2017年 山陰本線とサンライズ出雲旅行記8

出雲大社の勢溜の大鳥居から神迎の道という道路を歩いて行く。

神迎の道(かみむかえのみち)とは、全国の神々が出雲に集まるときは稲佐の浜からこの道を通って出雲大社にお入りになるとのこと。
知っていなけらばわからないほど普通の住宅地の道である。

交差点の角にその出雲そばの店があった。『かねや』という店。
入ってみるとまだ準備中だった。「10分くらいで準備できますから待ってますか」と言われたが、それまでその辺をぶらぶらすることにした。

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 朝からやっていた出雲そばの店。

道をさらに進むと浜に出る。
突き当りに灯篭が2本立っていて、ここが稲佐の浜かと思うが、あたりは防波堤が続いていて殺風景な場所。
地図で見たら、稲佐の浜はもっと北側だった。

ここからまた引き返す。
9時半。こんどはそば屋は開いていて、入ると先客が2組いた。

出雲そばは初めて食べる。
写真とかテレビとかでは見たことはあるが、味だけは食べてみなければわからない。

注文したのは750円の『割子そば』。
ほかに、『おろし割子』とか『三色割子』とかあったけど、結構いい値段ね (^^;

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 割子そば(750円)。

割子そばは3段になっていて、つゆは直接そばにかける。

そばは黒目で、もそっとした食感なのは、そばの殻も挽いているため。香りも強い。
つゆもそばに負けじと甘辛い濃いつゆになっている。かなりしょっぱい。
赤い薬味はもみじおろしで、これが結構辛い。この辛味が出雲そばの一番のポイントと言えそうだ。

基本薬味しか乗っていないので物足りないが、そばそのものを味わえたので良しとする。

そばを食べながらこれは酒に合うと個人的には思った。それも甘口で濃厚な日本酒ね。
あと濃厚なそばつゆ。あれ音威子府のそばにかけてみたい。

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  つゆは直接うつわに注ぐ。

食べているうちに客がだんだん増えてきた。昼時は結構混みそうだ。
食べ終わったら早々に店を出る。

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 出雲そばの店が並ぶ。

朝着いたときは閑散としていた神門通りも、商店街の店も開いていて賑やかになってきた。
電車の発車時刻が迫って来たので駅へ急ぐ。


◆ 出雲大社前 10:22【一畑電車】10:33 川跡

窓口に行くが誰もいない。
改札口の駅員さんが「何か御用ですか」というので入場券を買いたいと言うと、その駅員さんが窓口の向こうにやって来た。
ワンオペですか (^^;

朝乗った電車に、車内乗車券を発売していますという張り紙があったので聞いてみると、ありますよとのこと。
入場券と松江しんじ湖温泉駅までの乗車券を車内乗車券で買った。

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 出雲大社前駅の窓口で買った車内補充券の乗車券と硬券の入場券。

車内乗車券とは、ワンマン化以前の車掌乗務時代に車掌が車内で販売していた乗車券である。
ローカル線では発駅着駅と金額を印刷してあって、そこにパンチで穴をあける方式になっている。
JRでも昔はローカル線にあった。無人駅から乗ると、車掌さんがパンチで穴をあけて発券していた。
残っているのは全国でもここだけじゃないかな。

出雲大社前駅だけではなく、主要駅にもあるので記念に買うといいですよ (^^)

そうだロッカーから荷物を出さなきゃ。
このロッカーは改札外ということになっているが、駅員さんは柵のある改札口ではなく、どういうわけか駅舎の出入り口のところに立っているので、改札内のロッカーのようになっている。

とにかくロッカーから荷物を出して、出入口で切符にパンチを入れてもらう。入場券にも入れてもらった。

パンチか。正式名は改札鋏といい、昔は改札口でパチンパチンと切符を刻む音が聞こえたものだ。
すでに昔のものとなってしまったパンチだが、これはローカル私鉄では意外とまだ残っていたりする。

