2015年東北・南三陸旅行記7

盛 11:00発 − 釜石 11:51着 BRT

柳津からずっとBRTによるバスの旅だったが、ここから鉄道が復活する。
乗るのは三陸鉄道南リアス線。この路線も津波被害を受け長らく運休していたが、2014年に全線で運転を再開した。三陸復興の象徴として報道されたことも記憶に新しい。

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右がJR盛駅、左が三陸鉄道の盛駅の駅舎。

盛駅前ではバザールが開かれていて地元のおばちゃんたちが集っていた。
JRの盛駅と三陸鉄道の盛駅は別々の駅舎になっている。三陸鉄道の駅舎内でもバザールがあってにぎやかだ。
様々なグッズが並ぶきっぷうりばで釜石までの乗車券と盛駅の入場券を買った。嬉しいことに硬券で、入場券は台紙に入れてくれた。

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駅前ではバザールが開かれていて地元のおばちゃんたちが集う。

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盛駅のきっぷうりば。きっぷだけでなく、様々なグッズも売っている。

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盛駅で買ったきっぷ。

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ちょうど気仙沼行きのBRTが着いたところ。

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三陸鉄道の車庫。

盛駅はJRのBRT、三陸鉄道南リアス線のほか岩手開発鉄道も接続している。岩手開発鉄道は大船渡鉱山で産出される石灰石を輸送する貨物専用の鉄道だが、1992年までは旅客輸送もしていた。
ホームで釜石行の列車を待っていると、岩手開発鉄道の貨物列車が通過して行った。

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岩手開発鉄道の貨物列車。

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三陸鉄道の36(さんりく)型気動車。

やってきた車両は36-105。この車両は震災時にトンネル内で緊急停止したため、被災を免れた車両だ。緊急停止しなければトンネル出口側で発生した落橋により転落するところであったという。被害を受けずに済んだこの車両は「奇跡の車両」と呼ばれることにとなった。
いまはWAONのラッピングトレインになっている。

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すわり心地の良いクロスシートが並ぶ車内。

朝の出発が早かったのでまだ何も食べていない。盛駅の駅舎内でおいしそうなお弁当を売っていたので買っていた。車内のボックス席に座ると早速昼食にした。

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駅でおばちゃんから買ったお弁当(500円)。おかずも豊富で手作り感が良かった。

発車間際になると商品を積んだワゴンが乗ってきた。車内販売があるようだ。
発車後ワゴンが回ってきた。呼び止めて「三鉄サイダー」を買った。

飲むと普通のサイダーのようだが、ガラス瓶から飲むとペットボトルとは違う温もりが感じられた。

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車内販売で買った『さんてつサイダー』(205円)。

三陸鉄道は旧国鉄から引き継いだ第三セクターの路線だが、1970年代以降に開通した比較的新しい路線のためトンネルが多い。それでもトンネルの合間合間には美しい三陸海岸の入り江が見えた。

途中の恋し浜では3分停まりますと放送がある。ここはもと小石浜駅であったが、2009年にこの地区名産の帆立ブランドに合わせて恋し浜と改称された。
小さい待合室を覗くと、願い事が書かれた帆立貝が絵馬よろしくびっしりと吊るされていた。

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3分間停車があった恋し浜駅。

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もともとは『小石浜』だったが、2009年にホタテブランドに合わせて『恋し浜』に改名した駅。

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築堤の上にある甫嶺駅に停車中。

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三陸駅で盛行と交換する。

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三陸の海岸はどこも景色が良い。

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山の上に立つのは釜石大観音。

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釜石着、ここからはJR釜石線に乗り換えになる。

4年前に大津波があったことがウソのような平和な三陸海岸だった。列車は終点釜石に着く。
ここからはJR釜石線に乗り換えになる。
北の宮古に通じる山田線は現在も津波被害で不通になっている。JRによる代行輸送は行われておらず、この区間は路線バスによる運行になっている。本当は宮古まで行き、北リアス線に乗り継ぎたかったが、直通バスは無く、乗り換えも面倒なので、ここから釜石線で花巻まで出ることにした。

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三陸鉄道釜石駅の駅舎。

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きっぷうりば。ここも三鉄グッズを売っている。

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きっぷうりばで売っている三陸鉄道グッズなど。

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三陸鉄道の地下道。


釜石 12:05発 − 花巻 14:06着 660D

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こちらはJR釜石駅、三陸鉄道とは分かれている。

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釜石発花巻行普通列車はキハ100の2両編成。

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キハ100の車内。車体長が17mと小ぶりの車両のため、車内も小じんまりとした感じ。

釜石線に乗るのは今回が2度目になる。前回は盛岡から山田線を宮古経由で、釜石からは快速「はまゆり」で花巻まで行った。
この路線の一番の見どころは陸中大橋〜上有住間のΩ(オメガ)カーブだろうか。仙人峠とよばれる険しい峠越えのこの区間は、戦前までは国鉄唯一の索道で結んでいた。鉄道の釜石線として開通するのは戦後の昭和25年であった。


