定山渓鉄道跡を歩く2015年 10回目


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昭和40年代になると230号線豊滝付近の新道や定山渓手前のトンネルも完成する。新しくなった国道に比べ定鉄の線形の悪さが目立つ(昭和43年発行国土地理院5万分の一地形図)

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定山渓鉄道の廃線跡地図 豊滝・一の沢間 その1(地理院地図から作成)

豊滝駅跡から再び豊滝除雪ステーションまで戻ってきた。ここから国道を定山渓に向かって出発する。
橋の上からは頭上に険しい岩肌を見せる八剣山がきれいに見えた。ヤブを漕いで一汗かいたが、国道に吹く涼しい風に当たって歩いていると汗が引いた。どういうわけかヤブの中は気温が周囲より高いようだ。

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国道の新盤の沢橋から見た八剣山。

国道の新盤の沢橋を渡ったところから左折して旧道に入る。豊滝神社や豊滝小学校もあって、集落の中心はこの辺りだったようだ。ここからは滝の沢駅の方が近かった。国道から沢伝いの小道を行っても(旧)国道で滝の沢に出ても大差ないような気がするのだが、豊滝駅はあの場所に必要だったのだろうか?

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国道230号線の旧道。(1から北西方向)
豊滝付近は急カーブが多く通称「七曲り」と呼ばれた。

旧国道の坂を下ると滝の沢駅のあった場所に出る。ここも駅構内だったところは小金湯と石山を結ぶ市道が貫通しているが何となく雰囲気は残っている。昭和6年に初代駅長が植えた2本の桜の木が今でも残っている。

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滝の沢駅があった場所。(2から北西方向)
駅舎は無くなったが、初代駅長が植えた桜の木が2本今も残っている。

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二美桜と名付けられて看板も立てられたが、看板は根元が腐って横倒しになっていた。

滝の沢駅は当初は停留所だったが、電化に伴い交換設備が設けられて駅に昇格した。上下列車の行き違いが主で貨物の扱いは無かった。駅周辺は農家が点在するだけで町は形成していない。当時は乗り降りする人も少なく、山間の静かな駅だったのだろう。
それでもこの辺りは山菜の宝庫で、春や秋には山菜取りの人の乗降が多かったという。また、八剣山の登山口はこの駅が最寄だった。
現在はバス停の名称に「滝の沢」は受け継がれていないが、「八剣山登山口」というバス停があり、八剣山最寄駅の役割はそちらが継いだようだ。

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滝の沢駅付近の重ね図(国土地理院昭和36年空中写真と現在地形図)

ここから豊滝駅方向へ行けるところまで探索してみようかと線路跡を行ってみたが、すぐに濃い笹ヤブに覆われていて進めなかった。

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滝の沢駅から豊滝方向に歩いてみたがすぐに笹やぶに覆われていた。(3から南東方向)

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上画像の逆方向。空き地になっている場所が滝の沢駅構内だった。(3から北西方向)

滝の沢駅から先はまた新しい道路ができていて、ここも道路敷地に取り込まれたのかと思っていたが、道路わきに線路跡の路盤がそのまま残っていた。地下には豊羽鉱山の送水管が敷設されていて、等間隔で「送水管あり」と書かれた札が立てられている。このおかげで道路にならずに線路跡が残されていたようだ。

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滝の沢駅跡からの線路跡は豊羽鉱山の送水管の敷地として残っている。(4から北西方向)

線路跡を見ながら道路の方を歩いていたが、橋の下にレンガ積みの橋台が残っているのを発見。戻って線路跡の方に行ってみる。
おお、これは立派な橋台だ。送水管は定鉄の橋台は使わずにその脇に架けられていた。

東札幌からずっと歩いてきて、ここで初めて橋の跡を見つけた。市道の橋の直下なので、車からは見ることはできないだろう。歩いてきたからこその発見だ。まだまだ造りはしっかりとして、この場所では河川改修工事でも行われない限りは残るものと思われる。

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レンガ造りの橋台を発見。(5から北西方向)

横の水管橋の上はちょっと歩けそうもないのでまた道路の方に戻って橋を渡る。この先も線路跡は続いていたが、道路の擁壁が続いているので線路跡の方に移ることはできない。

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鱒の沢川に架けられていた鉄橋の跡前後。(6から北東方向)
豊羽鉱山の送水管のおかげで道路には取り込まれなかったようだ。

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定山渓鉄道の廃線跡地図 豊滝・一の沢間 その2(地理院地図から作成)

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線路跡は道路右手に並行して見える。(7から北西方向)
向こうには烏帽子岳が姿を現した。おそらく電車の車窓からも見えていただろう。

