2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記11 カリフォルニアゼファー号1日目の夜

車窓は相変わらずコーン畑が続く。山は全く見えないが土地は平らというわけではなく、緩やかな起伏がある。

ときどき町が現れるが、昔は駅があったのだろうが今は停まる列車も無くなったようで撤去されているか、あっても貨物駅である。

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ゲイルズバーグ手前で交差する線路。立派な複線だが、たぶん貨物線。

プリンストンを出てから1時間くらいでようやく大きい町が現れた。
踏切をいくつか通過するとゲールズバーグ駅に停まる。17:51着だった。

ゲールズバーグ駅は、ここからロサンゼルスに向かう『サウスウエストチーフ』号と、クインシーまで行く『カール・サンドバーグ』『イリノイズゼファー』号、それにこのカリフォルニアゼファー号がそれぞれここで分かれる駅である。

三分岐するジャンクション駅なので大きな駅かと思ったが、こじんまりした駅だった。
車内に置いてあったルートガイドによると”重要な鉄道の街”とあった。

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ゲールズバーグ駅手前の踏切。

18:35頃にミシシッピ川の鉄橋を渡る。
河口からは1000km以上上流に位置するが、さすが北アメリカで一番長い川だけあって川幅は広い。

ずっと単調な景色が続いているので、1日目の一番見どころはこのミシシッピ川鉄橋だろうか。

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ミシシッピ川の鉄橋を渡る。

18:45にバーリントンに着いた。ここからアイオワ州になる。

車内放送があって「〜ダイニングカー、シックスフォーティーセブン〜」と聞こえたので食堂車に行く。
待ちに待ったと言いたいが、食堂車は見知らぬ人と同席で、しかもこちらは英会話などさっぱりなので気が重い。

食堂車は2両先にある。通路は1回目のディナータイムへ向かう人がいてそのあとに続いて行く。

食堂車の入口では数組の行列ができていた。勝手に空いている席に着くのではなく、中でクルーに席を指示されるらしい。しかし列はさっぱり進まない。

ようやく自分の番がきて、ディナー券を見せて席に案内してもらう。テーブルには既に3人の先客がいた。


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ディナーの食堂車。

「ハロー」と言って席に着く。2人は年配のアメリカ人(かはわからないが多分)夫婦。もう一人は日本からの学生さんだった。
大学4年生で就職も内定し、最後の学生生活ということでアメリカ旅行をしているとのこと。

ワシントンD.Cに着いてシカゴまでも列車で来たというから鉄ちゃんかと思ったが、そうではないらしい。

アメリカ人夫婦を交えて軽く自己紹介する。

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ディナーのテーブル。ナプキンや皿がすでに並べられている。

とりあえず一安心といったところで車内を見回すと、客の年齢層はかなり高めだ。
勤めを退職した人たちがクルーズを楽しんでいるように見える。

まだ何も注文していないが、しばらくしてサラダと籠に載ったパンが運ばれてきた。
クルーからアンケートのような用紙が渡される。全員何かというような顔をするが、注文は希望の物をチェックボックスに印をつけるようにということらしい。


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最初に出てきた前菜のサラダ。


わかりやすくて良いが、税関申告書のようで味気ない。
ステーキの欄があったので印をつける。ポテトはベイクドとマッシュがあってベイクドに、それにチョコレートデザートに印をつけた。
実は隣席のおばさんの真似して書いただけだけど、エヘ。

ドリンクはなぜか全員水になった。ディナーなのでお酒を飲みたいが誰も飲まないのに一人だけ飲んでもしょうがない。

大学生の彼はさすがに流暢な英会話で、同席の夫婦と英語で色々話しに花が咲いている。
こちらは話にへ入れるはずも無く、トホホ・・・だねこりゃ。

だけど彼がしゃべっているぶんこちらは黙っていられるので大変助かった。

他所のテーブルを見ると、どこも和気あいあいと話が盛り上がっているようだ。

それにしても注文書に書いて渡した品は一向に出てこない。このテーブルだけ忘れられているのではなく、どのテーブルもまだ運ばれてきていない。

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ディナーの注文用紙。

あまりに遅いのでどうしたのかと皆顔を見合わせる。
クルーが通りかかったので隣のおばさんが尋ねるが、クルーはジョーク交じりで答えると皆苦笑した。

ディナー自体が中止になるわけではないので気長に待つしかないのだろう。

ようやく料理が運ばれてきたのは注文書を渡してから1時間以上経過してからだった。ほかのテーブルにも料理が運ばれだしたので、厨房も少しずつ動き出したようだ。

さて、アムトラック名物のステーキである。
これが意外と小さい。アメリカなので3人前はあるんじゃないかというような大きい肉を想像していただけに、ちょっと拍子抜けだ。
そのかわりに付け合せのポテトはたくさん盛られている。
ポテトはベイクドポテトにしたはずなのだがマッシュポテトになっていた。まあいいや。

