石勝線夕張支線の普通列車に乗ってみた 3

2往復の最後は新夕張9:05発2629Dに乗車となる。
こんどは乗車券を持っているので改札を出ずにそのまま乗り換えることにした。

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 新夕張で並んだ2626D(左)と2629D(右)。この時点でどちらも乗客ゼロ。


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 新夕張〜夕張のみを往復する区間列車。

2629Dは先に向かいの4番線に入線している。この列車はどこから来たのだろうか。先の列車はすべて1両だけで発車しており、併結されてきたものではない。
あとで調べたら、どうやら7:46千歳発追分行2625Dが回2627Dとして追分から回送されてきたらしい(鉄道ダイヤ情報2006年7月号より)。回送するくらいなら客扱いすれば良さそうなものだが。

この列車は2016年3月ダイヤ改正での「ご利用の少ない列車見直し」の対象となっている。
通勤通学時間帯の終わった新夕張始発とあっては、車内の乗客はゼロ。この列車に限っては、削減も仕方がないのかなと思った。

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 帯広行「スーパーとかち1号」が停車。すぐに発車して行く。

発車間際になって2人乗車があった。「スーパーとかち1号」からの乗継客のようだ。列車はすぐに発車する。1人は確実にファン、もう一人も旅行者のように見える。少なくともビジネスや用務ではないようだ。
新夕張発車時点で乗客は3人、全員日常的に利用する乗客ではないことは確かだ。

この列車は新夕張始発で夕張に行き、2628Dとして再び新夕張まで折り返す。通勤通学時間帯も過ぎ、利用対象は通院か買い物客といったところだがそのどちらの需要もなさそうだ。

沼ノ沢で乗車が1人あった。南清水沢で乗車した2人は結構若い人だ。沼ノ沢の人は清水沢で下車、南清水沢の人は夕張で下車して行った。終点夕張まで地元の利用者は3人だけであった。

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 閑散とした車内。

鹿ノ谷で1人下車するがこれはファンの乗客らしい。おそらく夕張折り返しの列車で新夕張へ戻るものと思われる。
終点夕張まで乗車したのは新夕張から乗った私と特急乗継の1人、南清水沢から乗った2人、計4人となった。

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 終点夕張着。これで2往復した夕張支線の乗車はおしまい。

着いた列車は9分後に9:41発新夕張行2628Dとなる。発車を見届けようとホームにいると、乗客が1人また1人とやって来て列車に乗車して行く。どの人もおなじみの手提げ袋を提げているので、ホテルからの通勤帰宅客ということなのだろう。発車までに3人が車内に納まった。

この2628Dもやはり3月での見直し対象となっている。乗客の数は少なくても、利用者にとっては大事な列車に違いない。
もし廃止になれば今日この列車に乗って帰宅する人たちはバス利用になるのだろうか。

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 僅か3人の乗客を乗せて夕張駅を発車して行く2628D。

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 発車前に運転士がホームのボタンを押す。

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 出発反応標識が点灯して発車。同時にこの先の踏切も作動する。

3人の乗客を乗せた2628Dを見送って今回の旅は終了となりました。



■おまけ_夕張支線の現状について考える

ここでは今回乗車してみた現状をふまえて、石勝線夕張支線について考えてみたいと思います。

新夕張〜夕張間時刻表(下り)
 2621D2623D2629D2635D2637D2639D2641D2643D2647D
始発 追分   千歳糸井千歳追分
新夕張 着 
7:41
   15:5317:2218:5221:26
新夕張 発6:307:489:0511:5612:5615:5317:2418:5421:27
沼ノ沢  〃6:357:539:0912:0013:0015:5817:2818:5821:31
南清水沢〃6:407:599:1512:0513:0516:0317:3419:0321:36
清水沢  〃6:438:029:1812:0813:0816:0617:3719:0621:39
鹿ノ谷  〃6:558:149:2912:2013:2016:1717:4919:1821:51
夕張   着6:588:179:3212:2313:2316:2017:5219:2021:54
(上り)
列車番号2624D2626D2628D2632D2634D2636D2640D2642D2644D
夕張   発7:088:309:4112:3113:3116:2818:1519:2822:02
鹿ノ谷  〃7:118:339:4412:3413:3416:3118:1819:3122:05
清水沢  〃7:198:429:5212:4213:4216:4018:2619:4022:13
南清水沢〃7:228:459:5512:4513:4516:4318:2919:4322:16
沼ノ沢  〃7:278:5010:0012:5013:5016:4718:3419:4722:21
新夕張  着7:318:5410:0512:5413:5416:5118:3919:5122:24
新夕張  発7:329:04 13:0613:5416:5718:4019:5222:25
終着千歳追分 千歳追分千歳追分追分追分
※赤色は2016/3で廃止対象の列車

