津軽鉄道に乗るのは今回が3回目になる。前はいずれも雪のない季節だったのでストーブ列車には乗っていない。津軽鉄道には申し訳ないが、沿線は日本中どこにでもある田園風景の中を行くローカル線という感じで、これと言って印象に残るようなものは無かった。
今回はようやく念願のストーブ列車に乗ることができる。旧型客車から冬景色を眺めればまた違った印象が残るかもしれない。
JR駅舎の脇にある津軽五所川原駅。
津軽鉄道の駅は津軽五所川原駅といってJR駅の脇にひっそりとある。JRに乗るために駅に来ても気づかないかもしれない。
ここも駅の中に入ると昭和から時の流れが止まったような世界だった。
8:10発の列車が出たあとだったので待合室には誰も居ない。窓口で津軽中里までの乗車券とストーブ列車券を買う。どちらも今はほとんど見かけなくなった硬券だった。
待合室ときっぷ売り場。津軽凧が飾られている。
こじんまりとした待合室。ストーブが灯る。
きっぷうりば。ガラスで仕切られた窓口というのもすっかり珍しくなった。
手書きでしかも毛筆の運賃表。
乗車券とストーブ列車券を買う。
縦書き漢数字の時刻表。昭和も戦前にタイムスリップしたような気分になる。
待合室にはテレビがあって、今日の北陸新幹線1番列車の中継をしていた。昨日の北斗星やトワイライトエクスプレスの話題なども取り上げられて、今朝のテレビは鉄道の話題一色という感じだった。ほかに行くところも無いのでストーブに当たりながら待合室でテレビに見入っていた。
ストーブを囲んでベンチが並ぶ。札幌市内でも昔の国鉄の駅はこんな感じだった。
これは記念に買った入場券。赤線が入る。
なぜか薬局店頭でおなじみだった人形が置いてあった。
発車時刻が近くなるとだんだん人が集まりだす。
本当は改札が始まってから中に入れるのだが、窓口で客車の入れ替え作業が見たいというと特別に入れてもらえた。
駅舎は別々でも中では一緒になっていて跨線橋はJRと共用。
ちょうど津軽中里からの列車が着いたところだった。
津軽鉄道の貨車。いまはホームに飾ってあるだけ。
駅名標とレールの変遷。
構内に留置されている客車たち。
この客車がさっき到着した気動車の後ろに連結される。
客車の銘板。もとは国鉄の車両だったようだ。
客車の社章と車番、行先票。
さっき到着した1両の気動車が客車を1両前に付けてホームに入ってきた。気動車が客車を1両引っ張って走るらしい。写真で見た機関車は今日は付かないようだった。
ストーブ列車がホームに据え付けられる。
ストーブ列車の乗客は10人ほど。もっと混んでいるかと思っていたから拍子抜けした。ストーブ車両は別に400円かかるので乗客は私も含め遠方からの人ばかりだ。地元客は前の一般車両に乗る。
ストーブ車両1両に車掌、女性のアテンダントそれに車内販売係が乗務して、先頭車は運転手もいるので4人も乗務することになる。それだけ考えるとずいぶんと豪華な列車だ。
アテンダントさんが出迎える。
ストーブ列車ののりば。
車内に入るとスルメの匂いが充満している。ストーブの上でスルメを焼くからだ。何年か前に北海道の網走で「流氷ノロッコ号」に乗ったことがあって、あの列車も観光客の焼くスルメの匂いがしていた。
車内はこれも昔はよく乗った旧型客車そのままになっている。座席のモケットは明るい色に交換されているが、それ以外は昔ながらになっている。
10人程の乗客は車内に2台あるストーブのまわりに座った。
旧型客車の車内。大型テーブルと座席モケットが新しくなっているほかは基本的に昔のまま。
これが名物の車内ストーブ。座席1列分を撤去して据え付けられている。
ストーブに石炭をくべるのは車掌さんの仕事。
発車前だがさっそく車内販売がやってきた。八戸から車できたという通路向かいの女性の二人連れがスルメを買った。車内販売のおばさんがストーブに乗せて焼いてくれる。そのあいだにお客としゃべる。
私はお酒を買った。朝から「汽車」に揺られて一杯飲むとたちまち気分が良くなった。
石炭が真っ赤に燃えている。これでも火力は抑えている。
車内販売でスルメを買うと売り子さんが世間話などをしながらストーブで焼いてくれる。
ストーブの上で焼けたスルメ。
車内販売で買ったストーブ酒(350円)。中身は弘前の齋藤酒造店製の「松緑」。なかなか辛口の酒だ。
ストーブの煙突。
津軽五所川原駅で買ったきっぷ。
車内販売は1往復して終わり。売り子さんは車内の乗客たちと色々話をする。
この客車は前は乗車券だけで乗れたのだが、いまはストーブ料金を取るようになったので地元の人が乗らなくなった。地元のお年寄りなどは都会から来た人と会話するのが楽しみだったんだけどねと言った。
また吹雪いてきた。売り子さん曰く「今日はいい感じになってきましたね〜」。
しかしアテンダントさんといい売り子さんといいよくしゃべる。反面車掌さんは一貫して寡黙だった。がら空きの車内だが、話し声が終点まで止むことなく続いていた。
雪に埋もれる津軽飯詰駅。
旧型客車から見れば北の果てにやって来たような景色だ。
ここも古い木造駅舎が残る嘉瀬駅。昔は農作物の積み出しなどで栄えたのだろうが。
金木駅に到着。今は五所川原市の一部となったが、旧金木町の中心なのでまとまった乗り降りがある。太宰治記念館 「斜陽館」もあるので観光客も乗り降りする。
1本前の列車で金木に着いて、この列車に乗ってきた人も何人かいた。
金木を出ると17分で終点津軽中里に着く。買ったお酒も1本空けてしまった。46分のストーブ列車の旅はあっという間だった。
終点津軽中里に到着。
「本州最北の民鉄」ということは日本最北でもあるのだが、津軽の人は奥ゆかしいのか。
アート風の駅名標。
スーパーに併設された駅だったが閉店し、交流施設「駅ナカにぎわい空間」になっている。
せっかくだから帰りも400円払ってストーブ列車に乗ることにした。
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