【旅程】
シカゴ・ユニオン駅 8:25− 331 ハイワサ号−9:54 ミルウォーキー
今日はシカゴ2日目。2泊3日の中日になる。
日本を出発する前、どこに行こうかといろいろ考えたが、私は鉄道好きで、とりわけ乗り鉄と呼ばれる列車に乗っているのが好きな人なので、どこかシカゴから列車で日帰りで行けるところがあればと思っていた。
ところがアメリカは飛行機と高速道路が発達しているため鉄道の都市間輸送というものがほとんど行われていない。アムトラック運営による長距離列車が各方面へ1日1本とか運行されているに過ぎない。
唯一例外は、東海岸のワシントン〜ニューヨーク〜ボストンの区間で、ここは人口密集地帯の為に「アセラエクスプレス」などの都市間高速列車が多く走っている。
ここシカゴも例外ではなく、ユニオン駅に発着する列車は、全米各地に向かう長距離列車ばかりだ。あとは郊外の都市まで運行されている通勤列車になる。
↑シカゴからミルウォーキーへのルート。
ところが、アムトラックのホームページを調べていると見つけた。シカゴ発着の唯一の都市間列車がありました。
シカゴからウィスコンシン州のミルウォーキーまで1日7往復の列車が運転されている。所要時間は片道1時間29分だから日帰り旅行には手ごろな距離だ。
それで、シカゴ2日目は列車でミルウォーキーまで往復することに決めた。
しかも昔、サッポロビールのCMで『ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー』なんてあったくらいでビールの町だ。
シカゴから日帰りでいっちょビールでも飲みに行くのもしゃれている。いいね。

1958年に一世を風靡したサッポロビールの広告(サッポロビールHPより)。
そんなわけで今朝は早起きして7時にホテルを出る。列車の発車時刻は8:25なのでもっとゆっくりでもいいのだが、初めてだしチケットを買ったり駅の中を見たいので早めに出た。
土曜朝のセルマック・チャイナタウン駅前。車も人も少なく静か。
セルマック=チャイナタウン駅の券売機で地下鉄の片道券を買う。今日はあと帰りにしか乗らないので1日券の必要は無い。地下鉄の片道料金は2.25ドルだがこれはカードを持っていて引き落としになる場合で、券売機でチケットを買うと3ドルになる。片道で3ドルは少々高い。
チップ用に1ドル札が欲しかったので20ドル札を券売機に入れた。ところがチケットは出てきたがお釣りは出ない。またボタンを押してみると最初の画面に戻ってしまった。残りの17ドルは?
「No Cange」(お釣り無し)と表示された券売機(画像はユニオン駅の物)。
どうなったんだとあれこれいじって見るが、前の操作はリセットされてしまったようで残りの17ドルは消えてしまった。
改めて券売機を見ると、上の画面に「No Change」と繰り返し表示されている。どうもお釣りは出ない機械らしい。
いまさらどうにもならない。チックショー!釣りはチップだ、くれてやらあ!!とつぶやいて後にした。
ユニオンステーションのコンコースは地下1階にある。
地下鉄のジャクソン=レッド駅からユニオン駅までは歩いて12〜13分くらい。
駅と言ってもコンコースやホームは全て地下にあるので、地上には地下鉄のような入口しかないし、駅前広場があるわけではないので場所はわかりにくい。
土曜日の朝だからか、コンコースは人が少ない。アメリカ第三の都市のターミナル駅とは思えないほど閑散としている。
地下にあるコンコースもチケット売り場、待合室、手荷物受取所などは見てわかるが、どこも意外と小さくて全体としてのイメージは日本の私鉄のターミナル駅といった風に見える。
中2階のようなところには飲食店のカウンターが並んだフードコートになっていた。
まずは列車のチケットを買う。
オープンカウンターがずらりと並んだチケット売り場は、係員が2人だけで対応している。それでも各カウンターに1〜2組しか客が並んでいない。
横に券売機があったので、そっちでチケットを買う。
クレジットカード専用で、カードを読み取り口に抜き差しして、行先や枚数などをタッチして行けば簡単に買えた。
ミルウォーキーまでは片道24ドル、意外と安い。距離は約138kmなので日本の普通列車運賃並みの値段だ。
まだ時間があるのでフードコートに行ってみる。まだ半分くらいの店しか開店していない。マクドナルドがあったので入った。朝食に買って車内で食べようかと思った。
