北海道新聞 2016年10月26日(水)
今朝の道新朝刊1面トップ記事である。

JR北海道が抜本的な事業の見直しの対象とする「単独では維持困難な路線」に10路線13区間を選んでいることが25日、関係者への取材で分かった。
うち札沼線の北海道医療大学―新十津川間、根室線富良野―新得間、留萌線深川―留萌間の3路線3区間は廃止を伴うバス転換などで協議する。
(同記事より文と画像を引用)
「札幌まで新幹線が来るころには北海道の鉄道は旭川までになっているかもねえ」などと会話で冗談を言っていたものだが、どうやらその冗談が本当になるかもしれない。
記事の内容はJR北海道の正式な発表ではなく、関係者への取材で判明したものである。まだ廃止候補となったわけではない。現段階ではJR北海道単独では今後維持管理が難しいとして、今後の経営方針を自治体と協議したいということだ。
要は上図でオレンジ色になっている9区間については、うち(JR北)では維持しきれないので、『上下分離方式』という形態で線路を維持してもらえんべか、ということである。
『上下分離方式』とは何かというと、道路とバスの関係に例えると話がわかりやすい。
バス会社は道路上で営業しているが、道路に関する費用を直接負担する必要が無い。道路は国や自治体の所有なので、社会インフラとして税金で維持管理されているからだ。
バスが「上」、道路が「下」、それぞれの会計が別ということ。
一方で鉄道は、列車を走らせるのも自前だが、線路も自前で所有して、維持管理の費用も全て自前で出しているのが現状である。
線路については道路のように自治体で所有・維持管理してもらって、列車の運行に関する費用だけ負担して営業する形態にすれば、JR北海道の負担もかなり軽くなる。
記事では『自治体に所有してもらう』とあるが、自治体とは間違いなく『北海道』になると思われる。沿線市町村にそんな体力があるとは思えない。
国の所有にするとしたら、それは協議では収まらず、確実に政治の話になる。
もっとも個人的には、また国鉄に戻してしまえとも思っているが・・。
道が線路の所有に対してどれだけ乗り気になるのだろうか。
道の回答いかんによって、これらローカル線の運命が左右される。
話はまた上図に戻るが、1区間だけあれっ?と思った箇所があった。
それは函館本線 長万部〜小樽(あるいは長万部〜倶知安)間である。
いわゆる『山線』と呼ばれる区間で、この区間の輸送量も今回対象になった根室本線 滝川〜新得間と似たようなはずである。
なぜ今回の検討対象路線から外されたのか。
それは、新幹線が札幌開業となれば、この区間は自動的に三セク化か廃止になるからだ。
こういう所は抜かりないというかセコい。
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