突然現れた札沼線の臨時列車1

10月10日、JR北海道ホームページのお知らせ欄に、このような記事を見つけた。

“札沼線における臨時列車の運行について
札沼線において 10 月 12 日(土)に運行する臨時列車については、以下のとおりです。
〜運転区間 : 石狩当別駅 〜 新十津川駅
〜臨時列車は通常の乗車券でご利用いただけます。”

何だか以前から決まっていたかのような文面だが、プレリリースの過去記事を見てもそのような記事もなく、新十津川町など沿線町村のホームページを見ても、特にイベントは見つからなかった。

何のための臨時列車なのかの記載はなく、2日前に突如現れた臨時列車。
なぜかプレリリース欄ではなく、おしらせ欄の記載になっている。
 ※しかも運転翌日13日には削除されていた

下りは石狩当別9:30発、新十津川11:26着。
上りは新十津川11:36発、石狩当別12:44着。
 停車駅は石狩月形、浦臼のみ。

2020年5月の廃止が決定している札沼線の北海道医療大学〜新十津川間。
もう一度くらい乗るのもいいかなと思い、札幌8:29発北海道医療大学行普通列車で出発した。

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 学園都市線は快速エアポート編成が使用される。

札幌駅を発車した2549M
「次の桑園では本日臨時列車運転のため4番ホームに停車します。降り口は左側です」
とアナウンス。

本来下り列車が発着する3番線は、2両編成のキハ40が停車していた。
これがどうやら石狩当別からの臨時列車となるようだ。

しかしどうして桑園駅で追い抜きとなるのだろう。
この列車の後追いじゃダメなのか。いや、先について石狩当別駅で待っていればいいんじゃないか。
いやそれよりも、札幌から車両や乗務員もろとも回送するくらいなら、札幌始発で営業運転すればいいんじゃね?

次々と疑問の湧いてくる臨時列車なのだった。

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 3番線に停車中の臨時列車を4番線で追い抜く。

9:07に石狩当別着。
3番線には9:08発札幌行2544M、1番線は9:30発札幌行546M、2番線は今乗ってきた列車が到着して、3線あるホームがすべてふさがってしまうので、臨時列車が先に入線することはできないのだった。

臨時列車に着いて何かわかるかもしれないので、階段を上がって改札を一旦出ることにした。

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 石狩当別駅の改札口に表示された臨時新十津川行。

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 石狩月形駅に掲示の『お知らせ』。

待合室には今日の臨時列車が『お知らせ』として掲示されていた。JR北海道HPの『お知らせ』とは違う文面。
それによると、

“「月形町社会福祉協議会ボランティアセンターまつり」開催に伴い、臨時列車を運転します。”

とのこと。

この団体のホームページを見ると、『ボランティアセンターまつり貸切特別列車つきがた号』というのがあった。しかし時刻は石狩当別13:49発となっており、この列車とは別。

マイナーな(失礼ながら)イベントのためにわざわざ臨時列車を仕立てるだろうか。
それに公表されたのが運転の2日前とあっては、この列車を知っているのはJR北海道のHPを毎日チェックしてる人くらいなもの。

案の定、ホームにいるのは鉄分が濃いとお見受けするような方ばかりだった。いわゆる鉄ちゃんですね。いい歳した男ばかり。
そういうお前は何者なのだと言われれば、ハイ私もそうでした・・・

先に3番線に9:23着の浦臼からの5424Dが入って来る。
1両編成で車内の乗客は2〜3人。
土曜日とはいえ、午前中の上り列車がこの有様ということに、廃止もやむなしという現状を見てしまった。

