2010年9月7日
●ユジノサハリンスク 9:35発 コルサコフ10:22着 [列車bP24]
今日から3日間全くの自由行動で、特に予定も入れていない。
ユジノサハリンスク−コルサコフ間の定期列車が復活したらしいので、まずそれに乗ってみようと思う。
ノグリキからの急行列車が到着する頃駅前広場は車で埋め尽くされる。
滞在している『ユーラシアホテル』は、日本で予約してもらった時は朝食付きと聞いていたのだが、前回6年前に宿泊したときは1階のレストランで朝食だったが、今はその場所はハンバーガーショップになっている。
フロントで「ザーフトラク?」(朝食は?)と聞くと8時からだという。
8時過ぎにもう1度行くと、フロントのおばさんが付いてきてと言った。だまって付いていくと駅の前を通り、バスターミナルの前を通り、別のホテルの中に入って行く。
そのホテルの1階にレストランがあった。そこのおねえさんに話をして「うちの客だけどよろしく」みたいな感じだった。隅にバイキングコーナーがあって、ここから適当によそって食べてくださいみたいなことを言われた。
レストランの無くなったユーラシアホテルの朝食はホテル『ルィバーク』で。
ルィバークの朝食。バイキング方式だった。
コーナーにはパンとハム、チーズ、サラダそれにコーヒーやジュースがあるだけ。案外に質素だなと思いつつ、パンやサラダなどを適当に皿に盛って、空いていたテーブルについて食べていると、あとから『メンチカツライス』のようなものが出てきた。
ライスはべチャッとしているし、日本人からするとあまりおいしくはないが、温かい食事というのはうれしい。
あとから出てきたメンチカツライス。
このホテルは『ルィバーク』といい、もとは漁業関係者の宿泊所だったという。今日のレストランの客は制服を着た警察なのか軍隊なのかわからないが、いかめしい人たちばかり。ちょっと緊張した。
戻ってテレビをつけると天気予報をやっている。今日のは雨マークもあった。
9時過ぎに駅に行って、窓口でコルサコフまでの列車の切符を買う。
『9−35 bP24 Корсаков』
と紙に書いて窓口に出す。
「パスポルト」と窓口の女性は言うのでパスポートを差し出した。パスポートをめくって何やら確認する。
隣町に行くだけだが、列車の乗車にはパスポートが必要らしい。
値段はなんと218.9ルーブル!
バスが76ルーブルだったから、その3倍近い金額だ。
しかも1日1往復のみなので、何のためにあるのかわからない列車だ。
トマリから北部横断線経由の列車が到着。
ホームには出迎えの人が数人いるだけ。赤い帽子の駅員が出てくると列車が見えてきた。
列車が到着してドアが開くと、乗客が降りてきて一瞬賑やかになるが皆すぐに町に消えてしまった。
列車ドアの前に立っている車掌に切符を見せて車内に入る。
案の定がら空き。てゆうか、まるで回送列車のようだ。少なくとも1・2両目は無人だった。
コルサコフ行きD2車内。
この124列車はトマリ(泊居)始発で北部横断線経由で運転されている。Д2型(D2型)気動車4両編成。
列車は定時に発車した。車内は客車のように静か。ゆっくりゆっくりと加速をするが、だんだんスピードも上がってきて80キロくらいは出ているだろうか、意外と速い。
途中停車するのはフリストフォロフカ(豊南)駅のみで、快速運転だ。それ以外の駅は廃止になったのか、駅らしいものは見当たらなかった。
快調に走るが、時おりブォ――――と汽笛が鳴って、ものすごい音をたててブレーキがかかり減速する。
フリストフォロフカ駅。日本時代の駅名は豊南(とよみなみ)。小駅でも発車時は駅員が見送る。
フリストフォロフカ駅を過ぎると湿地帯を行く。
線路が埋もれるダチノエ(新場)駅跡を通過。
ユジノサハリンスクの市街地を抜けると、森林や草原ばかりの単調な風景がずっと続くが、途中から海岸沿いに出て、終点コルサコフ近くまでアニワ湾沿いの海岸沿いを行く。
国道はずっと高台を走っているが、線路は海岸沿いに敷かれているので列車の方が景色は良い。
あいにく曇り空なので、暗い風景に見える。