夕張支線の列車は全て普通列車で、1両の気動車が1日9往復している。これは国鉄時代から30年来変わっていない。日中は3時間近く間隔の開く時間帯もあるが、特定の時間に偏るということはなく、一応一般客の利用も考慮したダイヤといえる。
かつては楓発着の列車もあったが、利用客の減少から2004年3月で楓駅とともに廃止されている。

今回乗車して利用者の大まかな傾向を見ると次のようであった。
メインは南清水沢への通学利用で、上下合わせて22人の利用があった。次いで多いのは夕張への通勤利用、あとは僅かながら通院や用務などといったところである。箇条書きにすると以下の通り。

1,沼ノ沢、南清水沢、清水沢から夕張への通勤。
2,鹿ノ谷から南清水沢への高校生。
3,滝ノ上および新夕張、沼ノ沢から南清水沢への高校生。

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 レースイリゾート前(夕張駅前)の夕鉄バス時刻表。

閉校する道路は新夕張〜清水沢間は国道453号線が、清水沢〜夕張間は道道夕張岩見沢線が並行している。全線にわたり夕鉄バスの路線がカバーしている。

夕鉄バス市内バスのメインは社光を出発して清水沢地区を1周してまた社光に戻る循環便で、ほぼ1時間に1本の運行となっている。そのほかは南部、登川、滝ノ上からの便があるが、かつて社光まで運行されていた路線も2010、2011年と市内の小中学校を1校に統合した際に、スクールバスとしての運行とするべく清水沢地区発着に短縮されている。

現在は市内バス路線は清水沢で南北に分断されている状況なので鉄道と完全に競合しているとはいえない。また、夕鉄バスの運賃が距離が延びるほど割高になることもあって、JRとバスの利用者はそれぞれの状況によって棲み分けられているようだ。
といっても、もっとも乗客の多かった2623Dの沼ノ沢〜南清水沢間でも23人とマイクロバス1台に収まってしまうほどの乗客数である。

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 2010年度の夕張支線の輸送状況
 夕張市地域公共交通協議会 資料6【ネットワーク計画の基本的な考え方(PDF:408KB)より抜粋

夕張市内から千歳、札幌方面への直通利用はあまりない。これは新夕張での特急接続が良くないこと、夕張から札幌へはバスの方が距離が短く、所要時間でも勝っていることが理由である。
2010年度の普通列車の区間輸送人員を見ると、新夕張から沼ノ沢へは1日当たり119人の利用客に対し、新夕張から十三里方向への利用客は26人と段違いに少ない。これは夕張支線の利用動向が夕張市内の移動がほとんどで、市外への利用客が非常に少ないということである。

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JR北海道が発表した ご利用の少ない列車見直しのご説明状況について【PDF/753KB】(2015.11.27)では夕張発着の現在9往復のうち4往復が廃止したい列車として挙げられている。
減便後も一応通学需要のある列車は存続されるので、通学利用客は通学定期の安い鉄道利用にとどまるだろうが、通勤その他利用客は今まで利用していた列車がなくなればバスへ移行するものと思われる。


■夕張支線の今後

鉄道が存続するとすればどのような形で運営されていくのであろうか。
他のローカル線より通勤輸送の割合が多いとはいえ、1日当たりわずか百十数人の輸送量であり、しかも今後ますます減少することは確実である。

夕張市地域公共交通協議会によると、夕張市やJRは当時開発途中であったDMV導入による活性化を検討していたこともあったようだ。

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 平成25年度第3回夕張市地域公共交通協議会 資料2【DMV導入計画(案)】(PDF:7367KB)より抜粋。