ホームには「新十津川行臨時列車はあと4分でまいります」との放送がある。

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 浦臼始発の5424Dが入線。

臨時列車が入ってきたのは、結構ぎりぎりの9:28だった。
やはり桑園駅で見たキハ40の2連。

うっ、この車両は・・・

キハ40 330番台
電化前の学園都市線で通勤通学されていた方ならご存じだろう。
私は別の意味で感慨深い車両。

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 札幌方から桑園で追い抜いた臨時列車が入線。

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 キハ40 330番台でやってきた臨時列車。

車内は超ロングシートとでも呼びたくなるようなオールロングシート改造車。
デッキの仕切りも撤去され、腰掛はどう見ても711系電車のボックスシートからの発生品。

一応冷房車だが、かつて非電化時代の学園都市線でのラッシュ運用ならばともかく、ローカル線でこのような車両に当たったら相当落胆するような残念な内装だ。

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 オールロングシートの車内。

この車両、実はかつて急行『宗谷』や『サロベツ』に使われていたキハ400形のなれの果てなのである。

1988(昭和63)年11月のダイヤ改正で、宗谷線急行の気動車化でデビューした車両だ。
元々は一般型のキハ40形だったが、冷房化と化粧室の設置、客室の座席はリクライニングシートを設置、窓にはカーテンと特急列車同様にする大改造が行われた。

その後、編成の中に客車の寝台車を組み込んで、夜行急行『利尻』にも使用され、1990年代には宗谷線系統急行の主役として君臨する。

2000(平成12)年の宗谷線高速化による特急『スーパー宗谷』運行開始により急行としての役目を終えることになった。

で、出番のなくなったキハ400であるが、こともあろうにまた一般形に戻されることになった。
リクライニングシートもデッキ仕切りも取り払われ、座席はオールロングシートに再改造され、学園都市線の一員としてまた走ることになった。
オールロングシートと冷房車はラッシュ時は歓迎されたことだろう。

2012年に桑園〜北海道医療大学間が全て電車に置き換えられてからは余剰となり、海外に譲渡されてとっくに無くなったと思っていたが、まだ走っていたのだった。

ワンマン化改造もされていないので、通常の運用に就くことは難しく、イベントや臨時列車専用ということになる。

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 数少ない非ワンマン車。この妻面自体他に現存しないのでは?

この車両の何が珍しいのかというと、窓下の連続した窓框、窓上のカーテンレール覆い、座席番号のプレートが貼ってあったパイプ式荷棚の帯などに、もと急行型の名残を感じるといったところ。

やたらとデッドスペースが多いのは、急行時代の冷房用の機器室や化粧室が撤去されたから。
機器室だった場所はロングシートが設置されて、はめ殺しの窓が増設されている。

天井は急行時代は冷房ダクトと蛍光灯が一体化されたカバーで覆われていたが、再改造後は蛍光灯は剥き出しになり、冷房のダクトが中央に残る恰好となっている。

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 急行用キハ400時代の内装(鉄道ジャーナル1989年1月号からの引用)

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 急行用キハ400の図面(鉄道ジャーナル1989年1月号からの引用)

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 鉄道ファンには珍しい車両だが一般客からは不評だろう。

しかし、よりによってなんでこんな車両を残したんだろう。
テーブルを置いて、お見合い形式で飲食パーティーするにはいいのかも知れないが、通常の運行では明らかに不評と思われる。

話は変わるが、先月創成川通りの高架上を走る785系電車を見た。
かつて特急スーパーホワイトアローで使われていた車両だが、2017年に789系の『ライラック』運転開始と同時に引退と思っていたが、今でもたまに『すずらん』に使われることがあるという。

で、その先月見た785系というのが、もと付属編成だった2両1組の編成でuシートの500番台を挟み込んだやつ。
いわゆる魔改造車などと呼ばれている車両ですね。

そのときに、なんでよりによってコイツを残したんだろうと思ったわけですよ。

このキハ40 330番台もそうだけど、JR北海道ってゲテモノ車両を残したがる傾向にあるようだ。
そういえば最後まで残った711系電車も3扉改造車だったしなあ。

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 臨気9523Dの運転士時刻表。

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 乗務員室のドアにある窓から見た本中小屋駅。

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 ボロボロの貨車駅がある中小屋駅を通過。

まあとにかく来年にはなくなる札沼線を堪能する。
沿線はあちこちに撮り鉄たちの姿も見える。

ワンマン機器を搭載していないこの列車は、当然運転士と車掌のツーマン列車。
さらにイベント系臨時列車でよく見かける、営業担当らしき人。スーツ姿でJR北海道の腕章をつけ、書類を挟んだ画板を持っているのでわかる。

