↑ ニューデリー〜コルカタ間1450km コルカタラージダーニー急行のルート
◆ニューデリー駅
ホテルに荷物を取りに行って、ニューデリー駅に戻ってきたのが15時少し前。列車の時刻は16:55発だからまだ2時間もある。
ニューデリー始発の列車だが、駅へは早めに行った方がいい。
発車間際に乗ると、自分の寝台が他の乗客に占領されているかも知れない。
駅まで歩く途中で水を1本買っておいた。こういうものも買えるうちに買っておかねばならない。
昨日今日と買わされた土産物も入ったバックパックはかなり重くなっている。
また改めてニューデリー駅のエントランスから。
大きなバックパックを背負っているし、駅に着いたら面倒な人たちに囲まれるのかと覚悟していたが、意外とスンナリ駅に入れた。
ニューデリー駅の広いホールは相変わらず多くの人が座り込んだり横になっていたり。
昔の上野駅もこんな感じじゃなかったかな。
駅舎内のホールは列車待ちの人でごった返す。
ホールにある電光掲示板を見には、発車する列車の一覧が表示されている。かなり先の列車まで表示されているにも関わらずこれから乗る16:55発12302列車の表示は無い。
もしかして運休?
ここで心をしっかり持っていないと悪徳旅行会社に騙されることになる。
セキュリティーゲートを通ってホームに出ると、1番ホーム側にウェイティングルームがあった。
入ってみるが、ベンチはふさがっているし、暑い。天井の扇風機がブンブン回っているが、外にいて風に当たっていた方がマシだった。
1番ホームはどこか昔の日本の駅のような雰囲気も・・・
ウェイティングルームの並びにフードコートがあった。あまり混んでいない。これ幸いと腹ごしらえをする。
朝ホテルを出てから何も食べてない。暑いのと緊張の連続で空腹というのも忘れていた。
店はいろいろ並んでいて、そのうちの1つの店でメニューにあったチキンサンドイッチというのを頼んだら店員が何やら言う。
よく聞くと、入口のところで食券を買ってくれということだった。
駅舎1階のフードコート。
食券を買ってきて店員に渡す。しばらくして紙皿に乗ったチキンサンドイッチが出てきた。トーストしてあって温かい。これで70ルピー。
立ち食いだし、清潔とは言い難い場所だが、1人ならこういう所で食べた方が気が楽だ。
チキンはそぼろのようで、ぼろぼろこぼれて食べずらいがおいしい。
グリルしたチキンサンドイッチ。
ホームに出て、また電光掲示板を見ると、12302列車の表示が出ていた。16番線へと向かう。
ホームを結ぶ跨線橋。
ホームと反対側を見る。どことなくイギリス調な感じも(行ったことないけど)
ミニチュア風に加工してみる。
コルカタ・ラージダーニを牽引する機関車。
ニューデリー駅の駅名標。
◆ニューデリー 16:55 → コルカタ・ハウラー 7:57(翌)
【12302】Kolkata Rjdhni
16時を過ぎたばかり、まだ発車まで50分もあるがホームはすごい人だった。荷物を持った人ばかりだから皆同じ列車を待つ人たちだろう。
全車指定の列車だから、待つ人も落ちついているが。
発車50分前だが、ホームは人、人、人。
ホームの列車案内表示。『12302 Howrah Rajdhani 16:55』
さて、いよいよコルカタ行の寝台列車に乗る。
『コルカタ・ラージダーニー・エクスプレス』(Kolkata Rjdhni Exp.)とは、ニューデリーからコルカタのハウラー駅までの1,451.1kmを結ぶ寝台急行列車である。
ラージダーニーと付く列車は、ニューデリーから大都市や州都を夜行で結ぶ寝台急行列車のうち、スピードが速く、停車駅も少なく、全車エアコン付という最優等列車という位置づけになっている。
私が乗る車両はエアコン付2段寝台車(AC2)という寝台車で、2段寝台にカーテン付きとなる寝台となっている。
ニューデリーからコルカタまでの値段は4,265ルピー(7,393円)で、1400kmもの距離と国際線の飛行機並みに食事付きということを考えれば安い。
だがこれが一般の急行列車を利用して、普通寝台車に当たるエアコン無しスリーパークラスだと625ルピーになる。ラージダーニーのAC2クラスとの差は6.8倍。普通のインド人からすれば羨ましいような豪華列車ということになる。
そのほかには、エアコン付3段寝台(AC3)があって、基本はAC2と同じだが3段式寝台でカーテンがない。
もう1つはエアコン付ファーストクラス(AC1)で、こちらはすべて個室だが2〜4人部屋なので1人利用の場合は相部屋となる。
これらのクラスとの値段差はかなりあるはずなのだが、ネットで購入するとどういうわけか値段差がそれほどなくなるようだ。
ファーストクラスのネット価格を調べたら4,855ルピーとなり、AC2と千円ちょっとしか違わない。
このあたりはAC2クラスの値段が季節によってかなり上下するからで、今はインドは夏休み期間中のため高い設定になっているのと、ネットで買うと手数料がかなり上乗せされるためと思われる。