これによると、終点夕張から道路を走行し、本町や市立診療所や石炭の歴史村公園のある社光への乗り入れを想定していたようである。また、若菜地区への新駅設置も盛り込まれている。
しかしこれはJR北海道がDMVの実用化を断念したことにより棚上げとなったようだ。

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 釧網本線を試運転するDMV(参考)。

このような輸送の現状で活性化させるとすれば外部から乗客を呼び込むしかない。かつて夕張市が力を入れていたのが観光客の誘致であった。

しかし情勢は大きく変わり、2007年夕張市は深刻な財政難から財政再建団体となった。実質的な財政破綻である。また、同時期に夕張市の第三セクターであり観光の要であった石炭の歴史村観光が自己破産するなど、成功したかのように見えた観光開発は大きく揺らぐことになった。

夕張市の観光入込客数は1990年代は年間200万人で推移していたが、観光施設の閉鎖やスキー客の減少などが原因で大きく落ち込み、2012年度は半分以下の年間62万人となっている。
前述の夕張駅移転は、マウントレースイへの観光客利用を当て込んでのものである。スキーシーズンにはリゾート列車乗り入れも構想にあっただろう。

しかし当初当て込んでいた鉄道によるスキー客の入込みはほとんど無かったようだ。札幌から往復特急利用とリフト・ゴンドラ1日券がセットになった「スキップ」が発売されていたこともある。駅の真向いという立地の良さも札幌からでは新夕張での乗換を強いられること、また接続も良いとはいえずあまり売りにはならなかったようだ。札幌から夕張へはバスの方が早いし便利なこともある。

その「スキップ」も利用者減少から2014年度を最後に発売終了となった。また現在夕張市所有のマウントレースイは現在管理している加森観光グループとの契約満了を迎える2016年度をめどに売却(夕張市HPより)する方針を固めている。

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 ホテルマウントレースイは夕張観光の柱のひとつ。

売却先の経営方針いかんによっては駅に近い立地に目をつけ、札幌や新千歳空港からリゾート列車を乗り入れるという可能性は無くは無いが、根本的な問題がある。
石勝線(旧夕張線)利用は、もっとも人の流れが多い札幌へは遠回りのルートとなることだ。古くは夕張鉄道が栗山経由で野幌まで結んでいたし、現在も札幌へのバス路線はすべて栗山経由となっている。このことは所要時間や運賃において大きなハンデである。

これは現状のダイヤにも反映されていて、石勝線普通列車のダイヤが追分や新夕張で分断されているのは、利用者の流れが1つは追分から千歳方面へ、もう1つが夕張市内相互内であり、普通列車での夕張市内から千歳方面への直通客がほとんど無いということだ。

同時に施設の老朽化対策も考える必要がある深刻な問題である。JR北海道によると、経年97年になる「稚南部トンネル」と「第8志幌加別川橋梁」の老朽化による変状が顕著で、これらの対策工事のため7億円が必要との試算結果を出している。
そのほかにも100年近い経年を迎える橋梁が13か所あって、いずれ老朽更新が発生することが見込まれている。

同様の話は留萌本線留萌〜増毛間であり、この区間も運行継続のためには数十億円に及ぶ防災工事費が必要ということが廃止理由のひとつであった。

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 9/30をもって無人化された清水沢駅の定期券取次の張り紙。通勤定期客が少なからずいることが覗える。

留萌線と違うのは、僅かではあるが通勤・通学輸送があり、公共交通機関という「公共の福祉」の一端を担っているということだ。
しかし、人口1万人に満たない地域の交通の、しかも1日百十数人の利用客のために多額の費用を投資できるのか。これを一鉄道事業者の負担とするのは不可能であろう。
結局、沿線の自治体が投資に値すると判断するかどうかが存廃の分かれ目になると思われる。
夕張支線に限ったことではないが、今後ローカル線の存続を考えるうえで避けて通れない問題である。

現在9往復ある夕張支線の列車だが、2016年3月のダイヤ改正では4往復が削減され、1日5往復の運転になる。夕鉄バスの路線がほぼカバーしているので、削減された列車の利用客はバスへ移行すると思われる。

本数削減により、ただでさえ低い輸送密度が、さらに低くなるのは必至だ。これによる利用減が廃止の口実とならなければよいのだが。

それでは最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。

〜おわり〜

posted by pupupukaya at 21:33 | Comment(0) | 北海道ローカル線考
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