2016年白夜・北欧旅行記5 SJナイトトレイン2日目

 2016年5月28日 SJナイトトレイン車内〜

目覚めると窓の外は明るくなっていた。時計を見ると4時を少し過ぎたところ。

外を見ると、背の低い針葉樹や白樺の林がどこまでも続いている。
昨日見た車窓は、人家や牧場が見えてまだ人里という感じだったが、この辺りまで来ると人家は無いのだろうか。寂しい北の景色を見ていると、寝ている間に遠くまで運ばれてきた感じがした。

目覚めると別世界とまではいかないが、やっぱり夜行列車の旅は良い。

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 一晩明けて、北方の風景が続く。

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 沼地のそばを通過。朝霧や水面が幻想的。

だんだん並行する道や牧草地などが見え始めてきた。4時10分、ヘルネサンド(Härnösand)着。
時刻表では4:22着となっているからずいぶんな早着だ。

雨が降っていたようでホームが濡れている。気温も低そうで、ここで降りた何人かの人は全員ジャンバーを羽織っていた。

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  雨上がりのホーム。ヘルネサンド駅に停車。

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 ヘルネサンド駅の駅舎側。通路の窓から。

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 朝焼けの地平線。北緯62度、北極圏はまだまだ遠い。

ヘルネサンドで13分停車し、発車は定刻の4時23分となった。停車中にホームに降りてみたかったが、発車時刻が早まっていれば置いてけぼりになるかもしれないしやめておいた。

町を過ぎると低い林ばかりの丘陵地帯が続き、単調な風景。
スマホで時速を測ってみると、最高は150km/h。スピードの割に揺れや騒音は少なく、乗り心地は良い。

6時40分、部屋を出てビストロカーへ行く。もちろんカギも持った。

SJナイトトレインでは、ファーストクラスの寝台は朝食代込みとなっていて、列車内のビストロカーか、列車を降りて指定されたレストランなどで朝食を食べることが出来る。
ビストロカーは6時半から営業している。早速行ってみようというわけだった。

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 連結部分の貫通路を何回も通ってビストロカーへ。

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 座席車を通り抜ける。

ビストロカーまでの途中に座席車もあった。途中で降りる人が多いのか空席が目立つ。座席はゆったりとしていて、一晩だけなら節約のために座席車にするのも悪くなさそうだ。

3段寝台の3人部屋個室も空き部屋がいくつかあったので覗いてみる。2人使用なのか中段は折り畳んである。個室内に洗面台もあり、2人ならばこっちでも快適だと思った。室外には共用のシャワールームもある。

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 3人用個室。2人使用の場合は中段は折り畳んである。

さて、ビストロカーに着いた。
テーブルと椅子が並び、雰囲気だけは食堂車という感じがする。

まだ客は誰もいなかった。車掌が4人、レジ近くのテーブルに座ってくつろいでいる。
レジには誰もいない。まだ開店前かなと思いつつレジの前に立つと、1人の車掌が席を立ってレジへやって来た。

一昨日スウェーデンに着いてからまともな食事をしていないので、ここでようやく温かい食事ができるものと思っていた。

列車のチケットを見せて「ブレックファースト?」と訊いてみる。
横のケースからサンドイッチ、ヨーグルト、エッグなどを選んで持ってきて、コーヒーは横の機械からというようなことを言われる。

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 ビストロカーのレジ。クレジットカード対応。

横のケースを見たが、食事になるものといえばパンやパイのほかスナック類ばかり。あとなぜかパック入りの寿司があった。
一番ボリュームのありそうなパック入りサンドイッチを手に取った。あとはヨーグルト飲料とゆで卵。寿司はダメなんだろうか。

レジへ持って行くとレシートをくれた。ん、金取るのか?と疑問に思い、見ると合計50SEKとなっていて、そこから50Kr割引となっていた。

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 ケースに並んだ商品。

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 コーヒーはセルフサービス。

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 ケースから取ってきた朝食。

サンドイッチはシーフード系だろうか。それにしても食べているとパン屑がやたらとこぼれる。そういうパンなのだろう。
ビールのツマミならば兎も角、一緒に飲むのがヨーグルトドリンクというのがとても侘しい。

ビールやワインも応置いてあるようで、言えば出してもらえるのかもしれないが、そこまでする気にはならなかった。

この車両はビストロカーということになっているが、実際は売店併設のラウンジカーといったところか。

もしかしたら夜は別のメニューがあるのかもしれないが、車内で食事をするのならば乗車前にスーパーなどで食料を買っておいた方がいいかもしれない。

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 閑散としたビストロカー。

突然、テーブルを囲っていた車掌たちが一斉に立ち上がっていなくなった。しばらくして駅に停車した。
どうやらそれぞれの持ち場に戻って行ったらしい。
車掌がビストロカーの店員も兼務しているのである。北欧はよく合理主義と聞くが、確かにビストロカー要員を別に乗せるよりは、はるかに合理的だし、サービスレベルも維持できる。