この列車は石狩当別を出ると、途中石狩月形と浦臼しか停車しない。
北海道医療大学も通過するのである。

線内の最高速度は65km/hで、この列車もそれを忠実に守る。
並行する国道を走る車に次々と抜かれるのは見慣れた光景。

石狩月形は9:54着、石狩当別から24分で着いたことになる。
普段の各駅停車ならばこの間の所要時間は32分。
えっ、もう着いたのという感覚だった。

石狩月形の発車時刻は10:52で、ここで58分も停車する。

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 石狩月形駅に到着。ここで58分停車する。

これも意図がよくわからない長時間停車だが、とりあえず外に出ることにする。
駅や列車を撮影したり、廃止になる駅の情景を眺めながら過ごす。

もっとも町のほうに歩きだしても、特に見るものがあるわけじゃなし。国道にコンビニがあるくらいだ。

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 数少なくなった木造駅舎が現役の石狩月形駅。

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 ストーブと改札口。

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 改札口に掛かる改札案内の札。

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 待合室に出ていた臨時の売店。

石狩月形駅の駅名標の謎。
ホームに駅名標の支柱が2つあり、片方は駅名表示の板がはめられているが、もう片方は枠だけが立っている。
この枠だけの駅名標はなあに?

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 石狩月形駅の駅名標。隣の空の枠は・・・?

正解はもう一つの枠はかつて名所案内だった。

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 名所案内と駅名標。(2007年10月8日撮影)

上画像は名所案内の表示があった頃。
2010年の画像では枠だけになっていたので、その間に無くなった模様。

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 石狩月形駅のホーム全景。4両編成までは停車できそう。

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 駅南側の踏切から。

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 駅の裏側から。廃止後はここは道路になってしまうんだろうか。

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 キハ40 331+キハ40 336の2連。

何もない駅での1時間停車は長い。
どこからどう見ても田舎の長閑(のどか)な駅だった。

10:48、新十津川からの5426Dが着くと長閑な駅は一変することになった。

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 新十津川発石狩当別行5426Dが到着。

新十津川からの1日1本の列車だからか混んでいる。
増結して2両で来たが、それでも混んでいる。

停車してドアが開くと、ぞくぞくと人が降りてくる。
そしてまた新十津川行の臨時列車に乗り込んで行くではないか。

どこかの団体さんなのだろうか。
何だかよくわからないまま再び臨時列車に乗り込んだ。

そんな中、赤い帯の制帽をかぶった助役さんがタブレットの輪を臨時列車の運転士に渡す。
正式にはスタフというが、こういう光景が見られるのは石狩月形駅が最後となる。

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 長閑だったホームはしばしごった返す。

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 出発合図を出す助役さん。

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 石狩月形からは大盛況となった車内。

折り返し乗車の団体さんで車内は大盛況。
それにしても、もうちょっとマシな車両はなかったのかよと思いたくなるような車内だった。

石狩月形からは立ちんぼうとなった。

〜2へつづく


posted by pupupukaya at 19/10/13 | Comment(0) | 2019年その他旅行記

天の川を見にハイランド小清水725へ

どうも週末になると天気が崩れる。
あっという間に夏が終わり、秋分の日も過ぎてもうすぐ冬支度という頃である。

9月の連休もどこへも行かずじまい。
冬になる前にもう1度くらい遠出したいと思っていた。

9月最後の土日。ようやく好天の週末がやってきた。
ここがチャンスである。

色々行きたいところがあったが、星空が見たくなった。
天の川を見たい。

札幌の夜空じゃ無理な話。
去年のブラックアウトの夜は札幌でも見事な星空だったそうだが、残念ながら見逃している。

3年前、仕事で知床の羅臼に行く機会があり、そこの宿から見えた星空が見事だったのを思い出す。

知床は遠いなあ。

ネットで色々調べたら、屈斜路湖に近いハイランド小清水725という展望台からの星空がすばらしいらしい。
しかも車中泊もできるということだ。

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 ハイランド小清水725の場所(Googleマップより)

行先は決まった。
土曜日の午前10時前、札幌を出発する。
1泊2日、車中泊トンボ返りの弾丸ツアー。

目標は天の川ただ1つ!

