2015年東北・南三陸旅行記4

女川 10:09発 − 石巻10:37着 1630D

土砂降りの雨ではどこへ行くのもためらい、また長居できる駅でもなかったので折り返しの列車で引き返す。
温泉併設なのでひとっ風呂浴びてきてもよかったんだろうけど。

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再び女川駅。

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雨の中まだ護岸工事が続けられていた。

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強い雨は降り続いている。石巻駅前。

女川発の列車は小牛田まで直通する。途中の前谷地で気仙沼線に乗り換える予定なのでこのまま乗っていれば1本早い列車に乗り継げるが、石巻で一旦降りる。

また石巻駅に戻ってきた。
次の小牛田行列車は11:51発で1時間少々時間がある、石巻に来たので石巻焼きそばをと思っていたのだが、雨は一段と強まったようで、やっぱり駅から出たくない。

駅近くでどこか店は無いのかとスマホで調べたら、駅向かいが市役所になっていて、その中に食堂があるようだ。市役所の食堂ならば安いし、まだ12時前なので空いているだろうと傘をさして市役所へ行く。
駅向かいの市役所だが、元はショッピングセンターだったようで、1Fはスーパーになっていた。そこにあった「いしのまキッチン」という店に入った。

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石巻市役所1Fにある『いしのま☆キッチン』。

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石巻焼きそば(500円)。二度蒸しした褐色の麺と上に載った目玉焼きが特徴。薄味で、別添えのソースをかけて好みの濃さに味付けする。

食べ終わって、市役所1階のスーパーを覗いてみる。麺コーナーに石巻焼きそばの麺が並んでいた。やはり麺は茶褐色をしている。今日が最終日ならば買って行くところだが、まだ先が長いので見るだけにしておいた。


石巻 11:51発 − 前谷地12:13着 1632D

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石巻からは石巻線で前谷地へ向かう。

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石巻線の多くは小牛田まで直通する。

今度の列車もキハ110型の2両ワンマン。早上がりの高校生も何人か乗っているが、1両で足りるほどの乗車率だ。
発車するとしばらくして隣の線路を仙石東北ラインのハイブリッド気動車が並走して追い抜いて行った。

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並走する仙石東北ラインの列車。

前谷地で数人の高校生と共に下車する。無人駅かと思っていたが、駅員が1人改札口に立って集札していた。
ここは気仙沼線が分岐する駅で、ホームは幹線の駅のように立派だが、駅舎は木造でこじんまりと建っている。ここで47分の待ち時間があるが、待合室も狭くて固いベンチが少しあるだけ。
幸いなことに雨は上がっているので駅前を少し歩いてくる。

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気仙沼線が分岐する駅としてはこじんまりとした駅舎の前谷地駅。

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前谷地の駅前。奥が駅。

駅前は6月に延伸されたBRTの新しいターミナルが目立つくらい。商店が数軒並ぶが、寂しい駅前だ。

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6月に気仙沼線のBRTが前谷地まで延伸された。

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前谷地駅前のBRTのりば。

駅員がいるので列車別改札かと思っていたら、窓口にはカーテンが張られ、昼休みの旨の掲示があった。柳津行きの列車はホームに入っていて、車内には人影も見える。車内に乗っていて良いようだ。

柳津行きの列車は1両のキハ110ワンマンカー。車内は自分入れて3人だけ。

気仙沼線は東日本大震災による被災のため柳津〜気仙沼間が現在でも不通になっている。震災の翌年から不通区間をBRT(バス・ラピッド・トランジット)が運行になっている。
これは線路の敷地を専用道路としてバスを走らせるというもので、鉄道の復旧はあまりにも時間がかかるために仮復旧という扱いで運行が始まった。
バスとはいえ鉄道代行なので、時刻表には鉄道路線として載っているし、JRの各種フリーパスでもそのまま乗車できる。

ただ、鉄道の本復旧についてはあまりにも多額の費用がかかることと、復旧しても元々利用者が少ないローカル線なので赤字必須ということではJR東日本も難色を示していて、BRTをもって本復旧とすることになりそうだ。


前谷地 13:00発 − 柳津 13:22着 929D

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前谷地〜柳津間を往復しているのはキハ110の単行。


12:58に小牛田発石巻行の列車が到着したが、この列車に乗り継いだのは1人だけだった。

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がら空きの車内。

気仙沼線は、震災前は指定席もあって仙台まで直通する快速「南三陸」があったが、現在は小牛田発着便もあるが、前谷地〜柳津間を気動車が往復するだけになってしまった。
終点の柳津でBRTに接続していた頃はともかく、BRTが前谷地まで延伸されたので短いローカル線になってしまった。鉄道の復旧を断念、BRTが本復旧ということが決定すれば、この路線も廃止になるかもしれない。あるいは専用道にしてこっちにBRTが走るか。