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陸中大橋駅の手前ではこれから通る鉄橋が山の上に見える。通称Ω(オメガ)カーブと呼ばれる所。

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陸中大橋駅を過ぎると今度は逆にさっき山の上に見えた鉄橋から通ってきた線路を見下ろす。

仙人峠を過ぎ山岳地帯を抜けると、田んぼが広がる風景となる。ここは宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の舞台となったところだが、平和な景色だがいささか退屈でもある。

遠野では大勢の乗客がホームを埋め尽くしていた。何事かと思ったが、どうやら臨時で運行されている『SL銀河』の折り返し乗客らしい。
向かい側のホームにはSLと再び客車に改造されたキハ143が見えた。

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遠野駅で乗り込んできた乗客。

遠野からはほぼ満席状態になった。観光客ばかりなので車内は明るいムード。
新幹線接続の新花巻で半分近くが降りて行った。首都圏から新幹線で来たのだろうか。SL運転でこれだけの集客力を得る新幹線パワーはすごいと思った。

4人掛けボックス席で満席は窮屈だったが、車内は大分余裕ができた。終点花巻に到着する。

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終点花巻駅に到着。


花巻 14:12発 − 盛岡 14:52着 1539M

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東北本線の701系電車。また2両だけで、花巻から乗る人も多く混んでいた。

土曜日の午後だが、花巻駅ホームの電車乗車口は行列ができている。行きに乗った上り電車も混んでいたが、この区間の混雑は慢性的なようだ。盛岡までの40分間はつり革につかまっての立ちっぱなしだった。

盛岡 15:15発 − 八戸 17:03着 IGR→青い森鉄道 4535M

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IGRいわて銀河鉄道の乗り場。

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盛岡駅0番線に停車中のIGR7000系電車。基本はJRの701系電車と同じ。

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盛岡〜青森直通の電車は無く、八戸で乗り換えになる。八戸からは青い森鉄道の車両。


八戸 17:13発 − 浅虫温泉 18:30着 青い森鉄道 585M

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IGRとは対照的に青い森鉄道のホームはJRとの共用になっている。

盛岡から青森までは新幹線並行ということで第三セクターになった区間だ。第三セクターというと国鉄やJRから引き継いだローカル線を細々と運営しているイメージだが、ここはもと東北本線。北東北や北海道を結ぶ貨物列車が頻繁に通り、重軌条の線路は東北本線時代から変わりない。線路だけ見ているとそうは思えないが、ここも赤字路線である。物流の骨格をなす路線を地方自治体による負担だけで支えるというのはいかがなものだろうか。旅人のお節介ながらそう思った。

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第三セクターとはいえ北海道への貨物列車が通るし、電車は110km/hで飛ばす。

このまま真っ直ぐ行っても青森着は18:55で、「はまなす」の乗継には時間があり過ぎる。
浅虫温泉でひとっ風呂浴びてこようと途中下車した。
駅前にある道の駅には安く入れる温泉があるので、はまなす乗換の時間つぶしにはちょうど良い。

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浅虫温泉駅で降りる。

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新幹線開業後は特急も来なくなり、寂しげな雰囲気。

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駅前にある道の駅『ゆ〜さ浅虫』。最上階が温泉になっている。

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温泉の入口。

ゆっくりしていこうと思った温泉だが、浴場は思いのほか狭く、また大学生の一団が入浴していて落ちつかなかった。
早々に上がる。
風呂上りにビールでもと思っていたが、館内のレストランは19:00で終わりだった。仕方なくまた駅へ戻る。

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駅窓口の営業時間は終わっていて無人駅になっていた。

駅の窓口も売店も閉まっている無人の待合室でひとときを過ごす。青森行の列車時刻となる頃には待合室に何人か集まってきた。


浅虫温泉 19:33発 − 青森 19:57着 青い森鉄道快速 505M

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快速電車は新型の703系電車がやって来た。

上野駅を5:43に出れば乗り継いで来れる列車なので北東パス所持で「はまなす」に乗り継ぐ人たちだろうか。2両の車内は旅行者らしい乗客で満席だった。
ただ立っているだけではつまらないので、最前部の窓から外を眺める。ライトに照らされた前面の線路が意外とよく見えた。

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703系電車の車内はセミクロスシート。

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青森に到着。1・2番線は青い森鉄道の駅名標。

終点青森に到着。台風に見舞われ、1泊を余儀なくされて一時はどうなることかと思った旅行だが、ここまでくればあとは札幌まで一直線。
がんばってくれよ急行「はまなす」。

8へつづく
タグ:鉄道旅行

posted by pupupukaya at 15/10/24 | Comment(0) | 東北の旅行記
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