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 札幌〜ハイランド小清水725間353kmのルート(Googleマップのルート)

札幌から国道275号線経由で滝川へ出て深川へ。
深川ICから高速へ入り、比布JCTから旭川紋別自動車道で瀬戸瀬ICまで、一路遠軽へというルート。

深川から比布までは有料区間になるが、ETC料金ならば片道970円。
旭川市内をスルーできるだけでも30分くらいは短縮になる。
ま、急行料金といったところか。

遠軽着が13時20分頃。ここまで3時間半少々といったところ。
深川まで下道経由で、JRの特急『オホーツク』と互角。
全線高速ならば完全に車の勝ちだ。

旭川〜網走間は、特急をやめて全便料金不要の快速にした方が乗客が増えるんじゃないか。
そんな提案が出た日には、特急が無くなるとは何事かと沿線自治体からの猛反発が出るだろう。

そんな人たちには以下の言葉を贈りたい。

『名を捨てて実を取る』

遠軽の町で給油と今晩の夕食を買い物して、今度は333号線経由で美幌に向かう。
地図で見るとわかるが、遠軽から北見まで石北本線は直角三角形の2辺を辿るが、333号線はその1辺をショートカットするルート。
石北線特急の北見〜網走間の営業成績が特に苦しいのもこの辺の事情がある。

美幌の町も特に寄る所はなく、ここからは334号線の山道を東藻琴へ向かう。
70km/hくらいで走っていたら後ろから追いついてきた車がガンガン煽って来る。

脇に車を寄せるスペースを見つけてそこへ避けた。
そうしたら煽ってきた車も何を思ったのか停まろうとするではないか。
やるのかこの野郎とドアをロックして身構えたが、また走り去っていった。

さっさと先に行けこの野郎 (#`Д´)凸

こういう面倒くさい連中とは関わりたくない。

東藻琴からは道道網走川湯線へ。

もうほとんど通る車はないが、途中で2台も追い越された。100km/h近く出しているじゃないのか。
しかしさっきの煽り兄ちゃんとちがって、こちらの方が気持ちが良い。

『藻琴山登山道入口』と『小清水高原』の標識が示す方へ曲がれば突き当りがハイランド小清水725だ。

小清水と言えばオホーツク海側に面した町というイメージだが、町の区域は藻琴山の山懐深くまで広がっている。

着いたのは17時過ぎ。すでに日は暮れかかっていた。
駐車場の先客は1台。
この時間ならば車中泊だろうな。

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 小清水高原の石碑と屈斜路湖。

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 屈斜路湖と硫黄山方面の展望。

屈斜路湖を見下ろすのならば美幌峠や津別峠のほうが良いが、全体的な眺めはこちらの方が抜群に良い。
標高725mからの眺めは、オホーツク海から屈斜路湖まで180度の壮大なもの。

壮大過ぎてアクセントが見つからず、写真写りは逆に悪いようだ。

空は雲ひとつない快晴。天の川も期待できる。
この方角だと、翌朝は朝日も拝めそうだ。

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 ハイランド小清水725の駐車場。

今日の日没は17時16分。完全に暗くなる天文薄明の終了は18時52分となる。
それまで、車の中で一杯やって待つことにする。

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 遠軽のコープで買った夕食と旅行中くらいはと奮発したエビスビール。

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 17時50分、日は落ちて遠くに町灯かりが星のように見える。

19時を過ぎると真っ暗になった。
トイレにある街路灯がすこし邪魔だが、それが無いと完全に真っ暗だから防犯上は致し方ないだろう。

空はすでに満点の星空。ぼんやりと薄い天の川も良く見える。
星座早見盤を家に忘れてきたのが残念。

さてこれを撮影するとなると難しい。
スマホや一般のコンデジならば無理だろう。

私がいま持ってきてるカメラはニコンの『COOLPIX P330』というコンデジ(コンパクトデジカメ)。
2013年発売のもので、2016年に2万2800円で買った新古品。

