運転手の兄ちゃんは、道路の穴ぼこやマンホールを器用によけながら運転する。

8時、1時間少々でホルムスク市内へ、そのまま港に直行する。ホルムスクは雨。これからの行程を考えると少し気が重くなる。

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 ホルムスクのソベツカヤ通り。

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 ホルムスクの連絡船ターミナル『モルスコイ・バクザール』。

フェリーターミナルビルの前に車を停め、P君のあとについて窓口へ。窓口に今日は9:20出港(7:50入港便)と表示してある。

先客の後ろに並び、P君は「早く出てちょうど良かった」と言った。
本来ならば、ホルムスクは夕方に出てワニノには翌日の昼に着くはずだったのだが、あまり早く着きすぎても列車待ちの時間が長くなりすぎて困る。最悪の場合、今日中に着いてしまうと、ワニノで泊まるところも探さなければならないのだ。
もう1便遅い便に出来ないかと頼むが、台風が来ているので、天気の良いうちにワニノに渡った方が良いと言われた。

この便はワニノ到着は朝5時なので、ワニノに泊まる心配はないようだ。

前の客が終わって、順番が来る。
予約してあったのかP君が名前を言う。窓口の女性はなにやら書類をめくって名前を探す。手続きが面倒そうだ。

コンコースはあまり広くはないが、フェリーターミナルだけあって、ベンチがたくさん並べられ大勢の人が座っている。売店やカフェも一応ある。めずらしく、缶ジュースとカップのコーヒーの自動販売機が置いてある。

椅子に座っている人たちは、フェリーを待っているのだと思っていたら、表にバスが着くと皆ゾロゾロと出て行った。
きっぷはなんとか買え、渡されたのは、乗船券とワニノ港から駅までのバスの切符。指定された部屋は302号室の1番。

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 あまり広くない連絡船ターミナルのコンコース。

出港まで時間があるので車の中で待つ。P君からワニノからハバロフスクまでの鉄道の切符を渡される。

9時過ぎ、いつ船に乗るのかと聞くと10時だという。船が遅れているらしい。



◆ ホルムスク港 【サハリン7号】ワニノ港(翌日)

ホルムスクと大陸側のワニノとの間は連絡船が結んでいる。

この航路は、昔の青函連絡船のように貨物列車の車両航送を行っていて、大陸側とサハリン島内の貨物列車はこの連絡船を介して直通している。ただし、レール幅の違う大陸の貨車はそのままではサハリンの線路は走れないので、ホルムスクには広軌〜狭軌の台車交換工場がある。

大陸側の貨車も直接乗り入れできるように、サハリン島内の線路も大陸側に合わせて広軌化されることが決定していて、一部区間では広軌化工事を着工しているという。

就航船は「サハリン」号が4隻、5000tクラスの大型船だが、貨物主体のため旅客定員は70数名しかない。貨物に合わせての不定期運行で、出港時刻も船が入港してから決まるので、一般客には利用しずらい。

鉄道連絡船だが、経営しているのは「SASCO」(サハリンシッピングカンパニー)という海運会社である。

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 跨線橋を渡って連絡船の桟橋へ。

10時、ターミナルビルから何やらアナウンスがある。乗船開始らしい。車のトランクから荷物を出し、ターミナルビルの隅にある裏口のようなところから外に出る。ここでパスポートを見せ、P君とはここでお別れとなった。

潮風にさらされたボロボロの跨線橋の階段を登る。正面に連絡船が見えた。船体には「САХАЛИН-7」と表示してある。「サハリン7号」だ。

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 船体の「サハリン7号」の表記。

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 船に貨車を積み込む可動橋。

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 連絡船の桟橋。船の前で待たされる。

船の前でタラップ取り付けまで待たされる。乗船客を数えてみると全部でたったの22人。

10分ほどして、乗船開始。タラップの入口で乗船券とパスポートを見せ、つづいて船内の食事券を受け取る。

船内に入るといきなり階段の踊り場のようなところで、前の人のあとについて階段を降りる。狭くて長い階段で、降りたところがロビーになっていた。案内係の制服を着た女性にチケットを見せて部屋を教えてもらう。

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 船底客室のロビー。

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 なぜか日本語で書かれた案内所。

ドアを開けると2人部屋で、ニス塗りの木製二段ベッドと2人分のクロゼットがあった。個室に洗面台もあるのはさすがに船だ。

車両甲板のさらに下、船倉部屋なので窓もなく、壁は船体に沿って斜めになっている。それらが天井の白熱灯と洗面台の裸電球に赤く照らされている。どの部屋もこんな感じのようだ。ここは2人部屋だが他は4人部屋になっている。

