今回は久しぶりに夜汽車の旅に出ます。
2月下旬に札幌駅で青森行急行「はまなす」のきっぷを買った。
きっぷは『青森往復きっぷ』。札幌から青森・弘前まで特急指定席が利用できる往復割引きっぷで、なんとこのきっぷは追加料金なしで「はまなす」のB寝台も利用できるのでかなりお得だ。
往復とも「はまなす」のB寝台を利用することにした。どちらも下段が取れた。
0泊3日の強行軍のように見えるが、寝台車で横になって行けるし、私はビジネスホテルのベッドより揺れる寝台車の方がよく眠れる性分なので平気だ。
行先は津軽鉄道の「ストーブ列車」。そのあとは町を見物したり温泉に入ったりしようと計画を立てた。予算は青森往復きっぷ込みで3万円とした。去年のアメリカ旅行の出費がたたってあまり余裕は無かった。
吹雪の札幌駅前。牧歌の像にも雪が積もる。
3月14日金曜日、「はまなす」は夜10時発なので会社から一旦家へ帰る。この日は最後の寝台特急「北斗星」が最後の定期運行となる日だった。夕方のTVニュースでも大勢のファンに囲まれて発車する列車の映像が流れていた。
夕食と旅支度をして9時頃家を出る。昼くらいから降り出した雪はずっと降りやまず、すっかり積もって白一色になっていた。
午後9時過ぎの札幌駅は帰宅の通勤客が足早に通り過ぎる。改札口前にはスーツケースを持った人が何人か柱の脇で所在無げにしている。「はまなす」の乗客だろうか。
22時から23時にかけて札幌から各方面への夜行列車が次々に出発していたのはもう10年近くも前のことになってしまった。
金曜日の夜はよく夜行列車に乗ったものだった。翌朝道東や道北に降り立つのは気分が良かった。稚内行「利尻」、網走行「オホーツク」、釧路行「まりも」など。今はすべて過去のものになってしまった。
思えば札幌駅から数えきれないほどの回数を夜汽車で旅立ったものだった。
唯一残った急行「はまなす」だが、来年春の北海道新幹線開業前には間違いなく廃止になるだろう。せいぜい今のうちに乗っておくことにしよう。
夜の改札口。唯一の夜行列車の表示も出る。
9時半ごろに大勢の帰宅客に混じって改札口を通る。自分だけはこれから旅に出ると思うとなにか特別な気分になる。はまなすの入線時刻は21:38なのでその前にはホームに居たい。
コンコースのキヨスクはまだ営業していて、ビールとカップ酒それにつまみの竹輪を買った。
コンコースの駅弁屋は21:30まで営業だがもう閉まっていた。
4番線のホームに行くとさっきテレビで見た北斗星を囲んだファンたちはいなくなっていつものホームに戻っていた。
自由席の乗車口には10人くらいの列ができている。それでもカメラを持った鉄道ファンをいつもより多く見かけた。「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」で着いて「はまなす」で戻る人たちだろうか。
自由席には乗客の列が。今までの経験ではほとんどは苫小牧や東室蘭までの人。
ディーゼル機関車に牽かれた「はまなす」がゆっくりと入ってくる。電車とは違う汽車の風格が漂う。
ホームの発車時刻案内。青い車体と「急行」というのがグッとくる。
ホームのキヨスクとそば屋は閉まっていた。階段を下りたコンコースの売店はまだ営業しているので買い物はそちらへ。
寝台車に荷物を置いて、さっそく列車の撮影をしてきます。
この日の編成は通常の7両に寝台車の増結が1両、電源車代わりの座席車を1両増結して9両編成と堂々とした列車になった。
3・7号車 自由席
ずらり並んだ乗車口の案内札。「北斗星」「カシオペア」もひとまず臨時列車として残る。
製造から40年経つ14系客車の車体はかなりくたびれている。結局新車が入ることは無かった。
自由席は室蘭・函館方面の実質最終列車だ。皆どこまで帰るんだろう。
簡易リクライニングシートが並ぶ自由席。満席の指定席・寝台に対して窓側が埋まる程度の乗車率だった。
座席車の大型携帯品置場。ただし3号車のは右側はデッキ側に自販機が置かれたために塞がれている。
自由席のデッキにある自動販売機。酒類は置いていない。
貫通路のテールマーク。
5・6号車 指定席(ドリームカー)
6号車ドリームカーの表示。普通車指定席だが、座席はグリーン車並みになっている。
ドリームカーにあるミニラウンジ。寝台車やカーペットカーにもあるとありがたいのだが。
グリーン車並みのドリームカーの座席。もともとは急行「まりも」で使われていた車両。
5号車指定席の表示。この車両に改造されたのはバブル景気真っ只中だった。レザー風の壁が高級感漂う。
4号車 指定席(カーペット)
4号車はカーペット車になっている。今は無き快速「海峡」や「ミッドナイト」で好評だったために第3弾として座席車から改造された。
指定席料金520円で横になれるので閑散期でも満席のことも多い。ただし走行中の振動がじかに体に伝わるためドリームカーの方が良いという人もいる。
2階席は個室の気分で利用できる。かなり狭そうだが。
はまなすを牽くDD51型ディーゼル機関車。これ1台で多客期は12両もの客車を牽引する。
エンジンのアイドリングを響かせて発車待ちの機関車。
機関車の次位に連結のスハフ14型客車。「給電機関代替車」とは発電エンジンを積んでいるスハネフ14が付かない場合に代わりに連結される。車内は消灯されてカーテンが閉じられていた。
青い客車が連なる発車前のホーム。まさに「ブルートレイン」という感じ。
3月は別れの季節。ドアの前では見送りも。
久しぶりに夜汽車に乗るのと、もうこれで最後かもしれないのでカメラを持ってあちこち撮って回った。発車時刻が近くなったのでそろそろ寝台車に戻る。
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