一番の特徴は開放F値が1.8という明るいレンズ。
コンデジながら一眼レフにも劣らない仕事をしてくれるので、海外旅行のお供から家での料理写真まで幅広く活躍している。

で、そのカメラの今夜の仕事は星空の撮影である。

三脚も持ってきたが、これもコンデジ持ち歩き用のコンパクトな三脚。
これでどこまでできるのかやってみよう。

まずオートモードで撮ったのがこちら。

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 露出補正+2、絞りf/1.8、露出1秒、ISO-800

うーん、部屋を暗くして何とか星が見える程度。

このカメラの素晴らしいのはマニュアルモードがあること。
これをすべてマニュアル設定にして再度写してみる。

このカメラの最高性能である、絞りf/1.8、露出8秒、ISO-3200でどうだ。

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 天の川とはくちょう座、夏の大三角形の星空。

ISO-3200ではノイズだらけだが、何とか見栄えのする程度には収まる。
露出8秒は三脚据え付けでもブレる。三脚も簡易なものだから仕方ない。
それでも5回に1回はまともに写ってくれた。

それをデジカメの簡単レタッチ機能でコントラストを上げてます。

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 南天に光る天の川。見事だねえ。

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 36km離れた網走市の街灯かり。

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 駐車場のレストハウスとトイレ。右下の眩しいのはトイレの街灯。

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 北の空にはお馴染みの北斗七星。

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 わが車と星空。中央下側にスバル(昴)が写っている。

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 スバルは正式名プレアデス星団。元富士重工ではなくこちらが元祖。

9時過ぎ、1台の先客が去っていった。
どうやら車中泊ではなく、天の川の撮影に来ていたようだ。

物音ひとつなく、あたりはシ〜〜〜〜ンと静寂に包まれる。
ムチャクチャ怖くなってきた。
幽霊でもUFOでもなくヒグマ
もう車から出たくない。

22時を過ぎたころ、また車が1台やってきて駐車場に停まった。
こちらは車中泊のようだった。
やれやれだ。こんなところで貸し切り状態はいやだ。

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 朝4時、空が白み始めたころ・・・

翌朝4時、目覚めてトイレへ行き、車に戻る途中で屈斜路湖を見下ろすと、これは・・・・

湖は雲が覆って、町からの光で雲がそこだけ光っている。
いつの間にか雲海になっていた。

駐車場の車もいつしか増えて、自分含めて6台にもなっていた。
これは朝日狙いだなとわかる。
藻琴山へ登って行った人たちもいる。

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 日の出前、眼下には屈斜路湖を覆う見事な雲海が現われた。

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 標津岳の向こうから朝日が顔を出す。

明るくなるにつれて湖の部分だけ白い雲海が覆っているのがあらわになった。

屈斜路湖の雲海は、何年か前に美幌峠で車中泊したときに見たことがある。
これもそう簡単に遭遇するものではないが、屈斜路湖のはわりと見られる確率が高いように思う。

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 藻琴山登山口の高台から撮影すると迫力ある構図になる。

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 レストハウス脇の小道を少し下った展望台から。

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 これは隣にある藻琴山展望駐車公園から見た屈斜路湖の雲海。

天の川と雲海、2つの大自然のショーを見ていたら、憂鬱な気分など吹き飛んでしまった。

実は札幌を出発前、行こうかよそうかかなり迷っていたのだ。
身体は行きたがっているが、頭は気乗りしない状態だった。

ていうか夏以来、休日でもどこへ行く気にもならず、何をやっても楽しいとは思えない、まるでプチうつ状態だったのだが、北海道の大自然に、モヤモヤしたものが全て吹っ飛んでしまった。
もうすぐ10月になるが、冬になる前にもう1度だけどこかへ行きたいとも思った。