それにしても、カウンターもケースもそのままで留守にして大丈夫なんだろうか。

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 ウーメオー(Umeå)駅に停車中。

部屋に戻ってからシャワーを浴びてみる。
シャワールームは洋便器と洗面台があって、一応ホテルのシャワールームのようになっている。便器や洗面台は折り畳みではなくてそれぞれ占有しているので、シャワースペースは残りの空間ということになる。
ぐるり囲むようにシャワーカーテンがあり、これをしないと便器もタオルもずぶ濡れになってしまう。

シャワーを浴びて体や頭を洗ってみたが、シャワーカーテンが体にまとわりついて気持ち悪い。さっと流すくらいにしておいた方がいいのかもしれない。

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 狭いシャワールーム。シャワーカーテンを引くとスペースはさらに半分に。

バストゥトレスク(Bastuträsk)手前で車内放送があった。多分到着放送だろうが、今日初めての放送の気がする。
この駅で結構な人数が降りて行った。

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 バストゥトレスク駅。停車駅ごとに下車客がある。

駅間は相変わらずの風景が続くが少しずつ変化していて、木々は細く背も低くなってきて、湿地帯も多くなる。
確実に北へ向かっていることを実感する。

線路に沿ってずっとネットを張った柵が続いているのに気付いた。これは野生動物の線路への侵入を防ぐためだ。
北海道でも線路沿いにシカよけの柵を設けたりしている。スウェーデンの鉄道も同じ悩みがあるようだ。

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 貨物列車とすれ違う。

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 湿原と川。過酷な気候を思わせる。

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 立ち枯れの林。

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 神秘的な佇まいの氷河湖。

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 エルブスビュン(Älvsbyn)駅に停車。

北へ進むにつれて天気は良くなって、ボーデンに着くころにはすっかり快晴になっていた。

荷物をまとめて降り支度を始める。といっても持ち物は小さいキャリーケース1個だけなので簡単に終わる。
この列車はボーデンが終点ではなく、そのつぎのルーレオまで行くが、ボーデンでは停車時間が25分もあるのであわてる必要はない。

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 ボーデンの町が見えてきた。

ボーデンには11:10に着いた。定刻では11:04着だから若干遅れたことになるが、ヨーテボリから1400km以上も走ってきてということを考えるとほぼ定時刻ともいえる。

キルナやナルビク方面はここで乗換えとなる。しかし、下車客は数えるほどだった。車内も人の姿はほとんど見えず、まるで回送列車のようだ。
乗客のほとんどは途中で降りたということになる。
考えてみれば、ストックホルムからここまでの距離を見ても1000km以上ある。この距離の移動は通常ならば飛行機であり、寝台列車は沿線の空港が無い町に住む人たちの足になっているのだろう。

今乗ってきた列車は11:29に終着駅ルーレオに向けて発車する。この駅で進行方向が変わるため、機関車の付け替え作業が行われる。

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 ボーデン駅に到着。ここでナルビク行に乗換えになる。

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 ヨーテボリから1486km、ずっと牽引してきた機関車。同じ機関車が反対側に付け替えられる。

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 古めかしいホームと案内表示。

ボーデン駅は今乗ってきたストックホルム方面への路線、ボスニア湾沿いの港町ルーレオへの路線、そして国境を越えてノルウェーのナルビクまで行く路線と三方向からの路線が集まる鉄道の要衝といったところ。
それ以外にも、国境を越えてフィンランドまで伸びる路線もボーデンから分岐しているが、こちらは貨物専用となっている。

ホームの屋根は主要駅といった風格の、木造ながら堂々とした構えである。

次のナルビク行の到着時刻は11:29なので少し時間がある。駅舎や町の様子も見てこよう。

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イラストが描かれたカラフルな地下道。ボーデン駅。

ホームから駅舎へは地下道で結んでいるが、地下道はカラフルな壁画が描かれていた。

駅舎は木造の堂々とした構え。あとで調べたら1893年建築とあった。
建物の大きさに比べて、駅舎内は狭く若干のベンチとコインロッカーがあるだけだった。

駅前は普通の住宅地という感じで、駅前らしさは何もない。長距離列車やローカル列車が数往復発着するだけの駅は、すっかり脇役という感じだった。

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 ボーデン駅は木造駅舎。

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 駅前は何もない。

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 駅舎内にあったキオスク兼カフェ。

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 ボーデン駅の発車案内に表示の発着列車。

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 ルーレオに向けて機関車を前後に付け替えたSJナイトトレイン。

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 ナルビク(Narvik)行の表示。Gällivare (イェリバレ)は経由駅。

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 入線してきたルーレオ始発の列車。

再びホームに戻ってきた。ホームにいるのはSJナイトトレインからの乗継の数人だけ。

やがて電気機関車に牽引された列車が3番線に入ってきた。ルーレオ始発のナルビク行だ。
入線してきた列車の客車はわずか3両だけ。いかにもローカル列車だが一応『SJ InterCity』の列車種別が付けられている。

ヨーロッパ最北端の鉄道である、ノルウェーのナルビクまではスカンジナビア半島の山脈と国境を越えることになる。
距離にしてあと437km、7時間近くの乗車時間だ。途中で北緯66度を過ぎ、いよいよ北極圏となる。

posted by pupupukaya at 16/07/18 | Comment(0) | 2016年白夜・北欧旅行記
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