さてB寝台車に乗る。きっぷに指定された寝台は21号車で、1号車と2号車の間に挟まっている。これは寝台車に増結車が連結される場合は20番台の号車番号を付けるためだ。増結車を3号車とすると以降の指定席車の号車番号もすべて変更しなければならず、また「増2号車」とすると本来の2号車との乗り間違えが後を絶たないからこうなったのだろう。
客車はオハネ25型客車で21号車の客車はオハネフ25 7だった。製造は1970年代で、最初は東京と九州を結ぶブルートレインの客車だった。のちに北海道仕様に改造されて「北斗星」として走る様になり、いまは「はまなす」の役に就いている。
車内は若干リニューアルがされているが基本は70年代のままで、あちこちに古さというか懐かしさを感じることができる。
入口上にあるB寝台の表示。横の「★★★」マークは2段式B寝台の印。
「★」は3段式、「★★」は電車3段式となる国鉄時代の記号。
B寝台の扉。自由席の寝台など無いが「指定席」の札が差し込まれている。
B寝台の通路。床はカーペット敷きになっている。
B寝台は4人向い合せの2段ベッド。
シーツ、掛布団、浴衣、ハンガーが置かれている。
上段寝台はこんな感じ。転落防止のベルトが下がる。寝台幅は同じだが、上下寸法は下段より若干小さい。
下段寝台は昼間は座席使用となるので背もたれが付く。横になってカーテンを閉めればプライベートルームになるが、これで1泊6480円は高いか安いか。ちなみに同じ距離のグリーン料金だと5300円になる。
JR柄の浴衣が用意してある。
上段に上がるための折り畳み梯子。昼間は真ん中のポールに収納する。
テーブルの下にあるセンヌキ。瓶ビールでも持ってくれば良かったかな。
今は全車禁煙なので灰皿は使用できないようにされている。
通路上の空間は荷物置き場になっている。
下段寝台の下に置いてある踏み台。上に荷物を上げるときに使う。
通路の折畳み式腰かけ。ここに座って窓に頬づえをついて夜景を眺めると一層旅情を味わえる。
通路上にある身だしなみ用の鏡。
号車札と便所使用知らせ燈。「便所」といい「燈」といい、遠い時が過ぎたことを感じさせる。
「おす」と書かれた黒光りの押し板。
洗面所はリニューアルされて快適に利用できる。
トイレの使用の表示。どこもアナログなものばかりだ。
トイレは和式で昔のまま。何か恐ろしさも漂う。
貫通路と2か所あるトイレ。冷水器があった場所にはごみ箱が置かれている。
デッキのくずもの入れ。押すと内側に開く。
座席車よりも広めのデッキ。乗降扉は元は折戸だったが、北海道転入時に引戸に改造された。
車内放送では今日は寝台・指定席両方満席だと放送している。盆正月以外はいつもがら空きのイメージしかなかったが、3両の寝台も満席になるとは大盛況だ。最後の「トワイライトエクスプレス」や「北斗星」で来札した人たちが多いようで、鉄道ファンだとすぐにわかる。
そのほか卒業旅行なのだろうか若い女性も結構見かけた。
あれこれ撮影しているうちにあっというまに発車時刻になった。通路の折り畳み椅子に腰かけてビールを飲むと列車はゆっくりと動き始めた。友人を見送りに来たのかホームの男女がしきりに手を振る。
見送り人に手を振られて発車する。
窓に頬杖をついて雪明りの景色を眺めていると、チャイムが鳴って車掌の案内放送が始まった。伊達紋別、長万部、函館、青森と到着時刻を告げる。寝台車は車内改札終了後深夜灯になり明朝の青森到着まで放送は入りませんということだった。
夜行でおなじみの「最近車内の盗難が増えています」のセリフは無かった。
流れる夜景を見ながら缶ビールで一日の疲れを癒やす。
新札幌を発車すると外はまた吹雪いてきた。いつもなら暗闇の車窓も雪明りでぼんやりと明るい。
車掌が改札にきたのできっぷを見せる。車掌が去るとすぐに車内は減光された。
発車前はにぎわっていた通路も発車後は人がいなくなり静かになった。どの寝台もカーテンが閉じている。寝るにはまだ早い時刻だが、寝台車ではほかに身の置き所も無く早々に横になったようだ。
話し声も聞こえず、エンジンの無い客車なのと雪に音が吸われるのもあって車内は静まり返っていた。
青森までのきっぷ。
こちらもベッドメーキングをして寝台に胡坐をかいた。駅で買ったワンカップを2本寝酒にする。
千歳に到着。東室蘭までは最終列車の役割もあるので特急「すずらん」並みに停車する。
新札幌を発車すると減光される。早々に寝静まったのか話し声ひとつ聞こえなくなった。
苫小牧駅に到着。夜霧が夜汽車の夢を誘う。
ベッドメーキングするとこんな感じ。枕を通路側に置くか窓側に置くかは好みで。
通路側にある読書灯。
ベッドで飲んだお酒。寝台車にはワンカップが似合う気がする。
背もたれ上にテーブルがあるが斜めになって頼りない。メガネなどを置いていても落ちそうだ。
23時を過ぎて苫小牧を発車してから横になった。
レールの響きや時々聞こえる機関車の汽笛が聞こえると夜汽車に乗っている実感がわいた。もう日常とは別の世界にいて、眠ったまま遠いところへ向かっているのだ。
夜中に目が覚めて窓の外を見ると函館駅に停車中だった。機関車交換と方向転換のため30分停車する。さすがに降りて撮影に出る元気は無かった。またひと眠りする。
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