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列車の最後部から。

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北上川の鉄橋を渡る。

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鉄道としては終点になった柳津駅。駅名標の陸前横山側は消されていた。

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駅構内から先は草に埋もれてしまった線路。

BRTが接続する柳津駅は島式ホームで、駅の両側からは跨線橋が結んでいる。
ホームから階段を登ったところに「BRTのりば」と張り紙があった。
駅前広場に赤いBRTのバス停と小さい待合所があった。気仙沼駅や盛駅ではホームにバスが直接乗り入れる格好になっているが、ここは階段を登り下りする必要があり、お年寄りなど大変だ。


柳津 13:39発 − 気仙沼15:35着 BRT

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町はずれのようなところにある柳津駅。

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BRTの運行情報表示機。バスの位置が遂次表示される。

バス停で待つのは地元の人らしいおばちゃんとフリーパス所持の3人。
やがて赤色のバスがやってきた。BRTといってもバス自体はワンステップながら普通の路線バスの車両である。

前谷地を13:04に発車したバスで、前谷地からこれに乗っていても良かったのだが、僅かに残る気仙沼線にも乗っておきたいというのもあった。

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柳津始発のバスが来た。

柳津を発車するとまた雨が降り出した。バスはずっと一般の道路を走る。線路だった専用道を行くのかと思っていたがそうでもないようだった。
バスの走る国道45号線は2車線ながらも狭い道でカーブも多く、路線バスの車両では快適とは言い難い。

次の陸前横山は乗り降り無し。降車ボタンが押されず、バス停に乗客もいなければ通過する。

2つ目の陸前戸倉からはやっと専用道になる。ここからさぞや快調に走るのかと思ったがそうでもなく、数百mごとに設けられた待避所で一時停止、踏切だった一般道との交差箇所も一時停止となるので走ったり止まったりを繰り返す。
スピードメーターを見ると60km/hを差していた。スピードも一般道路と同じようだった。
交通量の多い道路では信号機があって、青に変わるまで待たなければいけない。遮断機が専用道側に設置されているのは、一般車の進入を防ぐためだろう。

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しばらくは国道45号線を走る。

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陸前戸倉駅からはBRT専用道になる。

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数百メートルごとにある待避所。見通しの悪い個所は信号機が設置されている。

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センサーで検知して対向車がいなければ信号が青になって発車。

志津川の手前でまた国道に戻るのだが、専用道の出口にあった遮断機の誤作動で遮断棒がバスに接触した。大したことではなかったのだが、運転手が会社に連絡したりで数分遅れることになった。

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運賃表示機。

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かつて志津川駅だった場所を通る。BRTの志津川駅は高台に移設されたためバスは停まらない。

南三陸町の中心部、志津川も津波被害が大きかったところである。高さ15.5mの大津波は町をすべて消し去ってしまった。
震災前は町だった場所をバスは通る。盛土工事が行われていてダンプカーがせわしなく走り回っている。
BRTの駅は高台に新設されていて、バスはそこに着いた。待合所の中には人影が多く見えたのだが、少ししか乗ってこなかった。

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鉄骨だけの南三陸防災庁舎が見えた。とりあえず保存が決まったそうだ。

BRTの志津川駅からまた国道45号線へ戻り、仮設の役場があるベイサイドアリーナ駅へ寄ったりと、志津川あたりの経路は複雑である。利用者の多い場所を経由できるのはバスならではだが、直通客にとっては何ともまどろっこしい。

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ときどき気仙沼線の線路跡が現れる。被害が大きかった区間は専用道化されなかった。

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『全世界のみなさんありがとう』歌津駅のあたり。

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本吉で運転手が交代する。通常ダイヤでは3分停車だが遅れているためすぐに発車したかったのだろうがトイレ希望の乗客がいたためさらに遅れての発車になった。

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再び専用道を走る。

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待避所ですれ違うバス。

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国道から専用道へ行くために細い道へも入って行く。

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気仙沼の市街地に入る。南気仙沼駅は国道上に移設された。このあたりが一番栄えているようだ。

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不動の沢から再び専用道へ。左側に大船渡線の線路と並行する。