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 自室の一般客室と2段ベッド。

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 船らしく個室内に洗面台もある。

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 ホルムスク〜ワニノ間の乗船券。

案内係の女性がやってきてこの部屋はあなた1人だけというようなことを言い、部屋の鍵を渡してくれる。1人部屋なのはうれしい。
またさっきの案内係がきて、ビレット(チケット)をもって来てくれという。ついて行くとビレットと交換でシーツと枕カバーをもらう。明日またシーツと引き換えにビレットを返してくれるそうだ。

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 船のデッキからホルムスクの町を見る。

部屋に鍵を掛けて、階段を登ってデッキに出る。10:40、ちょうど出港するところだった。ゆっくりと岸壁を離れる。スピーカーから音楽が流されるが、何の歌かは知らないが、「サハリーン、サハリーン」と歌っているので、サハリンの歌らしい。

船上から離れゆくサハリンの町を眺めるのは日本に帰るときだけだったが、今日は大陸に向かっている。ゆっくりと離れるホルムスクの町を眺める。

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 ホルムスク出港。ばいばーい。

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 ホルムスクの町がゆっくり遠ざかる。

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 プロムナードデッキ(遊歩甲板)。

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 サハリン7号の浮輪。

船内をあちこち見て回るが、ほとんど貨物専用船なので船内は広くない。食堂兼売店もある。あちこちに日本語で書かれた案内板があって、なんでこんなところに日本語の表示があるのかと不思議に思う。

「サハリン7号」は稚内〜コルサコフ航路でかつて使われていた船ではなかったのか。そういえば、サハリン航路の初期はロシアの連絡船が使われていた。

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 一般客室の通路。

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 船内あちこちにある日本語の案内表示。

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 談話室?ここでは煙草も吸える。

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 便座の無いトイレ。


 ◆ 長い船旅

11時半頃、放送があって食堂に人が集まり始める。どうやら食事時間のようで、船室に食事券をとりに戻る。

カウンターで券と引き換えにトレーに乗った食事を受け取る。
パン2切れ、ハンバーグにサラミ、ライスにガーリック風味のソースをかけたものが使い捨て皿に載る。ライスはべチャッとしているが、そういうものなのだろう。粉末のカフェオレがついていて、これも使い捨てカップに入れてポットからお湯を注ぐ。ポットのお湯は自由に使っても良いらしい。

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 船内の食堂兼売店の様子。

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 船内の食事。味はともかく温かい食事はうれしい。

売店ではビールやスナック類を売っているようだ。食べ終わって、船底の部屋へ戻る。

天井のスピーカーからはラジオが流れている。個室なので音量調節のツマミもあり、消すこともできる。このゴツゴツしたツマミが、いかにもソ連製らしい感じがする。

船底部屋にいても、窓も無いし基本退屈だ。
アッパーデッキ(上部甲板)にも船室があるのだが、こちらは船員の部屋ということになっている。
このあたりが、いかにも社会主義時代らしい船である。

14時ごろまたデッキへ行く。サハリンの島影がうっすらと見えている。船のスピードは遅くて、チャプチャプとゆっくり進む感じである。ホルムスクとワニノの距離は約260km。20時間もかけて運航してる。

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 船の速度は遅く、チャプチャプ進む感じ。

6時半、デッキへ。船は霧の中。寒い。デッキのサロンではロシア人の客が魚の干物をしゃぶりながらビールを飲んでいる。

食堂の売店が開いていて、クレープのようなものを積み上げて置いてあるので、「エータ・プリヌイ?」と聞くと「チェブリキ」だと言った。1枚買う。
カップ麺でもないかと思い、お湯を注いでラーメンをすするしぐさをしてみる。店のおばさんがメニューを指差す。ボルシチと書いてあった。「パンは?」と聞かれたのでそれも1つもらう。あと魚の干物も1本買った。

誰もいない薄暗い食堂でビールを飲みながら1人で食べる。

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 売店に並ぶ品物。酒類は豊富。

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 売店で買った、ボルシチとチェブリキとパン。

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 売店で買った魚の干物。

8時になっても、9時になっても、ずーっとぼんやりと明るい霧の中。腕時計の針だけが唯一、時を刻みを知らせる。

物置小屋のような船室に戻り、さっき買った魚の干物をしゃぶりながらウオッカを飲む。何の魚かは分からないが何となくキュウリの匂いがしたのでキュウリウオの干物かもしれない。

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 夜9時半、ようやく薄暗くなって、灯かりがともるデッキ。

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 夜何時になってもぼんやりと明るい霧の中。

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 上段ベッドの壁は旅行者の落書きだらけ。

ウオッカを飲んでもなかなか寝付けない。ベッドに横になって本を読んでいるといつの間にか眠っていた。翌朝は何時に起きればよいのか分からず、気になってとても熟睡はできなかった。

〜5へつづく


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