16:26に電気機関車に牽かれた列車が入ってきた。荷物車もいれて20両という長い編成。
ホームに停車中に客車を見て回りたいが、寝台を留守にしているあいだに他の乗客に取られてしまうかもしれないのでそれはしない。
列車はゆっくり進入してくる。気の早い人はまだ止まらないうちに飛び乗る。ドアは自動ではないので手で開けられる。
客車の入口。
客車が止まったので乗車する。
3Aの方は騒ぎのようになっているが、こちらの方はまだ人も少なく落ち着いたものだ。
ドアの横に乗客名簿が貼りだされる。
これは、自分のチケットに座席番号が書いてあれば見る必要はない。チケットに座席番号の無い人はこの名簿で確認する必要がある。
一応見てみたが、たしかに自分の名前が載っていた。
ヒンドゥー語(名前)、座席番号、ローマ字(名前)の順に表示してある。
車内は一見、日本のA寝台車のような感じ。
ボックス席タイプの寝台。腕が写ってしまった・・・
指定された番号はA1号車の29番。
寝台は4人用のボックス席(上下2段向い合せ)と、通路に並行した2段の寝台とがある。
29番の席は通路席の下段ということになる。

Cleartripから送られてきたE-チケット。赤丸が座席番号。
ところがこの席には先客が2人いる。夫婦か兄弟か知らないがまた面倒だなと思って席に行くと、男の方は見送りにきた人だった。
通路席は背もたれを跳ね上げれば2人向い合せ席となる。
おばさんと相席という格好になる。
いつの間にか私は上段の客ということにされてしまった。しかも進行方向とは反対の向き。
このおばさんが上段寝台に上がるとなると一苦労だろうし、まあいいわ。
座席下はおばさんの荷物で占領されてしまったので、バックパックは上段の寝台に入れるしかない。かなり狭くなりそうだ。ほかに置く場所は無いので仕方がない。
通路席の寝台。背もたれを倒してベッドにした状態。
最初乗った時は車内はがら空きだったが、停車中に乗ってくる人の方が多かった。
この寝台車の客はインドではお金持ちの方に当たる人たちなんだろう。ゆったりした気持ちの人が多いようだ。
発車間際になっても3分の1くらいの座席がまだ空いている。途中から乗って来るのかもしれない。
16:55になったが列車は動かない。
ここはインド、定時運転なんて求めてはいけない。旅行の行程も、列車の遅れはある程度見越して余裕あるものにしてある。
どうしたのかと思いかけたころにゆっくり動き出した。
ニューデリー駅を発車する。
さあ、コルカタまで1450km、17時間の寝台列車の旅が始まる。
異国の地で、さらに新たな地への旅立ちの瞬間だ。
♪さあ行くんだ その顔をあげて新しい風に 心を洗おう
イヤホンと充電コードを取りだし、『銀河鉄道999』を聞きながら旅立ちを盛り上げようとしたが、あることに気が付いた。
この寝台車はコンセントが無い (TωT)
最高級の寝台急行だし、てっきりあるものとばかり思っていた。
てゆうか、昨日乗った最下級のスリーパー寝台だってコンセントあったぞ。
一応あるにはあるが、4人ボックス席の一番奥に1個あるだけ。当然そこの席の人が使用している。
スマホのバッテリーは今日1日使ったのであと半分ちょっとしかない。
明日も1日コルカタ市内を観光のあと寝台列車が宿となるので、充電できるかどうかわからない。
最悪、あさってホテルに入るまで充電できないということだ。
あわてるな昔はみんな歩いてた
考えてみれば、外に出ればネット環境など全く無いに等しかった時代から一人で海外旅行していたわけで、その当時を思い出せばスマホのバッテリー切れくらいで慌てることはないのである。
ただ、あの頃は家で印刷して紙で持って行った物が、今はデータにしてスマホに入れてあるので不便ちゃあ不便。
デジカメのバッテリーはスペアを持っているので、そっちは心配いらない。
トイレにはコンセントがあるので行く度に充電していたが、気休めでしかなかった。
デッキのトイレドアと洗面台。
インド式の車内のトイレ。
◆サービス満点のラージダーニー急行
発車してしばらくしてから水の1L入りボトルが配られる。
次いでパントリー車のクルーが食事はベジかノンベジか注文取りに来る。私もおばさんもノンベジ(ベジタリアンではない)と答える。
スマホは電力節約中のため極力使わない、本も持ってきていないとなると、車窓くらいしか見るものがない。
窓は煤なのか水垢なのかこびり付いて汚れている。カメラ泣かせ。
だからといって、これといって印象に残るような景色ではない。ずっと農村地帯が続く。
車内サービスはつづく。
まずはライムジュース。甘酸っぱくて、食欲のない時は良いかもしれない。
続いてはサンドイッチと揚げパン、それにお菓子が2個。揚げパンは具が入っていておいしい。ビールが飲みたいな。車内で揚げたようで、温かかった。