シカゴ・ユニオン駅のフードコート。
海外でマクドナルドに入るのは初めてだ。朝食を買い求める客が何人か並んでいる。
私も並んでみる。注文はメニュー表の番号で言うようだ。ナンバー○といった風に。これは楽だ。
列車時刻の電光掲示板。上は発車時刻で下は到着時刻。
列車のホームへの入口。
コンコースあちこちに設置されている電光掲示の時刻表にはこれから乗る列車の表示も出ていた。
「331 Hiawatha Milwaukee NORTH B17」
「331 Hiawatha Milwaukee」は331列車、ハイワサ号、ミルウォーキー行のこと。
「NORTH B17」はNORTH Bゲートの17番線から出るという意味である。
シカゴ・ユニオン駅では日本のように改札口こそ無いものの、ホームに勝手に出入りすることはできないようだ。
掲示板に表示されたSouthかNorthの2箇所あるうちの待合室に行き、アルファベット表示のゲートから係員の指示に従ってホームに向かわなければならない。
コンコースから直接ホームに入ることも可能な構造になっているが、直接ホームに行こうとしたら怒られた。
列車に乗る前に一旦搭乗待合室のような部屋をで案内を待つことになる。
NORTH待合室のBゲートがこれから乗るハイワサ号の搭乗口になる。鉄道というより高速バス乗り場のような感じがする。
待合室は空席ばかり、Bゲートのあたりだけ人だかりができている。
8:10過ぎに案内があって、係員の指示でホームへと向かう。ゲートでチケットを見せるが係員はチラ見するだけだった。
案内が始まるとぞろぞろとホームへ移動する。
地下ホームに停まっているハイワサ号。ホームが低いせいか大きく見える。
他の乗客のあとに付いて行くとホームに停まっているハイワサ号が見えた。
ホームの幅は狭くて地下駅のため薄暗く、ディーゼルエンジンの排気がこもっているので駅というよりは車両工場という感じの構内だ。
客車は4両で、前後に機関車が付くスタイル。全席自由席のモノクラス編成で、日本で言えばローカル特急列車といったところ。
シ
カゴ〜ミルウォーキー間の距離は約138kmで、ハイワサ号は途中停車駅3駅、1時間29分で結ぶ。
1日に7往復で2〜3時間に1本という運転間隔ではあまり便利ではない。
距離や所要時間は北海道の札幌〜旭川間が約137kmで特急スーパーカムイ号が1時間25分で結んでいるので、それと似ていると思った。
車両工場のような感じのホーム。
開いているドアから乗って車内に入る。
ホームから見上げると大柄な車体だが、中に入ると天井や荷物棚が低く窮屈な感じに見える。座ってしまえば快適だ。
背面のテーブルを出して、さっき買ったマクドナルドの朝食を取り出した。
車内は普通にリクライニングシートが並ぶ。
車内で食べたマックのセット。手に持つのはハッシュドポテト。コーヒーもデカい。
エッグマックマフィン。シカゴの朝マックといったところ。
列車は8:25になって定刻通り発車した。駅構内を出ると地上に出るが、すぐに踏切をいくつも通過する。
工場や倉庫の裏のようなところを通り抜ける。スプレーの落書きが多い。
夜など恐ろしそうな場所だ。
駅を発車するといきなり踏切が現れる。
列車本数は少ないが、やたらと線路だけはたくさん敷かれていて、あっちこっちから線路が分岐したり合流したり交差したりする。貨物線として使われているのかもしれない。
複々線が合流してくるとここから本線になるのか、スピードがぐんと上がった。高いビルも無く郊外の住宅地のような景色が続く。
シカゴを出てからしばらく多くの線路と並走する。
最初の停車駅、グレンビュー駅。シカゴ近郊列車も発着する
車掌が回って来て検札がある。これも特にスタンプを押すでもなくチケットを見るだけだった。
チケットには乗車の列車名と時刻が印字してあって、この列車のみ有効だからだろうか。
車内は話し声も聞こえず、エンジンのついていない客車のため静か。
客層はビジネスや観光客風の人もいるが、ちょっとプライベートな用でという感じの人ばかり。ほとんどが一人客だった。
22分で最初の駅グレンビューに停まる。シカゴから約29km。シカゴからはメトラの近郊列車が走っているので乗り降りはほとんど無かった。
ハイワサ号車内でスマホアプリのスピードゲージで測定する。