昨夜の天の川と今朝の雲海を見られたことに感謝。
ここがチャンスと感じたら、すぐに行動が大事ということを身をもって感じた旅行でもありました。

〜おわり

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posted by pupupukaya at 19/10/05 | Comment(0) | 2019年その他旅行記

今年はフィンランドへ行きます

突然ですが、なぜかオーロラが見てみたくなった。

オーロラを見にわざわざ出かける人は、今までは物好きな人くらいに思っていた。
海外旅行を始めてから行ったところが増えたからか、だんだん欲が出てくる。

その一つがオーロラというわけだった。

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 オーロラのイメージ(GAHAG | 著作権フリー写真・イラスト素材集より)

オーロラを見るのなら北極圏まで行かなくてはならない。
行先は、アラスカ、カナダ、北欧、アイスランドといったところ。

あまりお金はかけられないので、飛行機代を調べてみた。
といっても、JALのサイトで検索しただけだったが。

今年はヨーロッパ方面が安いようだった。
カナダは行ったことがないので少々惹かれたが、飛行機代が高め。

それに、カナダは極北まで行く鉄道が1本しかなく、それもクルーズ列車のようなものなので相当高くつく。
北欧ならば、極北まで行く鉄道が何本もあるし、旅客列車も運行されている。


年末の出発で、札幌から成田経由ヘルシンキ(フィンランド)までの最安値の往復が11万円台。
先月(2019年7月)下旬のことだ。

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旅行は、行きたくなったらそれが行く時期なのだ。

JALのホームページを見ていると、8月からサーチャージがまた上がるとある。
サーチャージとは、搭乗日ではなく購入日によって決められる運賃の上乗せ額だ。

つまり、搭乗日は同じでも、購入日によってサーチャージ額が異なるということだ。
ということならば、7月中に買った方がいいに決まっている。

7月31日の夜、決断の最後の日。

ポチ

・・・

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買っちまいました。

JAL札幌〜ヘルシンキ往復。
113,290円(サーチャージ、諸税込み)

行きは成田乗り継ぎだが、帰りは成田→羽田となる。

一方、12月からフィンランド航空が、新千歳〜ヘルシンキ間の直行便を就航する。
新千歳空港から直行というのは便利だが、そっちは片道2万円近くと高かったのと、時間的にさほど有意差は感じなかったのでパスとした。

まだ5か月以上の先の話。
往復の航空券を買うために、ざっくりとした行程は考えていたが、細かいところは秋くらいになったらまた考えよう。

オーロラを見るためにはまず好天なのが条件。
あとは太陽風と地球の地磁気の問題。

こんな運次第なもの、半年前だろうと前日だろうとわからんものはわからん

だから航空券は安いうちに買っておくのが正解なのである。

タグ:海外旅行
posted by pupupukaya at 19/08/14 | Comment(0) | 2019年その他旅行記

旧増毛駅と鉄道廃止後の盛況

留萌本線の留萌〜増毛間に最後の列車が走ったのは2016年12月4日。早いもので廃止から今年で3年になろうとしている。

旧増毛駅の駅舎は、増毛町がリニューアルして保存することになった。
駅前の歴史的建造物と合わせて新たな観光拠点とするため、建物は大正時代の開業当初の大きさに復元して保存するということだった。

新しくなった旧増毛駅がどのようになったのか。
2019年7月6日と7日。機会があったので見てくることにしました。

廃線前は増毛町を車で通るたびに駅に立ち寄っていたものだが、その過去の画像と現在の画像を定点対比でご覧ください。

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 ↑ 2014年6月撮影。 

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 ↑ 2019年7月撮影

駅舎正面から。
手前の四角い建物は公衆トイレで、これが建ったのは90年代だったかな。

札幌から国道231号線を車で走ること2時間以上、増毛駅はちょうどよいトイレと休憩場所でもあった。
リニューアル後はこのトイレも含め、一体感のある感じに仕上げてある。