カップ入りのライムウォーター。(17:28)
サンドイッチ、揚げパンなどの軽食。(17:51)
時間にして夕食ということになるのだろうが、さっきベジかノンベジかを聞いた意味があるのだろうか。メインがこれから来るのかもしれない。
あとからお湯のポットが配られた。これで自分で紅茶を入れる。昨日のシャダブディとは違って今度は紙コップ。
座席にはテーブルが無く、トレーの置き場所が膝の上しかないのが窮屈なところ。
食べ終わったら床に置いておけばクルーが回収に来る。
座席使用時は狭い感じがする。
紙コップとポット入りのお湯。(18:10)
向かいのおばさんが「荷物見ててね」みたいなことを言って席を立った。多分トイレだろうけど。
手提げバッグを置きっぱなしで行ってしまうとはあまりに物騒で、こちらが驚いてしまった。
見回すと、このエアコン2段寝台の乗客は身なりの良さそうな人ばかりに見える。置き引きなんてケチなことをする人はいないのだろう。
だからといって我々外国人旅行者がやっちゃいけませんよ。
車窓はずっと平野で畑が続く。景色は単調。
西日が差しこむ
19時、相変わらず単調な景色。日はすっかり傾いて外は薄暗くなってきた。
さすがにもうサービスも来ないだろうし、上の寝台に上がることにする。
寝台で足を伸ばせば楽かなと思って上がってみると結構狭かった。天井も頭がつかえるほどの高さ。そこにバックパックもおくわけだからさらに窮屈。
できるだけ壁側に押し付けて、足を置く場所は確保する。
通路席の上段は狭い。
上段は窓が無いのでつまらない。下段にいても窓の外は暗闇しか見えないだろうけど。
こういう退屈な時間に手帳に日記を書く。記録を残しておくと帰ってからブログを書くのが楽になるのでね。
もう何もこないと思っていたが、またクルーがトレーを配りに来た。
こんどはブレッドスティックとバター、紙コップにはスープが注がれる。飲んでみるとトマトスープのようだった。
ブレッドスティックとバター、それにトマトスープ。(19:30)
20時を過ぎた頃、暗くなった。
通路向かいのボックス席は電気を消してカーテンを閉めている。寝るの早すぎ。
通路の照明のスイッチもボックス席の壁に並んでいるようで、それも消してしまったようだ。
天井に読書灯はあるのだが、これも光が弱々しくて頼りない。接触が悪いのかついたり消えたり。どうせスマホは使えない、本も無いのだからもう寝ろと言わんばかりだが、こんな時間から眠れるかよ。
暗いが、幸い懐中電灯をもってきていた。まさかこんなところで役に立つとは。
しょうがねえ、一杯やるか。
初日に飲んだ焼酎の残りは、空きペットボトルに詰め替えて持ってきていた。
持ってきたマグカップで水割りにして飲む。まるで隠れ酒だな。
ほかの乗客の目があるところで飲むのはやりかねるが、幸いに通路側席は上下別にカーテンがあるので個室状態にできる。
向かいのボックス席は個別のカーテンは無いので、プライバシーの観点からは通路側の上段が最上席であろう。
向かいの真っ暗なカーテンの向こうからは携帯電話が鳴ったり話し声がしたり、暗くする必要があるのか?
つか、通路の明かりくらい点けてくれよ。
通路席の上段寝台は隠れ酒に最適なのだ。
またトレーを持ったクルーが来て何か配り始めた。
もらったトレーはアルミホイルで覆われた容器が載っている。まさかこんな時間にディナーが来るとは思わなかった。しかももうベッドもセットしてるのに。
列車に乗ってからさんざん飲み食いしたので食欲も無いし、もう寝てる人も多いようだが、せっかくなので出されたものは食べますよ。
しかし、こう暗くては・・・
ひらめいた。水のペットボトルを逆さにして、その上から懐中電灯の光を当てると・・・
おお、水に反射して照明になった。
さすがジャパニーズ・ニンジャ!
誰も見る人はいないが、一人で絶賛する。
アルミの包装を解くと、カレー2種類、ライス、ナンとかなりのボリューム。
ベッドにアグラをかいて食べる。頭がつかえるので前かがみ。明かりは懐中電灯。なんだか可笑しくなってきた。
カレーはベジの方はイマイチだが、チキンのほうはおいしい。こんなところで、こんな姿勢で食べるにはもったいない。しかしチキンは骨付きなので食べづらい。
手は使いたくないが、手で持たないと食べれないな。これはウェットティッシュを持ってきてたので良かった。
骨付きチキンとベジ風のカレー。ライスとナン。(20:40)
またクルーがやって来て、こんどはアイスクリームを置いて行った。デザートらしい。
食後のアイスクリーム。(20:55)
カレーとは不思議なもので、食欲が無くてもペロッと全部食べてしまった。
『カレーは飲み物です』とは誰のセリフだったか。言い得て妙だと思った。
夜の寝台車通路。
また水割りをやり始める。焼酎がカラになったので横になった。
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