親知らず抜歯の記4 入院・手術

◎10月5日
今日から人生初の入院。
持ち物は替えの下着、洗面用具一式、バスタオルとタオル、チタンマグカップ、うがい用コップ、箱ティッシュ、ウエットティッシュ、箸スプーンといったところ。
あと暇つぶし用のDS。ノートPCでも持って行こうと思ったが、さすがにそれは入れなかった。

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 入院に持って行った物。

このあいだ、実家に保証人を頼みに行ったとき、親が洗面器とスリッパを貸してくれた。スリッパはともかく洗面器は要らないような気がした。荷物をまとめているとこれが結構嵩張る。結局どちらも持って行かないことにした。
あとは入院書類など忘れていないか確認する。

これらを入れたキャリーケースを引いて自宅を出る。これから旅行へでも行くような出で立ちだった。じっさい、気分も旅行と言うか、出張にでも行くような気分だった。

予約書に書かれている10時に入院外来の受付へ行って手続きをする。入院申込書はここで渡した。
受付が済むと、入院病棟の口腔外科ナースステーションへ行ってくださいとのこと。

行く途中にレンタルセット受付コーナーがあったので、病衣セットの申込書を渡す。上着とズボンで1セット、2セット渡された。週2回交換があるとのこと。

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 ここで寝間着など必要なものをレンタルする。

2Fのナースステーションに行く。カウンター名前を告げて、今日から入院だと告げる。

ここで入院申込書以外の提出書類を渡す。
手首にリストバンドをつけられる。見ると生年月日やバーコードが記されていて、これで管理されるらしい。

看護師から、今日と明日のスケジュール、術前術後の過ごし方などの説明を受ける。
明日の手術は16時からとなった。今日は21時以降は食べられない、明日の12時以降は水分も飲めないとのこと。

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 入院に持って行ったキャリーケース。

病室は男女別6人部屋。案内してくれた看護師さんと一緒に入る。
軽く挨拶。
「今日から入院する○○さんです」
「よろしくお願いします」
まるで新入りだ。

ベッド周りについて看護師さんが一通り説明してくれる。
じゃここで着替えて、11:15になったら、今日からの人を集めて入院説明を行うのでデイルームへ行ってくださいと言って看護師は去って行った。

ベッドでさっき受け取った寝間着に着替える。
着てみるとサイズが小さい。上下ともまるで八分袖のようだ。

普段シャツなどはMサイズを着ているので、そのつもりでMサイズを申し込んだのだが、申込書は男女別になっていなかったのでユニセックスだ。男性ならば一回り大きめのサイズにした方が良い。
なんだかみっともないが、そんなに長居するわけではないし、これで我慢しよう。

ロッカーに小物を収め、寝間着に着替えると、ベッドに横になるしか身の置き場所が無い。しばらくボーっと過ごす。今頃会社の人たちは仕事してるんだろうな。

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 ベッドと棚。

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 収納棚とテレビのカードリーダー。右のDVDプレイヤーも使える。

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 貴重品ボックス。

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 冷蔵庫。これもテレビカードから使用料が引かれる。

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 ナースコール。右のラジオは無料で聴ける。

11:15に入院説明のためデイルームへ。集まったのは5人、今日から入院する新入りたちだ。
これから始まる入院生活や院内の設備や使い方などを移動しながら説明してくれる。
デイルームから始まって、シャワー室、売店、洗面所などを一緒に回る。
それでも15分くらいで終わった。病室に戻って、またベッドに横になる。

12時近くなって各ベッドに食事が配られる。私はまだ食事制限が無いので普通食になる。この日の昼食はかき揚げがのった蕎麦だった。

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 10/5昼食。(そば、かき揚げ、大根おろし、おひたし、バナナ、豆乳飲料)

食後は各自がトレイを持って食器を下げに行く。デイルームにはさっき説明のあった通り、配膳棚が置いてあった。

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 食べ終わった食器はデイルームにある配膳棚に各自下げる。

またすることが無くなり、ベッドに横になる。
基本健康体なのでベッドでじっと横になっているのは苦痛でしかない。

持ってきたDSを出した。入っているゲームはドラクエ6リメイク版。前に買ったけど中途半端にしかやっていなかった。入院中にクリアしてしまおう。
しばらくはこのDSが入院生活の友となるのだった。