沖合にはボロボロに錆びついた廃船があちこちで座礁していて、まるで船の墓場を行くようだ。
晴れていれば風光明媚なアニワ(亜庭)湾沿いを行く。
線路は海岸段丘の下に敷かれている。
廃船に混じって漁船も見える。
廃墟も多かった。
列車は5分ほど遅れてコルサコフ駅に着いた。列車から降りたのは自分のほかは2人1組だけ。北部からコルサコフまで乗り通してきた人のようだ。
駅舎は改装されたらしく、以前来た時よりずっと奇麗になっている。駅に入ろうとしたが、ドアは施錠されていた。また、駅構内の線路は一部広軌化工事が行われていて3線化されている。
駅前は若干のアパートが並ぶ程度で何もないところにある。最近はあまりやっていないようだが、ツアーのホテル列車はここが始発駅になる。
コルサコフ到着。降りたのは3人だけ。
車体に取り付けれれた行先標。『コルサコフ−トマリ』と書かれている。
コルサコフ駅舎は改装されて奇麗だが閉鎖されている。
駅から町へは崖下の道を1キロほど歩かなければならない。通行人はいないが、車は結構通る。山側は軍関係の施設らしいのでこの辺はあまりウロウロしない方が良さそうだ。
コルサコフ駅から崖下の道を通って中心部へ。
レーニンの壁画。1980年建立のようだ。
昨日も通ったが、旧拓銀の建物があるあたりは樺太時代の大泊町の中心部だったらしいが、現在このあたりは港湾関係の建物ばかりで人も少ない。
旧船見町へ続く坂道は穴ぼこだらけ。
フェリーから見える箱型アパートが立ち並ぶ丘まで歩いてきた。途中の道は舗装道路だが、穴ぼこだらけ。車も穴をよけながら走っている。
坂を登りきったところは広場になっていて、ここから港を見渡すことができる。ちょうど下にはフェリーターミナルと、フェリーの停泊する埠頭が見える。樺太時代は『船見町』だったところ。
広場には新しいモニュメントが立っていて目立っている。この辺りは日本のガイドブックには載っていない。
この塔は帰国してから調べたら『朝鮮人望郷の丘碑』といって、昔樺太時代に連行された朝鮮人たちが故郷を偲んで最近ようやく建立したものだという。
港の見える丘の広場にある『朝鮮人望郷の丘碑』。
望郷広場から見たフェリーが発着する南岸壁。
コルサコフのレーニン像。こちらは標準サイズ?
コルサコフ市中心部の『ソビエツカヤ通り』。
午前11時過ぎの市中心部のソビエツカヤ通りは人通りも少なく、またお年寄りばかり目立つ。
通りにある店を何軒か覗いたが、対面販売の昔ながらの店ばかりだった。市内各所に何か所かある市場の方が賑わっている。コルサコフ市内も空洞化が始まったのだろうか。
6年前と変わったのは、やたらと客待ちタクシーの列を見かける。タクシーといっても専用車は無く、日本製中古車をそのまま使用していて、上にオレンジ色の行燈を乗せているだけ。
市内あちこちには客待ちタクシーの列が。
バスターミナル近くの市場にもタクシーの列が。
●コルサコフ 12:00発 ユジノサハリンスク 13:00着 [バスbP15]
とくにこれと言って見るものも行くところも無く、歩いてバスターミナルまで来てしまった。昨日は閉まっていたが、切符売り場が開いていたのでユジノまでのバスの切符を買う。
コルサコフバスターミナルの切符売り場。窓口下の引出しを前後にスライドして受渡しをする。
中距離路線だが小型バスで運行。車内は大混雑。
今度のバスは時間通りにやってきた。いかにもロシア製らしい感じがするバスは定員30人くらいの小型。車内の狭いシートに座っていると、停車中に次から次へと乗ってきて、立客も一杯で満員になって発車した。
バスは次の停留所でもまた客が乗ってきて超満員。
まっすぐで幅広の国道を走るが、アップダウンで坂が多い。馬力が無いのか上り坂はエンジンをめい一杯吹かして自転車くらいの速度で登る。日本製中古車が次々と追い越して行く。
満員だったバスは、途中停留所で降りる人の方が多かったので、ユジノサハリンスク市内に入る頃には大分車内に余裕が出てきた。
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