旧士幌線タウシュベツ川橋梁へ行く2

さて、上士幌から車を走らせること30km以上、タウシュベツ川橋梁への林道入口へとやってきた。

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タウシュベツ橋梁へ行く糠平三股林道の入口。普段はゲートが閉じて施錠されている。

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林道の注意書き。

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林道の注意書きその2。

林道のゲートは閉じられていて、チェーンがぐるぐる巻きにされて南京錠がかかっていた。借りてきた鍵で南京錠を外すとチェーンも簡単に解けた。

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鎖が巻かれて南京錠で施錠されたゲート。森林事務所で借りた鍵で開ける。

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南京錠と鎖を解いて開門。

ゲートの先に車を進めるとまたゲートを閉じて施錠する。出入りの際は必ず施錠するように説明されていたからだ。

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タウシュベツ橋梁付近の地図(地理院地図から作成)

さて、林道を進む。森林管理署の事務所の説明では悪路のようなことを言われたが、砂利道ながら難なく走れた。
しかし、途中に最近路肩が崩れて補修した個所もあって、悪天候の後に走行するときは注意する必要がある。

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昭和52年撮影の空中写真(地図・空中写真閲覧サービスより)
やや右下に見える水没しかかった橋がタウシュベツ橋梁。湖の左側にはまだ現役の士幌線も走る。

ここでタウシュベツ川橋梁の説明を少し。
この橋はもともと昭和14年に国鉄士幌線が開通した際に音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられたコンクリートアーチ橋だった。
その後昭和30年に糠平ダムが建設されたので、山の上の方に線路が付け替えられた。旧線はダム湖に水没することになる。
ダムによる人造湖なので水位の変化によって橋は水没したり姿を現したりしていた。このため「幻の橋」とも言われていた。
その士幌線も昭和52年には糠平〜十勝三股間が休止、バス代行になり列車は走らなくなって、昭和62年にはついに全線廃止となった。

無人の山間部にあり、湖面に浮かびあがったアーチ橋は絵になる風景で、テレビで紹介されたり写真集が出るなどして近年はすっかり有名になった。

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林道は1車線の砂利道。普通の車でも問題なく走れる。

4kmほど行ったところに数台停めれるほどの駐車スペースがあってここに車を停める。ここからタウシュベツ川橋梁までは徒歩になる。
腰に熊鈴をつけて歩く。

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林道からタウシュベツ橋梁まで続く200mほどの小道。士幌線の線路跡でもあった。

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ヒグマ出没の看板。あちこちに立っていて物々しい。

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今にも熊が出そうな森の中を抜ける。足元は悪くぬかるみもあったりする。

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薄暗い森の道を抜けると視界が開ける。

鬱蒼とした森の中を抜けると視界が開けた。糠平湖の水面が見えるかと思ったが、水は無くて草原が広がっていた。
ここは高原のパラダイスか、と思えるような風景だった。

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草原の中に無数の切株という独特の風景が広がる。

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いつもは水を湛えているはずだが、この日は干上がって橋脚がすべて姿を現していた。

ここにある人工物はタウシュベツ川橋梁のアーチ橋だけ。古代からそこにある感じで周囲に溶け込んでいる。といってもダム湖なのでこの風景自体が人工物なのだが。

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11連のアーチが連なる橋の全体像。この上を蒸気機関車の牽く列車が走っていた。
流れる川は音更川支流タウシュベツ川。

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写真で見ると小さいアーチの橋に見えるが、下から見るとかなり大きい。高さは11mあるそうだ。

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無人の高原に連なるアーチ橋は古代の遺跡を連想させる。

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よく見ると表面のコンクリートは劣化してボロボロになっている。橋脚の足元には崩れた破片が積もっている。崩壊は今でも少しずつ進んでいるようだ。

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列車が走らなくなってから水没したり風雪にさらされたりして60年間耐えてきた重みがある。

ダム水位の変化により水没を繰り返し、また冬季の凍結・融解を繰り返す凍害から、橋は激しく損傷している。
タウシュベツ川橋梁は2001年に第1回北海道遺産に指定されている。そのため保存工事を求める声もあるが、予算や立地条件の悪さからいまだに行われていない。

しかし、自然の在るがままに朽ち果てて行く姿で保存するのもまた良いかもしれない。かつてここに文明があったという遺跡として。

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今時期は水の中にあるはずの切株。ダム湖に沈む前に切り倒され、ずっとそのまま残っていたもの。

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ダムの水位によって湖になったり草原になったりする。人がいないときは熊の遊び場なのだろう。

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アーチ橋の上部。崩落の危険があるため上に登ることはできない。

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ここに線路があって列車が通っていた。当時はダムは無く森林地帯だったために眺めはあまり良くなかっただろうが。

アーチ橋のコンクリートを触ってみると手でボロボロ崩せるほど脆くなっていた。もう崩壊は時間の問題なのだろう。
11連のアーチが連なるタウシュベツ川橋梁の姿が見られるのもあとわずかだろう。

1日中でも居たい場所だが、熊が恐ろしい。早々に引き揚げることにする。

車に戻るが、林道はさらに奥へと続いている。この先どこまで行けるのだろうと思って、さらに奥に進んでみた。

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さらに林道を進むと1kmほどで別のゲートがあって行止りとなった。

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林道行止りの手前にもタウシュベツ橋梁を見渡せるポイントがあった。

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林道は悪路も覚悟していたが、砂利道ながら整備は行き届いていて普通に走ることができた。

入口のゲートへ戻る途中、バイク2台と車2台とすれ違った。ゲートで鍵を開けて入ってくる車が結構あるようで、昼に近い時間帯であれば熊の心配はなさそうだ。
ただ、朝とか夕方は熊が出そうだが。

ゲートを開けてまた施錠して国道に出る。タウシュベツ川橋梁見学はこれでおしまい。
また上士幌の森林管理署へ戻って鍵と通行許可証を返しに行く。

上士幌からタウシュベツ川橋梁の林道までは同じ上士幌町内でも30km以上もある。往復で60km以上も車を走らせる必要がある。また、林道の走行や、熊に遭遇してもすべて自己責任になる。そういうことを考えればNPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターの有料ツアーを利用するのが手っ取り早いかもしれない。

上士幌で鍵を返して、帯広へ向かう。
帯広では名物のインデアンカレーを食べた。

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ナプキンに包まれたスプーンが出されるのがインデアンならでは。

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インデアンカレー大辛(421円)。値段も手ごろで帯広のB級グルメだ。
ねっとりとしたルーが特徴で、肉はビーフ。通いたいほどくせになる。

インデアンでカレーを食べてから、また日勝峠経由で札幌に戻った。

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霧の日勝峠。それにしてもトラックが多い。

訪問日:2015/7/6

おわり







posted by pupupukaya at 15/07/10 | Comment(0) | 道東の旅行記
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