来た時と同じ1両の電車で川跡へ。そこでこんどは松江しんじ湖温泉行の電車に乗り換える。


◆ 川跡 10:35【一畑電車】11:22 松江しんじ湖温泉

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 川跡で松江温泉しんじ湖行に乗換。

2両編成の電車は京王電鉄で使われていた中古。
今や地方の私鉄は、大手私鉄の中古車両ばかりになってしまった。

何だか味気ないが、大手の中古譲り受けることで何とか鉄道が残ってこれた面もあるので仕方がない。

空いているのでロングシートに横向きに座って外を眺める。
平凡な田園風景が続くが、途中から宍道湖が見えるようになる。

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 2100形は元は京王電鉄の車両。

途中の一畑口で電車は方向転換する。いわゆるスイッチバックというやつ。
遠軽駅なんかが有名ね。座席の方向転換をするのに一仕事だからね。

こちらはロングシートなので宍道湖の見える方向が変わるくらい。
向かい側の席に座り直す。

一畑口からはずっと宍道湖を見ながら走る。
この辺りから停車する駅ごとに1人2人と乗客が現れるようになった。

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 路線のほぼ半分の区間は宍道湖に沿っている。

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 松江しんじ湖温泉駅に到着。

出雲大社前駅で買った車内乗車券は、改札口で記念にほしいと言うとそのまま通してくれた。

松江しんじ湖温泉駅は松江温泉駅だったのを温泉街が松江しんじ湖温泉と改称したのに合わせて駅名も改称したもの。
確かに温泉もあるし宍道湖も近いんだけど。

困ったことに観光駅の駅名は長くしたがる傾向にある。色々盛り込みたい気持ちはわからんでもないが。
まあ、一介の旅人がとやかく言う問題ではない。

ただ、パソコンで変換できないのよ (^^;

松江しんじ湖温泉からはバスで境港へ向かう。JRもあるが、松江からは一畑バスの『松江境港直行バス』というのがあって、そちらの方が早い。
駅前はバスターミナルになっていて、直行バスのバス停もそこにある。

バスの乗り継ぎ時間は38分ある。
駅の待合室にいるには長すぎるし、かといってどこか観光できるような時間でもない。

宍道湖が近いので、湖畔をぶらぶらして時間をつぶした。

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 駅近くの宍道湖の湖畔から松江の街を見る。


◆ 松江しんじ湖温泉 12:00【松江境港直行バス】12:56 JR境港駅

発車時刻の12時が近くなっても、バス停には私以外だれもいない。バスもなかなかやってこない。
乗り場は本当にここで合っているのかと思いかけたころ、バスがやってきた。

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 松江しんじ湖駅始発の境港直行バス。

私1人を乗せて発車する。
このまま境港に直行するのではなく、次の松江城で2人、松江駅では10人ほど乗ってきた。
松江駅からの客は中国人やインド人もいて国際色豊か。

地図で見ると松江と境港の間には中海という湖があって、バスは湖沿いに行くように見えるが、この直行バスは橋を渡って中海にある2つの島を経由して行くという面白いルートを走る。

大根島、江島と2つの島を通り、江島大橋を渡って再び本土(?)に戻る。

江島大橋は境港と江島を結ぶ橋で、開通は2004年と新しい。
この橋は、下を大型船が通るのに支障がないように中央部分が高くなっている。
しかも中央部分の高さは45mもある。

下から見ると見上げるような登り坂で、その名も ベタ踏み坂

もともとは某軽自動車のCMのセリフ

「業界ではここではベタ踏み坂と言うんだ」
「どうだ、アクセルベタ踏みだろ」

から発しているらしい。

まあ本当にここでベタ踏みし続けたら、頂上部分から空に飛んでしまうよ (^^;

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 高さ45mまで登る江島大橋。どうだ、アクセルベタ踏みだろ?

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 江島大橋の頂上からの眺め。

45mの橋上からは眺めが良い。
今日は快晴、遠くには大山の山影も見えた。
この橋は自動車専用ではなく歩道もあって、歩いている人も見かけた。

江島大橋からは鳥取県になる。

バスは定刻通りに境港駅に着いた。


◆ 境港と水木しげるロード

境港は鳥取県の西部にあり、日本海側の港町として栄えてきたところ。
水木しげるの出身地にちなんで、ゲゲゲの鬼太郎の町として有名になった。

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 駅前にある水木しげる先生と妖怪たちの像。

駅前からの商店街は水木しげるロードと名付けられ、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪の銅像が道端に並んでいる。
妖怪にちなんだ土産物屋も並んでいて、今じゃすっかり観光地になった。

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 境港の水木しげるロードは工事中だった。

肝心の水木しげるロードはあちこちで工事中だった。リニューアル工事とのこと。
今は古ぼけた商店街のようだが、完成すれば完全に観光地になるのだろう。

ゲゲゲの鬼太郎は私が小さいころからアニメで見ていた。しょっちゅう再放送もしていたしね。
国民的人気もあるだろうが、やっぱり町をあげての商売の上手さだろうなあ。

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 ねずみ男の像。ここは人だかりが多く一番人気だった。

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 どこも妖怪だらけの水木しげるロード。

工事中の水木しげるロードを妖怪の銅像を見ながら歩く。
途中からアーケード街になった。

妖怪食品研究所という看板があって、店先のショーケースに目玉の形をした和菓子が並んでいた。
その名も妖菓 目玉おやじ

目玉おやじのスペアの目玉なのかね。
 アンパンマンかヾ(--;)

面白いので1箱買ってしまった。
2個入りで700円と結構高いが、これは誰かのお土産にしよう。

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 妖菓目玉おやじ。その名の通り目玉そっくりの和菓子。

水木しげる記念館の前まで行って、また引き返す。
途中で港に寄ったりして駅に戻った。

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 境港はその名の通り港町。水木しげるロードに並行して港がある。