ゲームをしていると麻酔科の担当医師がやってきた。
ベッドで明日の手術の麻酔について説明される。薬のアレルギーが無いか聞かれたような気がする。あとは忘れた。
最後に『麻酔同意書』にサインする。

14時、看護師が病室に来て、全員の検温と血圧測定。毎日この時間にあるとのこと。先に入院している人たちは、看護師が来る前に熱を測り終えている。

そのあと起き上って病院内を散歩してきた。上にジャージを羽織ると、ちんちくりんの寝間着でも何とか様になる。

外来の方は相変わらず混んでいる。前回まではこの中の1人だったんだなあと思う。今じゃまるで別世界の入院病棟。
こちらは病衣姿で、外の人から見れば憧れの入院患者(w。

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 病棟入口。

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 2階の窓から1Fロビーを見る。

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 2Fの売店。ファミリーマートになっている。

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 売店横にあるテレビカード販売機。カード残高は左の精算機で換金できる。

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 テレビカード。TV使用と冷蔵庫使用に使う。

病室に戻るとベッドに横になり、またDSを始める。

色んな担当の人が次々とやってくる。
担当の医師、看護師、手術担当、麻酔担当、薬剤担当。
もう誰が誰だか分からぬ。

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その度に何度も同じようなことを聞かれる。過去の病気、今の持病、飲んでいる薬など。自分は一切ナッシング。
面倒だが、基本暇なので何回よばれても一向に構わないのだが。

説明が終わる度に同意書にサインする。書類を見ると自分の病名が書いてあった。

病名:
   『18,28智歯周囲炎、38水平埋伏智歯』

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 とにかく書類が多い。

18時、夕食の配膳。おかずは白身の焼き魚とアサリを混ぜたキャベツの浅漬け。ずいぶん貧弱だが、これを以て明日手術が終わるまで食事はおあずけになる。

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これでは足りず、売店でドーナツを買ってきて食べた。

今日はこれで終わり。初日はとにかく言われるままに言って聞いて署名して、1日が終わったという印象だった。

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 夜の1階ロビー。昼間は混み合っているが、夜は入院患者の憩いの場となる。

21時になり消灯。病室の照明は全て消され、テレビも点かなくなる。枕もとのスタンドは使えるので本くらいは読める。
こんな時間から眠れるのかと思っていたが、ベッドで横になっていたら眠ってしまった。

目が覚める。時計を見ると23時。両隣りからすごいイビキ。ダブルサウンドだ。これはたまらん。
ヘッドホンで音楽を聴いてごまかすとまた眠れた。その後も何度も夜中に目が覚めた。

◎10月6日
6時、部屋の照明が点灯して起床時間になる。
看護師が回ってきて検温と血圧測定。
「ねむれましたか」
「いえ、あまりよく」
昨夜のイビキについては言い出しかねた。

8時に朝食時間となるが、自分は無し。昨日渡された経口補水液が食事代わりになる。水のほか、スポーツドリンク、お茶は飲んでもOK。ジュースや牛乳、コーヒーは×とのこと。

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 朝食代わりの飲料。

昨日同じく入った隣の人は14時から手術、自分は16時からの手術の予定だ。
抜歯自体は8月に経験済みなので、特に心配も不安も無かった。

食事もできないし、とにかく暇なので、朝からずっとDSでドラクエをやっていた。こんなにゲームに熱中するのはいつ以来だろう。

12:40、隣の人が手術に呼ばれて行った。14時からの予定だったからずいぶん早い。
自分も1時間早まって、15時から手術と伝えられた。14:40には行けるように準備しておくようにとのこと。

さっきの隣人が戻ってきた。自分のベッドに寝かされたまま手術室から戻ってきた。自分もあんなふうに戻ってくるのだろうか。

看護師がそろそろ準備しておいてくださいと言う。ああ、次は自分の番か。
準備といっても、手術着に着替え、トイレに行っておくくらい。歯も磨いておく。

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 手術の説明書。

再び看護師がやってきて、では手術室へ行きますと言うことになった。メガネはケースがあればかけていても良いが、無ければ部屋に置いていってくださいとのこと。ケースはあいにく持ってきていないので、外して棚の上に置いた。

