2016年5月31日 ファーストホテル ロフォーテン〜
■スボルベル〜ボードー ヌールラン急行(Nordlandsekspressen)のルート

今日はオスロを目指してひたすら南下する。ここスボルベルを朝6時半に出発し、船と鉄道を乗り継いで翌朝オスロに到着するという強行軍になる。
5時50分、ホテルをチェックアウト。といっても、無人ホテルなのでそのまま部屋を出ればおしまい。
中心部の広場まで歩く。誰も歩いている人はいない。キャリーケースを引くガラガラという音だけが響く。
まずはここスボルベルから鉄道のあるボードーまでフェリーで移動する。
スボルベルとボードの間はヌールラン急行(Nordlandsekspressen)という航路があって、高速船が1日1往復している。ナルビクからロフォーテン経由でボードーへ抜ける場合に便利な航路だ。
この船はボードーまでの所要時間は、途中5か所の港に寄港しながら3時間半。島伝いに走るので眺めは良さそうだ。
せっかくノルウェーまで来たのだから船からのフィヨルド見物もしたいと思っていた。しかし、日程的にもそれは叶わないとわかったところへ見つけたのがこの航路だった。
朝6時前の広場。誰もいない。
ボードー行フェリー乗り場は、ネットで調べてきた時刻表ではhurtigbåtkai(高速艇桟橋)といって、中心部の広場に面したところにるはず。
あるはずというのは、昨日見に来たときにそれらしい建物はなく、それどころか看板や標識すらどこにも無かった。
ネットに掲載の地図を信じて中心部の広場まで来た。、ここも誰もいなかった。港町だから朝は早いのかと思っていたが、日曜日の朝のように静まり返っている。もう漁の時期も終わっているのだろうか。
昨日来た桟橋に、昨日はいなかった船が1隻停まっていた。どうやらこの船がボードー行らしい。らしいと言うのは、まわりに誰もいないし、ボードー行きの表示があるわけでもない。船内に座席が並んでいるので、旅客船であることは間違いない。
ほかにそれらしい船も見当たらないし、この船の前で待つことにした。

スボルベル〜ボードー間のルートと時刻
Ruteopplysningen i Nordland にて検索した表示画面
船が停まっていた桟橋。ここが高速艇桟橋(hurtigbåtkai)らしい。
今日も快晴。毎日天気にだけは恵まれている。風も無く、海面もさざ波ひとつなく、建物や岩山が水面に映ってまるで鏡のよう。
湖なんかではたまに見ることはあるが、海でこんな水面を見るのは初めてだ。
スボルベルの高速艇桟橋に停泊していたSteigtind号。
さざ波ひとつない鏡面のような海。
6時10分ごろ、荷物を持った人が1人、2人とこの桟橋へと集まってくる。船員らしい人も出てきて作業を始めた。そうこうしているうちに船体からタラップが下りてきた。待っていた人たちが乗り込んで行く。
その人たちのあとに続く。
船内に入ると先に乗った人たちが並んで、順番に何か書き込んでいる。自分の番が来ると、係の人がここに自分の名前と行き先を書くように言った。乗船名簿だった。
持っていたキャリーケースは荷物置き場に置くように言われる。
タラップが下りて乗船開始。
乗ってすぐに乗船名簿に名前や行先を記入する。
リクライニングシートが並ぶ客室。
船内の売店。軽食のほか酒類も置いていた。
船室中に入ると結構広い。キオスクもあって、ケースにはサンドイッチやサラダが並んでいる。ビールもあった。
まだ船内は空席だらけ。窓側の席に座る。船らしく、非常時の避難マニュアルが差し込んであった。
足元にはコンセントがある。フリーのWi-Fiもあって至れり尽くせりだ。
座っていると機械を持った係の人が船内を回ってきたのでチケットを買う。スボルベルからボードーまで443Kr、ここもクレジットカードで払う。
渡されたチケットはまたもペラペラのレシート。昨日のバスでもそうだったが、こちらのチケットは味気ない。もう少し金券らしい紙に印字してくれれば、旅行の記念になるのにと思う。もっともそんなもの有難がるのは日本人だけかもしれないが。
スボルベル港を出港。
6時30分、定時刻に出航する。あっという間にスボルベルの港が遠ざかった。
10分ほどで最初の寄港地に停まる。岸壁にはこの船の乗客らしい人が何人か立っているのが見えた。
途中島々の港に寄港する。
最初の寄港地スクロヴァ(Skrova)。
岸壁にいた人たちが全員乗船するとすぐに出航、係員が今乗った人たちにチケットを売って回る。船というよりなんだかバスのような感じだ。
次の港でも同じように停まって、客を乗せるとすぐに出航する。
船内の乗客は一見して地元の人とわかるような人ばかり。外国人など私だけのようだった。
乗船口のデッキにはビニールで包んだ新聞が無造作に置かれている。島々への新聞輸送も行っているらしい。
観光的な雰囲気はまるでない。あくまで沿岸住人の足といったところ。
それでも景色はすばらしい。クルーズの豪華客船も良いが、こっちだって悪くはない。海からそそり立つ岩山や島々の漁村などが次々と現れるので、ずっと景色に釘付けになっていた。