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 灯台のような形の境港駅。


◆ 境港 14:16【1652D】15:13 米子

駅前の酒店で鬼太郎純吟ワンカップと焙りほたるいかを買った。昼食がわりに車内で飲もうか。

券売機で出雲市までの乗車券を買って改札へ。
ホームにはまだ列車は入っていないが、しばらくすると米子発の列車が入ってきた。折り返しで米子行となる。

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 境線の鬼太郎列車と境港の駅名標。

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 境港駅は鬼太郎駅の愛称もある。

列車はキハ40の単行。境線の車両は鬼太郎列車になっている。
車内外を鬼太郎のキャラクターをデザインした車両になっている。その車両によってキャラクターが違っていて、この車両は目玉おやじ号になる。

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 座席には目玉おやじがたくさん。

さっき歩いた町中でも、目玉おやじ率が高かったような気がする。
シンプルに目玉だけという容貌と憎めないキャラということから、鬼太郎の妖怪のなかで一番人気だったりして。

さっき買ったお酒はやっぱり飲めないな。日曜日ならばともかく、平日の昼間でしかも普通列車だ。
今夜のサンライズ出雲のお供にしよう。

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 車窓からは大山(だいせん)が見えた。

境線に乗るのは初めてである。
しかし、車窓は平凡で、住宅街や田畑が続く。印象に残ったところと言えば、大山がくっきりと見えたことくらい。

それでも乗車路線が増えたのはうれしい。
別に全路線完乗を目指しているわけではないが。

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 米子駅の広い構内が見えてきた。

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 米子駅に到着。

米子駅は山陰本線と伯備線、それに境線が分岐する駅で、国鉄時代からの駅ビルと広い構内がそのまま使われている。
昔からの鉄道のジャンクションという貫禄がある。

米子では35分の乗り継ぎ時間があるが、持っている乗車券では途中下車はできない。

1番ホームに駅弁の売店兼立ち食いそば屋があったので、そばでも食べようと値段を見たら中のテーブルに座って食べるのと値段は一緒だった。

駅弁を1個買って、向かいのホームに行ってベンチで食べよう。

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 米子駅の改札口と売店。

駅弁は吾左衛門鮓(ござえもんずし)5貫入りで1100円。
最近の駅弁ブームで新作したものではなく、昔からあるものだ。

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 吾左衛門鮓 鯖 五貫入(1100円)。

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 しめ鯖と寿司飯を昆布で巻いてある。中身の半分が鯖。

値段は結構張るが、一度食べてみたかった駅弁だったので、いい機会だ。

寿しは押しずしで、しめ鯖と寿司飯を昆布で巻いてある。
私は鯖寿しが好きでねえ、脂も乗って身の厚いしめ鯖もたまらん。

おっさんが1人ホームのベンチで駅弁を食べる姿はさえないね (´・ω・`)

何を言うか。
駅弁は列車の中ではなく、ホームのベンチで食べるのが本当の通なのである(大嘘)

鯖を食べていたら一杯やりたくなってきた。
境港で買ったお酒を飲もうかと思ったが、こんなところでワンカップ酒なんか飲んだ日にゃ、完璧にアル中だ。

食べていると出雲市行の特急やくも13号が到着した。
これに乗って車内で食べるという手もあったな。
しかし、特急料金払ってまで早く着いても仕方がないし、これで良かったんじゃないか。


◆ 米子 15:48【141D】17:11 出雲市

こんどの列車は出雲市行普通。たらこ色のキハ47の2両編成。

出雲市までは電化されているが、この区間の普通列車のほとんどは気動車になっている。電車は下り列車でいえば24本中6本だけとなっている。

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 米子からはまたもキハ47の2両編成。

米子市、松江市、出雲市と中規模の都市が並んでいて、京都口は別とすれば山陰本線の中でも最も元気な区間だろう。
岡山からの特急やくもが1時間に1本、鳥取からのスーパーまつかぜやスーパーおきも走っていて、特急街道でもある。
今までなかった複線区間もあった。

松江では帰宅時間にかかるので結構乗客があった。
車内や乗客の顔ぶれを見ていると今までローカル線ばかり乗って来たので、都会的に感じる。

宍道湖が見えてくるころには日がすっかり傾いていた。
一人旅で一番寂しいのはこの夕暮れ時だね。

海外旅行で、まだホテルに着かないのに夕暮れ時を迎えた時の、あの消えてしまいそうな心細さって経験者しかわからないだろうな。

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 宍道湖の向こうに日が沈む。

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 再び出雲市に到着。

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 381系特急やくもの車体に夕日が反射する。

出雲市駅のホームから地平線に沈みかけた夕日が見えた。
秋の日はつるべ落とし。もうじき暗くなる。

これで山陰本線の旅は終わり。
ここからは伯備線経由のサンライズ出雲で一気に東京まで行く。

山陰本線はまだ米子から京都まで続いているが、そっちの方はまたいずれの機会に。
〜9へつづく


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