いよいよ手術室へ出発。

「行ってらっしゃい」
同室の人が言った。

「・・いってきます」
と思わず答える。

ちょっとした心遣いが心強くなる。

看護師の後をついて行く。途中で手術スタッフと一緒になる。スタッフたちを見ていると手術という感じがしない。これから工事現場にでも向かうようなノリだった。

階段を登って3階へ。このフロアが手術部となっていて、すべての手術がここで行われるらしい。

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 手術部の入口。この先に手術室が並んでいる。

立入禁止の表示がある二重扉から中に入ると、廊下に手術室のドアがずらりと並んでいる。『手術中』のランプがついた部屋も多い。その中のひとつの部屋に通される。

中は手術台、上にはライト。実物の手術室を見るのも初めてだった。
ここで初めて事の大きさというか、えらいことになったという気持ちが湧き上がってきた。

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 手術室のイメージ。こんなに最新式ではないが。(札幌医科大学[写真ニュース]より)

まずは台の上に横になる。つづいて毛布が巻かれて体を固定される。心電図や血圧計が取り付けられ、手の甲には点滴のための針が取り付けられる。
てきぱきと感心するほど手際が良い。考えれば彼らにとっては毎日のことなのだった。

「今から麻酔をしていきますよー」と言われ、口に酸素吸入マスクを当てられる。
「ゆっくりと効いてきますから」の声も聞き終わらないうちに自分の名前を呼ばれたような気がした。

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 手術中のイメージ。ネットで拾ったもの。

「終わりましたよー」
気が付くと見覚えのある天井のライトがあった。
意識はあるがまだボーっとしている。
口を開けたままの姿勢で固定させられていたせいか、首がやたらと痛い。

体をスライドさせてベッドに移され、エレベーターで下って横になったまま病室に戻されたところまでは何となく記憶がある。

時計を見ると17:30を指していた。口には酸素マスク。手術開始が15時だったのであれから2時間半経っている。
アゴ周りが痺れている。さては失敗したなと思ったが、これは局所麻酔だろう。またウトウトする。

19時ごろ、麻酔が切れて顎周りの感覚が戻ってきた。反対にさっき抜いた下の親知らずの傷がズキズキと痛みだした。たまらずにナースコールを押す。
看護師が来て痛みを訴えると、まだあと1時間は絶対安静だという。薬は飲めないので、我慢できなければ座薬になると言われ、お願いした。さすがに座薬の効き目は早く、すぐに痛みは引いた。

20時、再び看護師が来て、一緒にトイレまで行く。ずっとかけられていた酸素マスクが外される。点滴したままなので棒をガラガラと引いてトイレへ。ふらつきが無ければOK。続いて洗面所でうがい。うがい薬が傷口にキーンとしみる。
とくに問題もなかったようで、ベッドに戻って夕食になった。

夕食時間は18時からで、食中毒予防の理由から取り置きはできないので、レトルトの簡易食となることは事前に聞いていた。
出てきた食事はレトルトの袋に入ったまま。しかも冷たい。
宇宙食ってこんな感じなんだろうかと思った。

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 レトルトの食事。自分で食器に開けて食べる。

食欲など無かったが、食べなきゃと思い食べる。飲み込むのが一苦労だった。

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 レトルト袋から自分で食器にあける。

点滴が交換される。今までは水分補給の生理水で、今度は抗生剤ということになる。22時までと言うことで、点滴のまま消灯になった。

また傷口が痛み出す。さっきの座薬から3時間経たないと次の痛み止めは飲めないということだったが、どうしても痛ければ飲んでいいと言われた。2錠飲んで横になる。

22時、看護師が来て点滴が外される。明日以降も抗生剤の点滴が行われるので、針は手の甲に刺したままとなった。暗いなか懐中電灯で作業をしていた。

またイビキの大合唱。昨日と同じようにヘッドホンをつけて寝る。

posted by pupupukaya at 16/11/05 | Comment(0) | 体験記
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