9月10日
●仙台 8:18発 − 石巻9:23着 5525D
台風が去って晴れるかもしれないという期待もむなしく、今日は朝から雨だった。ホテルから傘をさして駅まで歩く。
今日はまず石巻へ向かう。仙台から石巻までは仙石線が結んでいたが、震災の津波以来ずっと不通となっていた。それが今年(2015年)の5月にようやく全線復旧したのだった。同時に東北本線から仙石線に乗り入れる『仙石東北ライン』も運行開始となった。
今回乗るのはその新しく開通した仙石東北ラインの列車。東北本線は交流、仙石線は直流と電化方式が違うので、両線をまたぐこの路線はハイブリッド気動車が導入された。
仙台駅に入線する4両のハイブリッド気動車。
到着した列車は通勤客を大勢降ろして折り返しの快速列車になる。
車内に入って印象的だったのはクロスシート。片側がロングシートという中途半端なつくりではなく、本格的なセミクロスシートになっている。
新車はセミクロスシートという流れになったのか、観光路線ということで特別な作りにしたのかは分からないが、とにかく景色が見える席になったのは良いことだ。
車内はセミクロスシート。
観光路線を意識してかボトル用のテーブルもあった。
ラッシュと反対方向だからか、車内は空席が目立つ。仙台を発車した時点では1ボックスを占領できるほどの乗車だった。途中の塩釜からは相席になった。
高城町の駅名が追加された塩釜駅の駅名標。
塩釜を過ぎると右手に松島の海岸が見えてくるが、この雨ではいまいち冴えない風景だ。晴れていれば綺麗なのだろうけど。
単線の線路が並行したり離れて行ったりするのが仙石線で、松島海岸の海と山が迫る狭い海岸沿いを絡み合うようにして線路は敷かれている。
東北本線と仙石線が並行しているのは、仙石線がもとは宮城電気鉄道という私鉄だったためで、戦時中に国有化されたが、戦後も長らく東北本線は汽車、仙石線は電車というような棲み分けができていた。
これだけ線路が近いのだから、線路をつなげて直通運転をするという構想は古くからあったようだ。両線の電化方式の違いなどから一向に実現しなかったが、今回震災復興の目的もあってハイブリッド気動車によって実現した。
東北本線松島駅手前の、両線が並行している部分に連絡線が新設されて、そこを通って仙石線に入る。
高城町で登りの仙石東北ラインの列車と交換。
海岸沿いや低地を走る高城町から陸前小野までは津波被害が特に大きく、最後に復旧したのがこの区間だった。
全線で線路がかさ上げされたほか、陸前大塚〜陸前小野間では山側の新線にルートが変更された。
海沿いの区間にも防波堤が新設されている。
石巻駅に到着。
停車駅ごとに降りる人ばかりで、終点石巻に着くころには空席ばかりになった。雨は止むどころかますます降りが強くなっている。
石巻からはこれも今年3月に全線復旧した石巻線の女川まで往復することにしている。
左側は仙石線あおば通行205系電車、右は仙石東北ラインのハイブリッド気動車。
改札口と仙石線ホームを結ぶ通路。
改札口横で出迎える仮面ライダーとサイボーグ009。
三角屋根の石巻駅舎。
駅の入口に表示してあった浸水位置。ここも津波被害があったところ。
●石巻 9:33発 − 石巻10:02着 1629D
石巻から女川までは石巻線となる。石巻線は小牛田が起点の路線のため、女川までの列車のほとんどは小牛田〜女川間の運転になっている。
ホームに入ってきたのはキハ110のワンマン2両編成。
女川行が到着。
石巻で乗客は入れ替わるようだ。
石巻から乗った女川行はクロスシート部分がさらりと埋まる程度の乗り具合だった。それでも午前中の下り列車としては繁盛しているほうかもしれない。地元の人ばかりのようだった。女川の人たちには無くてはならない路線だと見受けられた。
窓ガラスの雨粒が邪魔をして外は良く見えない。列車に乗っている限り雨に濡れることは無いけど、やっぱり晴れていてほしい。
キハ110の車内。窓ガラスが曇って外は良く見えない。
新しく高台に移転した女川駅。
石巻から女川までは16.8km、わずか29分で着いた。
女川駅は2011年の大津波で駅もホームもすべて消失したが、元の場所から200mほど山側へ新築移転という形で再開した。
私が女川に来たのは今回が2度目で、前回は震災前の2007年だった。ホームから階段を降りたところに駅舎があって、階段のところにチリ津波の浸水を示す印があったのが印象的だった。
当時の駅舎やホームは写真に撮って、PCにも画像が残っているが、歩いたはずの駅前の町の画像は無く、町の様子も記憶になかった。おそらくどこにでもある地方の町という印象しか持たなかったのだろう。
新しい駅舎は町営の温泉施設に併設されていて、小さな窓口と券売機、それに待合室が設けられている。駅員が1人いて列車到着時だけ出てきて集札を行うようだ。
無人駅ではなく駅員が1人いて集札を行っていた。
新しい駅舎は女川温泉ゆぽっぽが同居している。
女川は市街地どころか山間の集落までもが全壊という、2011年の東日本大震災では特に甚大な被害だった町のひとつである。奥に行くほどV字型に狭まるリアス式海岸特有の地形に位置する女川の市街地に、湾口に入って高さを増した大津波は、20m近くもの高さとなって襲いかかった。
あれから4年、どのように変わったのだろうか。
あいにくとこの雨、傘をさしていても歩いているとズブ濡れになりそうだ。特に行くあても無いし、すぐの折り返し列車で石巻に戻ることにする。
駅前広場の正面は新築工事中。復興もようやく始まった感じだ。
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