国道230号線へ出る交差点を過ぎると道路は線路跡と合流する。

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小金湯温泉へ向かう市道と交差するあたり。(8から南東方向)

小金湯駅は正式には小金湯停留場で、湯治場だった黄金湯温泉(のちに小金湯温泉と改称)への客が多く、当初無人駅だったが後に売店兼乗車券取扱いの駅舎が建てられた。
7月の土用の丑の日には、丑湯の日帰り入浴客で混雑して、応援の駅員も来たという。

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小金湯付近の空中写真(国土地理院昭和36年)画像中央が駅舎とホーム。

ホームがあったところも、温泉へ向かう市道が整備されて路盤ごと消えてしまっていた。国道のバス停と温泉をつなぐ近道の屋根付き階段が駅っぽい感じがしたが、実際はもう少し先のコンクリートブロックの擁壁あたりにあったようだ。

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上の画像の反対方向。(8から北西方向)
正面に見える被覆のあたりに駅があったようだが、新しい市道に削り取られて見る影もない。

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小金湯駅があったあたりは平らに整地されていた。(9から北西方向)

小金湯駅跡から道路から離れて線路跡の路盤が続いている。ここも夏には草が生い茂るのだろうが、豊羽鉱山が送水管敷地として使用しているせいか倒木がないぶん歩きやすい。それでも進むにつれて笹ヤブになってきた。

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整地された小金湯駅跡からも線路跡の路盤は続いている。(9と10の間)

またヤブ漕ぎかと思いながら歩き進んでいると、脇に何か立っている。近づいてみるとなんと「22」と書かれたキロポストではないか。
キロポストとは線路わきに立てられる起点からの距離を記した標識で、線路であればどこでも必ず存在する。
ここは東札幌起点から22kmの地点になる。3回に分けたとはいえよくここまで歩いてきたものだ。

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キロポストを発見!(10から北西方向)

ああ、キロポスト。今まで住宅街だったり、ただの道路だったり、あるいはヤブとかそんなところばかり歩いてきたが、このキロポストを見たとたんに何か報われたような気がした。
元々は白く塗られていて、数字の彫ってある箇所は数字が黒く刻まれていたのだろうが、長年風雪にさらされて塗料は剥げてしまっていた。
お前も長いこと苦労したんだなあと思わせる風貌であった。

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「22」と刻まれたキロポストを発見。

ところでキロポストは木製のものが多いが、定鉄のはコンクリート製になっている。軌道の構造物はあれだけコンクリートを使わずに建設した定鉄だが、なぜかキロポストだけはコンクリート製の立派なものが置かれていた。

ちなみにJR北海道のものは雪で埋まらないようにポールを立ててその先にキロ数を表示している。

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表面は塗料がすっかり剥げてしまっているが裏は白いまま残っている。

ここまで笹ヤブをかき分けて歩いてきた甲斐があったというもの。キロポストを後にまた歩き出す。
途中からけもの道ができていて、歩きやすくなった。送水管関連の工事が最近行われた箇所があって、そのために刈り取られたようだ。

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途中から笹が刈り取られてけもの道のようになって歩きやすくなった。(11から北西方向)

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線路跡の両脇を雪解け水が流れる。(12から北西方向)

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湿地になってしまった線路跡。(13から東方向)

途中から線路跡は雪解け水が溜まった湿地のようになっていたが、その脇に道があってそっちを歩ける。水芭蕉がいくつか咲き始めていた。
しばらく進むと線路跡の路盤は車のわだちのある道になった。市道ではなくあぜ道のようなものだが。

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ここからは道になっている。上画像の反対方向(13から西方向)

道の両脇は家庭菜園の用地になっていて、もう畑仕事をしている人を見かけた。持ち主は農作業のときはここで寝泊まりするのかバラック小屋も建っていた。こんなところに土地を持って、週末はここへ寝泊まりしに来るのもいいなあなんて思った。

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家庭菜園の中を進む。(14から西方向)

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この先に一の沢駅跡があるはずなのだが・・・(15から西方向)

家庭菜園の畑を過ぎると建設会社の資材置き場のようなところに出た(地図15の位置)。ここから先は私有地のようで、ニワトリが歩いていた。放し飼いらしい犬の姿もあるし、ここからは国道を迂回した方が良さそうだ。

国道の方にむかって歩き出すと犬に見つかった。放し飼いの犬たちが吠えながらこちらに走ってきた。

やばいよ、さてどうなる。

11へつづく

posted by pupupukaya at 15/05/06 | Comment(0) | 廃線跡を行く
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