朝6時少し前に目が覚めた。2泊3日目の朝だ。
ユタ州は夜中に通り過ぎて、ここはネバダ州になる。
昨日は山岳部時間帯だったが、今日からは太平洋時間帯となり日本との時差は16時間となる。
時計を1時間遅らせた分、長く寝ていられるというわけだ。
反対にシカゴ行列車だと毎日1時間ずつ進めるので、その分睡眠時間が短くなる。
1列車で2回も時差を迎えるのも初めての経験だ。
昨日もそうだったが、朝は荒涼とした風景の中を走っている。空は昨日とは違って雲が覆っていた。
カリフォルニアゼファー2回目の日の出。
6:20、地平線の向こうから朝日が少しずつ顔を出してきた。
このあたりはロッキー山脈とシエラネバダ山脈の間にある巨大な盆地で乾燥地帯になっている。標高も高くて、1000m以上の高地になっていて『グレート・べースン』(大盆地)と呼ばれている。
トイレとモーニングコーヒーのために部屋を出ると、向かいの部屋のおっさんがいつの間にかいなくなっていた。昨夜は居たようなのでソルトレークシティで降りたのだろうか。
ソルトレークシティは定時ならば23:05着だが、この列車では真夜中の3時ごろに着いているはずなので降りたらどうしたのだろうか。
ベッドで2回目のモーニングコーヒー。
7時過ぎに食堂車に行く。
同席となったのは熊本からきたという日本人の夫婦だった。ほかに日本人が乗っているとは全然気づかなかった。座席車の向こう側の寝台車に乗っていたとのこと。
Sさんも同じテーブルに来て、久々に日本語での会話になった。
今日の朝食はパンケーキにした。ベーコンかソーセージか訊かれ、ベーコンにした。
バターミルクパンケーキ。付け合せはベーコン。
パンケーキは日本で言うホットケーキで、バターとメイプルシロップで食べる。ベーコンはカリカリに焼いてある。甘いホットケーキと塩辛いベーコンとの組み合わせが妙だった。
また部屋に戻ってコーヒーを飲みながら車窓を眺める。
並走するトラックとセスナ機。
10:30ごろ食堂車からブレックファースト終了とのアナウンスがあった。
乾燥地帯のためか砂地に低木がチョボチョボと生えるステップ気候の景色は昨日とはまた違っていた。
行けども行けども同じ景色ばかりで、普通の人なら飽きてくると思うけど、ずっと飽きずに車窓を眺めていた。
こんなすごい景色日本じゃ絶対体験できないから。
ウィネマッカ駅。
ずっとステップが続く。砂地に低木がチョボチョボと生えている。
草木も無い砂漠。
昔は湖で干上がったのだろうか。白くて平らな塩の砂漠。
いくつもの砂漠を越えてリノに到着した。ここで10分停車となる。
リノ駅に到着。リノはギャンブル好き憧れのカジノシティ。
リノは言わずと知れた人口23万人のカジノシティ。カジノの規模はラスベガスに次ぐ。
しかしホームはコンクリートの壁に囲まれた半地下のようなところにあって、街を見ることはできない。
駅はホームから入った地下にあって、待合室にはベンチがたくさん並んでいるがガランとしている。
この駅も発着する列車はカリフォルニアゼファー号1往復だけだ。
リノ駅で10分停車だが半地下のようなホームでは開放感に欠ける。
ガランとした待合室。ここも発着する列車はカリフォルニアゼファー号のみ。
リノは12:27に発車した。定時刻は8:36なので若干回復したようだが、依然として4時間近く遅れている。
エメリービルからバスに乗り継いでサンフランシスコに着くのが17:35の予定だから、着くのは夜10時近くになってしまう。
ダウンタウンのバス降り場近くのホテルを予約しておいて良かった。
リノを発車してすぐにランチタイムの放送があったので食堂車に行く。
ランチの食堂車。
このランチがカリフォルニアゼファー号での最後の食事になる。
相席になったのはドイツ人らしい2人連れ。なぜわかったかと言うと話声がドイツ語っぽかったから。もう一人も英語圏の人ではなくヨーロッパのどっかから来たようだ。
言葉もバラバラなので軽く挨拶した以外は特に話も無く、気が楽。
すでにナイフやフォークが並べられたテーブル。ドリンクはアイスティー。
昨日食堂車のランチで同席の人たちが食べていたのがおいしそうだったので今日はハンバーガーにした。
メニューの表記は『アンガス・ステーキバーガー』。これもピクルスと揚げたてのポテトチップが添えられている。
上にチェダーチーズが載ったアンガスステーキバーガー。
上に溶けたチェダーチーズが載っていて結構ボリュームがある。味付けは無いので籠にあるケチャップをかけてパンズで挟んでかぶりつく。
おいしいが包み紙が無いので手が汚れるのが珠にきず。
食堂車から戻ると、トラッキー駅に停まった。ここからはカリフォルニア州になる。
そろそろサンフランシスコも近いと思われるだろうが、これからシエラネバダ山脈の2000m級の峠を越えなければならないので、ここからまだ6時間以上かかる。西海岸はまだまだ遠い。
トラッキー駅からシエラネバダ山脈越えになる。駅前は開拓時代の面影が・・・
トラッキーを発車すると本格的な山越えだ。スピードが落ちて、シエラネバダ山脈の山中へと入って行く。
昨日のロッキー山脈越えのような絶景は無いようだが。
右側に湖が見えてきた、これがドナー湖だ。
向かいの部屋は、おっさんがいなくなって空き部屋となっていたので、勝手に入って景色を眺めさせてもらう。まさかもう乗ってくる人もあるまい。
ドナー湖を下に見ながら列車は山を登って行く。
静かな湖面と美しい湖畔が列車からも見える。
ここは昔、ドナー峠事件の舞台となったところで、1846年の冬にカリフォルニアに向かう開拓民の幌馬車の一行が雪の中で遭難したという事件だ。87人のうち生き残ったのは47人だけだった。
あまりの悲劇というか悲惨な実話なので詳細は記さないが、興味のある人はドナー事件やドナー隊の悲劇で検索してみるとよいです。
ドナー湖の対岸に見えるハイウェイ。
また”世界の車窓から”のような車窓。
標高2100mのドナー峠をユダトンネルで一気に抜けると、ここから西海岸まで山道をずっと下って行く。
ここもトンネル開通前の旧線は崖っぷちをいくつものトンネルや覆道で越えていて難所だったところだ。
ドナー湖の反対側を越えてきたハイウェイ。
峠を越えて太平洋岸へ向かってを下って行く。
山を下ると、峠で開けたペットボトルが気圧差でひしゃげてしまった。
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