気仙沼着は6分遅れの15:41になった。バスならばほぼ定時運行だが、鉄道ならば遅れたお詫び放送があるところだ。
それにしても路線バス車両で2時間もの乗車は乗りでがあった。

気仙沼駅ではバスがホームに直接乗り入れる。1・2番線の線路敷きだったところを嵩上げと舗装をしてバス専用ホームにしてあって、向かい側の3番線は線路があって大船渡線がそのまま使用している。
便利だけど将来鉄道が復旧するとしたら元に戻すのがやっかいだろうな。

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気仙沼に到着。駅前ではなくホームに直接乗り入れる。

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バスが通るのは線路敷きだった場所で、かつては列車が発着していた。

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気仙沼駅の改札口。BRTは降車時に運賃を払うのでそのまま通る。

BRTの駅はどこも新設された小さな待合所になってしまったが、気仙沼駅は元からの駅舎がそのままになっている。ここはBRTだけでなく大船渡線の列車が発着するので正真正銘鉄道の駅になる。

今日の移動はこれで終わり、気仙沼で泊まることになる。ホテルは予約していたが、駅から15分ほど歩くことになる。雨なのでタクシーにしようかと思ったが、降り方は弱まっているし、途中でコンビニでもあれば買い物していこうかとホテルまで歩いて行くことにした。ところがこれが失敗だった。

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気仙沼駅の駅舎。

傘を差して歩き出したが、風があって舞い上がった雨粒が横から当たる。ホテルに着くころにはずぶ濡れになってしまった。途中にコンビニも無かった。ホテルは素泊まりにしていたので、食事や買い物はまた改めて出かけなければならない。

チェックインして部屋に入ると立派な部屋に驚いた。10畳の5〜6人は収容できそうな和室は1人で使うには勿体ない。それでも1晩贅沢な気分で過ごせると思うとうれしくなった。

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今日の宿は高台の上に建つ『気仙沼プラザホテル』。

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素泊まりだが1泊8640円の部屋。1人で泊まるのがもったいないほど広かった。

雨が降っていなければ町や港を散策してくるつもりでいたが、この雨ではどこへも行きたくない。
ホテルの隣に気仙沼お魚いちばがあったのでそこへ行ってみる。ホテルは高台の上にあるが、高台の下とはエレベーターで行き来できるのは楽だ。

お魚いちばだけあって、新鮮な魚や珍味などが並んでいる。数少ないがお刺身のパックや惣菜もあったのでそれを買った。刺身は「モーカの星」といって、サメの心臓とのこと。酢味噌で食べるとおいしいと言われた。
お酒も買って、今夜はゴージャスな部屋で一人呑みとするか。

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ホテルの隣にあった『気仙沼お魚いちば』で買ってきたお酒とかつおの角煮、それにモーカの星。

酒と肴が手に入ったので風呂へ行く。ちょうど空いていて、貸切状態だった。露天風呂からは港が一望できた。いい宿がとれたので気分がいい。

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これが気仙沼名物モーカの星。サメの心臓の刺身で、酢味噌で食べる。

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1人じゃ寂しいね。

テレビのニュースでは鬼怒川決壊の大洪水を報じていた。台風18号から変わった低気圧が関東地方に50年に1度という大雨をふらせたという。
その雨雲は北上していて、宮城県も「あす朝にかけて非常に激しい雨のおそれ」ということだった。仙台駅からの中継もやっていて、列車の運休も出始めていた。
夜のうちに雨雲が通りすぎて行けば良いのだが。


女川〜気仙沼のルート

5へつづく

posted by pupupukaya at 15/10/18 | Comment(2) | 東北の旅行記
この記事へのコメント
初めてコメントいたします。
母が南三陸町(旧歌津町)出身で実家が津波の被害にあいました。
その後まだ訪れることができずにいたのでとても興味深く拝見しました。
残念ながら昔の景色はもうありませんが鉄道、RBT含めて現状を見ることができてうれしかったです。

実は、道内の鉄道やサハリン、ヨーロッパ旅行記のころからHPを拝見していたのですが、こちらにブログあることを知らずに更新を心待ちにしていたのでした(笑)これからも見に来ます。
Posted by コピ at 2016年12月12日 13:00
コメントありがとうございます。
6年くらい前からこちらのブログでの更新となっていました。
不十分な案内でした、すみませんm(_ _)m
今後もどうぞよろしくお願いします。
Posted by pupupukaya at 2016年12月13日 07:02
コメント
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