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メインディッシュのステーキとマッシュポテト。

肉は柔らかくて上等の肉のようだ。味付けは薄く、脂身も無くあっさりしている。

あまりに淡白すぎてちょっと物足りなかった。アメリカの料理は量もカロリーもが多いからと思って昼も食べなかったのだが。
アメリカの上層の人の食事はこんなふうに案外と質素なのかもしれない。

逆に経済的に下層の人々がジャンクフードによる肥満が社会問題になっているほどだ。

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デザートのチョコレートケーキ。

食べ終わると程なくデザートが出される。スポンジケーキで上にチョコレートソースがかかっている。これでフィニッシュ。

お酒は、周りを見ると飲んでいるテーブルもあるが飲んでいない人が圧倒的に多い。ドイツならばビールのジョッキが並んで乾杯となるんだろうなと思った。ここでは酒飲みにはいまひとつ冴えない。健康的だけど。

ところで、大学生のSさんとアメリカ人夫婦との会話の中で『チップ』の話が出てきた。
別に英会話ができなくても彼らがどんな話をしているかくらいはなんとなくわかる。

寝台車の客は食事は無料だが、マナーとしてチップを置いていかなければならない。
チップの習慣がない日本人にはぜひ知っておきたいところだが、それでいくら置くかという話になったようなのだが、アメリカ人夫婦はなかなかはっきりとは言わず答えを渋る。

それはそうだろう、チップなんてのはあくまで心づけであって、金額が決まっているわけではない。相手によって、サービスの内容によって変わってくるだろうし、ここでは○ドル置けばいいのよなんてはっきり教えてはくれないだろう。
アメリカ人夫婦はしぶしぶ5ドルくらいと答えたようで、Sさんは「5ドル置けばいいようですよ」と言った。

そろそろ部屋に戻りましょうかということになり、Sさんと私は言われた通り5ドル札を置いて席を立った。

時刻は20:40になっていた。待ち時間が長かったがSさんたちの会話も楽しそうだったし、私は黙っているのが好きなのでそれなりに楽しいディナーだった。

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セットされたベッド。

部屋に戻る。線路近くには家も道路も無いのか窓の外は真っ暗闇だ。
照明を消すと遠くの家々の灯りや月明かりに照らされた山の稜線などが見える。

持ってきたウイスキーで一杯やるかなと思っていると客車のクルーがベッドメークにきた。座席を引き出して、折りたたんである上段ベッドに置いてあるシーツなどを下ろしてベッドになった。
クルーにチップとして1ドル渡す。1ドルに根拠は無いが、『地球の歩き方』にルームサービスは1〜2$と書いてあったので。

部屋中がベッドになってしまうと足を降ろす場所も無い。ウイスキーを飲んでさっさと寝ようかと思ったが、ラウンジカーに売店があったのを思い出した。まだ寝るには早いしちょっと行ってみることにした。


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ラウンジカー1階の売店へ。

今は9時半くらいだが、売店は混んでいて何人か並んでいる。座席車の客だろう、軽食を買って持ち帰る人が多い。メニュー表をみると軽食はホットドッグやハンバーガーなど。
食堂車は座席車の人も利用できるが基本寝台車の客が優先だし、停車中に駅で何か買えるわけではないので食べ物も飲み物もここでしか手に入らない。

自分の番がきたのでビールを2缶買う。1缶5ドル。


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売店で買ったビール。キンキンに冷えている。

2階のラウンジカーは昼間とは違って空いている。減光されていて薄暗いがそのぶん窓から夜の景色が良く見えるし雰囲気も悪くない。

窮屈な座席車からの人だろうか、さっきのディナーと違って若い人が多い。
ラウンジカーの椅子にに座ってビールを飲んでいると、やっと夜汽車に乗っている感じがしてきた。

離れた席にいるグループの一人がギターを弾いて『カントリーロード』を歌っていた。


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1階にあるシャワールーム。

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石鹸とタオルは備え付けてある。シャンプーは無い。

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タオルは使用後は別の籠に入れる。

ラウンジカーから戻る途中でシャワーを浴びてきた。各車両に1箇所あって、寝台車の客は自由に使用できる。
車内は冷房がガンガン効いているので汗ばむことはないが、軽く浴びるとさっぱりする。

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寝酒のウイスキー。


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ずっと追いかけてくる月を見ながらおやすみ。

こうしてカリフォルニアゼファー号1日目は無事終わった。
おっと、もう一つ腕時計の針をを1時間戻す。途中でタイムゾーンが変わり、今までは日本との時差は14時間(夏時刻)だったが、明日からは15時間となる。

アメリカでは列車の時刻や食堂車の予約時間などすべて現地時間で運用されているので時計を合わせていないとアレッ?ということになってしまうので注意が必要。

12へつづく
2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記 もくじ
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posted by pupupukaya at 15/01/24 | Comment(0) | 2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記
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