岩山の島々が続く。
海上からそびえ立つ岩山。氷河の浸食で作られたという。
途中から乗船する人が多い。
漁船とすれ違う。
橋の下をくぐる。
ヌールスコット(Nordskot)に寄港。
スボルベルを出港する頃はがら空きだった船内も、寄港地ごとに乗船客があってだんだん賑やかになってきた。海は静かだが船内はざわざわと話し声が響く。
最後の寄港地ヘルネサンド(Helnessund)では結構乗ってきた。船内はさらに賑やかになる。
ボードーまであと1時間10分。ここから外洋に出るのか船は揺れるようになった。景色も水平線ばかりで退屈になる。南に向かうにつれてだんだん雲が多くなってきた。
ボードー港に到着。
10時少し前、ボードーに着いた。タラップから船を降りると空気が冷たい。あんなに暑かったスボルベルやナルビクから南に来たのがウソみたいだ。
正面には7階建てのビルがそびえ立っている。ここがフェリーターミナルで、きっぷ売場やコインロッカーが並んでいた。観光案内所もこの中にあった。
フェリーターミナルの建物。観光案内所も入居して駅より立派だった。
ボードーからは再び鉄道になる。次に乗るトロンハイム行の発車時刻まではまだ2時間半もあるが、とりあえず駅へ向かう。
ビルが立ち並び、車も多くて大都会に出てきたようだ。
フェリーターミナルからボードー駅までは歩いて10分ほどで着いた。写真で見た古めかしい駅舎が建っていた。
古めかしい建物のボードー駅(Bodø stasjon)。
ボードー駅はノルウェー国鉄ヌールラン線(Nordlandsbanen)の終点になる駅で、北緯67度18分に位置する。北極圏であり、ノルウェー国鉄の実質的な最北端の駅になる。
駅舎だけ見ていると歴史がありそうな感じがするが、開業は第2次大戦後の1961年と比較的新しい駅である。
あまり広くない待合室があるだけ。こじんまりした駅という印象だった。
駅に着くとちょうど列車が発車するところだった。
窓から発車するところを見ていると、駆け込んできたおばさんに何やら訊かれる。
「ソーリー、アイドントノー」
すいませんね、お役に立てなくて。ていうか何で僕に聞くのだろう。
壁に貼ってあった時刻表を見ると10:12発ログナン(Rognan)行きとあった。ログナンはボードーから81kmの所にある町。ローカル列車ということになる。
時刻表によると、トロンハイム行が昼行1本と夜行1本、そのほかローカル列車が7本あって、ボードー発の列車は計9本。意外と多い。長距離列車が1日2〜3本発着するだけの駅かと思い込んでいた。
列車が発車して行くと、待合室は3人くらいの人だけになった。あとは券売機とコインロッカーがあるだけ。キオスクも無く、きっぷ売り場も閉まっていた。
これから乗る列車までまだ2時間以上もあるし、こんな駅の中で過ごすのはもったいない。駅を出て町を見物してくることにした。
歩行者天国になっているストール通り。
駅前から坂を登った高台に商店街が続いていた。ストール通り(Storgata)と言って、港まで続いている。
歩行者天国になっていて、これがボードーのメインストリートのようだ。まだ10時を過ぎたところとあってか、人は少ない。昼から賑やかになるのだろうか。
道は途中からショッピングモールになる。そこの入口には物乞いがいた。見たのは初日のヨーテボリ以来だ。
そこを抜けるとまた商店街が続いていて、突き当りが港になっていた。
通りは途中からショッピングモールになった。
マリーナのようなところに出た。ストール通りの突き当り。
ボードー市の人口は約4万6千人。中心部はビルが立ち並び、人口以上に大都会に見えた。
ショッピングモールの中にスーパーがあったので買い物をする。
あらためて物価の高さを実感する。お菓子でも買おうかと思ったのだが高いこと。スナック菓子は特に高いようだチップス類はどれも30Kr(約400円以上)。こんなのカゴにポイポイ入れてクレジットカードで払っていたら日本に戻ってから破産するわ。
逆にパンや水は必需品ということなのか値段は低めになっている。といっても日本より高めだが。
買ったのはサンドイッチとチョコマフィンそれに水。
どうも北欧に来てからというものケチくさくっていけない。
レジでクレジットカードを出しかけたが、昨日スボルベルで降ろした400Krがまだ手つかずだったので現金で支払ってお釣りをもらった
支払合計は65Krで、200Kr札を出した。135Krのお釣り。とりあえず小銭はできた。
ノルウェーでよく見かけたユーロスパー。
ストール通りの商店街。日本のようにアーケードもあった。
またボードー駅に戻る。
広場のカフェではおとしよりたちが午前中からビールを飲んでいた。たっぷり年金をもらっているのだろうか。羨ましい。
しかし寒い。昨日までの暑さを思うと、南国から北国に来たような気分だった。しかしこっちの方が空気は澄んでいると感じた。
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