◆6日目 5/2 バラナシにて
”ガートへ行く朝は、思いきり早起きして日の出前に着くようにしたい”
とは地球の歩き方に書いてある文言。
朝5時、目覚ましで起きる。
バラナシまで来たからには、ガンガーの日の出は何としても見たかった。
何としても見逃すまいと前の晩から気合を入れていた。
ホテルの場所はガンガーのほとりにある。
さっそく外に出ようとすると、エントランスにはがっちりと門扉が閉まっていて南京錠がかけられている。
セキュリティーは万全だが、外に出られない。レセプションにでも頼めば開けてくれるのだろうが、そこまでするのも面倒だ。
仕方がないので、ホテルのテラスからガンガーを眺める。
今日のバラナシの日の出は5時21分。ところが、その時刻を過ぎても一向に太陽が昇ってこない。
日の出のガンガー。
5時半くらいになってようやく弱々しい朝日がスモッグの向こうに姿を現した。暑いスモッグが地平近くを覆っているので、地平線から姿を現したばかりの弱い光はさえぎられてしまっていたようだ。
次第に日の光は強くなって、空もガンガーも赤く染まる。
これもスモッグのせいだろうが、環境には悪いスモッグも、夜明けには粋なことをする。
スモッグ越しの弱々しい朝日が姿を現した。
空もガンガーも赤く染まる。
聖なるガンガーの向こうから昇る朝日に照らされて川風に当たっていると、悩みも罪もすべて流されて行くような気がした。
沈んだ太陽もまた朝には昇ってくる。肉体は無くなっても意識は永遠に無くならない。また別の宿主に入り込んで活動するのである。これが輪廻転生(りんねてんしょう)の考えである。
意識とは何か。
人工知能がいくら進化しても意識を持つまでには至らない。
なぜなら、それは人間が作為的に作った物に過ぎないからだ。
意識はどこから来るのか、人はどこからきてどこへ行くのか。この朝焼けのガンガーに答えがあるような気がした。
バラナシで1泊して良かったと思った。
ガンガーを照らし、街を照らし、人々を照らし始めた太陽。永遠に続く光景。
下では沐浴をする人たちの姿が見える。
男性はパンツ一丁になって川に入るが、女性はサリーを着たまま入る。子供は泳いでいる。
そんなのを見ているととても気持ちよさそう。自分もやってみたくなる。
昨夜プージャ―が行われていたダシャーシュワメード・ガート。
沐浴する人びと。
聖なるガンガーで洗濯する女性たちと、ゴミをあさる牛。
ガンガーや沐浴風景を眺めていたら、下を歩いていたおっちゃんがテラスにいた私を見つけて「スミマセン!スミマセン!」と叫ぶ。ボート漕ぎの客引きらしい。
せっかくガンガーの夜明けを見て清らかな気分に浸っていたのに台無しだ。
たまに観光客が通るとそっちに客引きを始めるが、また戻ってきてこっちを見て「スミマセン!」と始まる。
つーか、ボートに乗りたくても門扉が閉まっていて下りられないし。
中国人(多分)の兄さんが通りかかったとき、おっちゃんはまたその人に客引きをするのだが、その兄さんの断り方が良かった。
足も止めず顔も動かさず、手をサッと挙げて通り過ぎる。
「わかってるよー、だけどいらないよー」みたいな感じがこもっている。
おっちゃんも、そう来られたら相手にならないという感じだった。
すっかり感心して、今度からはあの手で行こうと思った。
相手が誰だろうと良いものは学ばせてもらいますよ。
おっちゃんはまたこっちを見てまた「スミマセン!」と連呼。
「一生やっとれ!」と叫び返して部屋に戻る。
ずっと川風に当たっていたら冷えてきた。またトイレへ行く。
昨夜から腹具合が悪いが、一晩経っても下痢は止まらなかった。
下りて来いとしつこかったボート漕ぎのおっちゃん。
部屋でもうひと眠り。
腹具合は良くなったのかどうなのか。差し込みが来てから下痢が止まっていないことがわかるくらいなので。
熱も吐き気も無いので大事ではないようだが。
8時ごろ水と食料を買いに外に出る。
ガンガーのガートに下りると、結構な人出になっていた。
さっきのおっちゃんはいなくなっていた。
川に入り沐浴する人も多い。インド人以外の観光客も入っている人も見かける。
歩いているとインド人の声掛けは相変わらず。
今朝見かけた兄さんの通り、顔を動かさずに手だけ軽く上げる動作をすると、これが効果抜群だった。
どの声掛けも諦めてそれ以上声を掛けてこない。
ヘタに問答をしたり無視したりすると、もしかしてこいつは脈ありかもと思われるんだろう。
「ハイハイ、アンタに用はないよー」感を右手に込めて、一瞬でさりげなくやるのがコツかな。
そんなわけで今度はガンガー沿いのガートを落ち着いて見ることができた。
ガンガーの中心に位置するダシャーシュワメード・ガート。
夜にプージャ―が行われていた場所。
ガンガーに向かってお祈りをする人々。
沐浴の風景。
段々になっているガート。
水面が下がって川底が姿を現したガート。
塔があるラリタ・ガート。
ガートの段に腰かけてガンガーを眺める。もちろんスマホ片手に(w
川面は穏やかで、流れているようには見えない。
ゴミは浮かんでいなく、意外ときれいに見える。しかし水は緑色をしている。
川岸には水葬の死体が流れ着くこともあるようだが、幸いなことに見なかった。
下水や工場排水が流れ込んでいるので、大腸菌は基準の100倍ものレベルなのだとか。
川に浸かったり泳いだりする人を見ていると気持ちよさそうだが、やっぱり自分は入る気はしない。
腹も壊している最中だし。
手漕ぎのボートがゆらゆらと通り過ぎる。
のんびりとしたものだ。
海外旅行はとにかくあれも見てこれも見てと忙しくなりがちだけど、今日は夕方まで何も予定は無い。
予定も何も、今日の場合は腹具合次第だが。
1887年に架けられたマルヴィーヤ橋とガンガーに浮かぶボート。
路上の野菜市場。
色とりどりのフルーツ。(ブレてしまった)
1時間ほど歩いてきて汗をかいたら喉が渇く。ホテル近くの商店でまたリムカを買ってきた。
部屋に戻って飲むと、甘酸っぱくて冷たくておいしいー。
あまりがぶがぶ飲むと腹によろしくないから気を付けながら。
そういえば、日本から乾燥納豆を持ってきていたな。納豆の整腸作用を期待して一袋食べる。
インドの下痢 VS ジャパニーズ納豆、勝負はいかに。
日本から持ってきた乾燥納豆。
また差し込みが来た。
今日はずっと部屋で横になって、胃腸と体力の回復に努めることにする。
濡れティッシュでリムカを包む。
リムカはぬるくなっちゃうな。冷蔵庫などあるわけもなし。
思いついた。ティッシュを濡らしてペットボトルを包んで風が当たる窓際に置く。気化熱で冷やすというわけだ。
これが意外と冷えるので、冷蔵庫の無い部屋に泊まったときは試してみるといいですよ。
部屋の窓から見るガンガー。
ガンジス河とヒンドゥー教のお経(0:02:45)
レセプションには昨日レイトチェックアウトすると伝えてある。
今日は休息日と思うことにした。
ベッドに横になり、たまに起きあがって窓からガンガーを眺める。
後になって、とても贅沢な時間を過ごしていたとも思えてきた。
ずっと安静にしていたら、2時頃を最後に下痢は治まった。
納豆の勝利なのか、元から大したことなかったのかは分からないが、ひとまずは何とかなりそう。
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