函館本線 鷲ノ巣駅
【開業】昭和19年9月1日(旅客取扱い信号場として)
【仮乗降場化】昭和24年8月1日
【信号場復活】昭和37年9月30日(旅客取扱い継続)
【駅格上げ】昭和62年3月31日
【所在地】八雲町花浦
2016年3月26日は北海道新幹線の開業日。その陰でローカル線は減便、8駅が廃止になる。
そんな廃止になる駅のひとつ、鷲ノ巣駅に行ってきました。
林の中にひっそりとある鷲ノ巣駅。
ホームへの階段と待合室。
待合室入口。お邪魔しますお。
管理が行き届き、ていうか住人でも居そうな雰囲気。
ベンチはベッドメーキングされて宿泊もできそう。置かれていたノートは「駅ノート」ではなくここは「旅日記」。
なぜかやたらとティッシュが置かれていた。
待合室奥側から入口方向。住人が現れそうだ。
アパートの共同トイレのよう。奥から住人が出てきて「あんた人の家に勝手に上がって何してる」なんて言われそうだ。
トイレはボットン便所。紙も置いてあった。
駅名標。
ホームから駅前を見る。人家は無く、ぬかるみの駅前通りが伸びる。
ホームから八雲方を見る。
構内踏切と駅舎反対側のホーム。短くて、1両分ほどの長さしかない。
ホームの縁には”1962-10”と彫られている。信号場が復活した時に設けられたホームだろう。
貨物列車が通過する。
道道花浦内浦線から見た駅への道路。この先に駅があるとは思えない。
これも道道にあるバス停。その名も「鷲の巣信号所前」。
駅の場所は道道花浦内浦線から細い道を150mくらい入ったところにあり、まわりは林や荒れ地ばかり。駅前に人家が無いあたりが秘境駅と呼ばれる所以である。鷲ノ巣駅周辺は無人地帯というわけではなく、八雲市街地の北端といったところにあり、隣の八雲駅までの距離も3.1kmと近いこともあって、地元の利用客はほとんどいなさそうだ。
駅としては一応、2016年3月25日で終了になるが、以降は信号場として存続するものと思われる。鷲ノ巣駅の北側で複線区間から単線区間になるためポイントがあるからだ。もしかしたら鷲ノ巣駅跡で交換待ちなんてこともあるかもしれない。
信号場として存続すればバス停は本来の名称に戻ることになる。函館バス『鷲の巣信号所前』停留所。
ところで駅名である「鷲ノ巣」の由来について調べてみたのだが、国鉄北海道総局発行の「駅名の起源」にも載っておらず、図書館に行って「角川日本地名大辞典」を見ても載っていなかった。駅のある場所の住所は花浦という住所で、鷲ノ巣という住所は存在しない。
近くに鷲の巣川が流れているので、駅名と何か関連があるというのは想像がつく。
これも図書館にあった八雲町史を見ると、もともと町内には雑多な地名が入り乱れていて、公簿上に載っていない通称名も含めると、字(あざ)名は町内に80以上も存在したという。そのほとんどはアイヌ語に漢字を当てはめたものやカタカナでそのまま表記したもので、その中に「鷲の巣」や「ワシノス」の字名もあった。これではあまりに複雑で不便ということで、戦後に字名地番改正を行い字名を整理した結果、現在の花浦という住所に整理されたと載っていた。
というわけで駅名の由来はどうもアイヌ語のようだ。“鷲”が多かったわけではなさそうだ。この駅の前身である鷲ノ巣信号場が開設されたのが昭和19年、このあたりの集落が「鷲の巣」と呼ばれていたためにこの名前がつき、住所が改正されても駅名だけは残されてきたということだ。
ワシノスの由来だけは結局わからなかった。
訪問日:2015年12月13日
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鷲に因む説もありましたが、はっきりした資料が無く、不明ということにしてました。
また機会があれば調べてみようと思います。
鷲ノ巣の由来ですが、町内にはアイヌ語地名のハシノスベツ川という川があります。
その昔にはハシナウベというイナウ(木幣)が立てられており、心身を清めて神に祈る川という意味だそうで、そこから変化してハシノス→ワシノス→鷲ノ巣になったのかもしれません。
(八雲町史13編 参考URL: http://www2.town.yakumo.hokkaido.jp/history/ep13.htm )