グレンビューを出てからの車窓もずっと都市近郊のような眺めが続くが、次第に人家も途切れてきて畑や雑木林が現れるようになった。
ミシガン湖に沿って北上しているのだが、線路はずっと内陸を通っているので湖を見ることはできない。ずっと平地で山地も無く、列車は快調に飛ばすが風景は単調で特に印象に残るものは無かった。
何キロくらいで走っているのかと思い、持っているスマホアプリのスピードゲージで測定してみると時速130km/hと出た。
ハイワサ号の車窓から。スターテバント駅到着前の映像。
車窓の雑木林と昔ながらの電柱。
雑木林が途切れたところは畑が広がる。
2つ目のスターテバント駅はシカゴから約101km。ここはアムトラックのみ発着。
スターテバント駅からはウィスコンシン州になる。この駅の列車はアムトラックのハイワサ号のみ。下車客が何人かホームを歩いて行った。
そのつぎのミルウォーキーエアポート駅でも何人か降りるのが見えた。エアポート駅といっても公園の芝生の中にホームがあるような駅だが、空港まではバス連絡でもしているのか。
再び住宅地が現れると終点ミルウォーキーは近い。
川越しに見えてきたミルウォーキーの街並み。もうすぐ終点。
デッキの階段。ホームが低いので踏み台も置かれる。
終点ミルウォーキー駅に到着。
ミルウォーキー駅の駅舎。最近建て替えられたのか新し目だ。
アメリカではめずらしく(?)定刻通りに終点に着いた。
ミルウォーキーの駅舎はガラス張りの新しい建物だが、駅前は何もない。少し歩いたところがダウンタウンでメインストリートもあるのだが、駅にはそっぽを向いたような格好になっている。
ミルウォーキーに来たからにはビールを飲みたい。
この町にはビール工場がいくつかあって、各工場には見学コースがあって試飲もさせてくれる。
事前に調べてきたが、一番有名なMiller Coors(ミラークアーズ)の工場へ行こうとバスの時刻表などを印刷して持ってきていた。
工場の前まで行くバスはあるのだが本数が1時間に1本程度しか無く、バスの時間まで街中を歩いて時間をつぶす。
整った街並みのミルウォーキーのダウンタウン。
ミルウォーキーはドイツ系移民が多く、そのせいか街並みも何となくドイツっぽく見える。
ドイツに行ったことがあるのでわかるが、整った街並みや清潔さがよく似ている。
ごみごみしたシカゴから来たせいか、緊張感が解けてこの町にいると安心感を覚えた。
ミルウォーキー川の風景。
しかし、きれいな街並みとは裏腹に人があまりいない。人口60万人の都市だが、車もあまり走っていない。
土曜日の10時過ぎではまだ早すぎるのだろうか。
しばらく歩き回って、バス停で待つ。乗るのは31番のバスだ。一応バス停には31の表示が出ているのでここで間違いはない。
だいぶ待ったが、11時ごろ31番のバスがやってきた。
サード(3nd)ストリートというバス停。
バスの車内。降車ボタンはないが、代わりに黄色い紐を引っ張る。
バスの料金は2.25ドル。前のドアから乗って乗車時に運転手横の料金箱に入れる。25セントとは半端な金額だが、25セント硬貨があるためだろう。クオーター(4分の1)とも呼ばれる。
降りるのは「State4401」という停留所。ありがたいことに車内には次の停留所が文字で表示される。地図を見ているとバスはそれらしいところに入って行く。ミラーの工場の中を通って、State4401の文字が出たので黄色い紐を引いた。これが降車合図になる。
バスが停まって降りたところがちょうどミラービール工場のビジターセンターだった。
ミラービール工場のビジターセンターに着いた。
ビジターセンターの建物に入るとすぐに受付があって、「ブリュワリツアー」と言うと通じた。
IDの提示を求められるので、パスポートを見せる。
手首に紙の輪を付けられる。これが見学者の印になるのだろう。
次のツアーは11:30からと表示してある。ロビーで待つ人は10人くらい、日本人とわかる人も3人ほど見かけた。
隣にあったギフトショップを見ていると、団体さんが到着して結構な人数となった。
なお、ここの見学料は無料。これで最後にビールも何杯か飲ませてくれるのだからミラーさん太っ腹。
ツアー開始時間までは併設のギフトショップを見たり。
団体のお客さんがやって来て結構な人数となった。
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