せっかくリニューアルした旧駅舎も、この建物が前面にあるおかげで存在感も半減している気がする。
せめて移設するなどしてほしかった。

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  2014年6月撮影。

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↑ 2019年7月撮影 

ホームから駅舎方向を見る。
レールが錆びているのと電柱が撤去されたほかは当時のまま。

上画像は雑草が伸び放題だが、下のは草が刈られて手入れされているようだ。

廃車になった気動車を保存車として展示すれば観光スポットになったかもしれないが、こうしてまた列車が現れるかもしれない雰囲気にしておくのもまた違った良さがある。

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 2014年6月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影。 

駅舎は倍の広さに増築されていた。

かつては駅事務所や荷物扱い所などがあった場所だが、駅無人化で不要になり取り壊されていた部分が復活したことになる。
増築した部分は鉄道が現役時代の写真などが展示されたギャラリーとなっていた。

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 ↑ 2016年10月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

駅舎のホーム側。
上画像は無人駅化から30年以上経ち、荒れた感じが否めない。

リニューアル後は映画のセットのようにも見える。
こうして新旧見比べると、柱は新品に取り換えたらしい。

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 ↑ 2015年9月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

屋根の下から線路側を見る。
荒れた感じがするとはいえ、上の画像はまだ現役の頃。1両の列車が見える。

有人駅だったころは、乗客は改札口からこの屋根の下を通ってホームへ向かっていた。

奥の車が駐車してあるスペースは、ここも線路が何本も並んでいた。
無人化で貨物列車も無くなり、線路1本だけの棒線駅となった。

見違えるように綺麗になった駅だが、列車が来ない駅はやはり寂しい。

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2015年9月撮影

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↑ 2019年7月撮影 

駅舎の待合室。
映画『駅』でも印象的な、真ん中の銀色の柱はちゃんと残っていた。

待合室と旧事務室を仕切っていた壁は取り払われて広々となった。
個人的には、旧改札口の出入口はそれっぽくディスプレイしてほしかったが。

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2015年9月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影 

駅前の風待食堂。これも映画『駅』のロケで使用された建物。
観光案内所として活用されている。

2019年に訪れたときは、半分が『駅STATION』で居酒屋『桐子』のスタジオセットを再現した部屋がある。
最初見たときは、なんだ半分はテナントになったのかと思ったほど精巧にできている。

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2014年6月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

駅前の通り。
撮影場所は若干違うが、奥の古い建物は旧商家丸一本間家。

同じ休日の画像でも、通りを歩く人の数が全然違う。

   

この日増毛を再訪して思ったのは、観光客の多さだった。
7月の休日で天気も良かったせいもあるのだろうが、増毛ってこんなに観光地だったっけ、と目を疑うほどだ。

かつての増毛駅前と言えば、古い建物が立ち並び、ただ朽ちはてて寂れた商店街、それに無人駅で荒れるがままの増毛駅という感じだったのだが、鉄道廃止後のこの変わりようはすごい。

増毛の観光客が増えたきっかけは、やっぱりあれしかない。

そう、留萌本線の留萌〜増毛間の廃止である。

廃止が近くなると多くの乗り納め客があちこちから駆け付けた。
そのころから、増毛の町中に観光客が増えだしたのだ。

鉄道の廃止というのも、マスコミなどで取り上げられて話題になったのも、増毛の名が知られるようになった理由の一つだろう。

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 休日は多くの乗り納め客が増毛にやってきた。(2016年10月撮影)

もちろんそれだけが理由ではないだろう。

増毛駅周辺に、北海道遺産に指定された古い建物が多数残っていたこと。
もう一つが、旧増毛駅の無料駐車場の存在も大きい。

車で来た観光客はここに駐車することで、歩いて各スポットや飲食店を回ることになる。
町の一番奥にあった駅を駐車場とし、観光拠点とすることで、回遊性が増したことになる。

観光の魅力だけでなく、ここは札幌と留萌を結ぶ国道231号線の途中にあるという地の利もあるだろう。

ともあれ、鉄道の廃止というイベントがきっかけで観光客が増えたとすれば、何という皮肉だろうか。

観光客のそぞろ歩く増毛の旧駅前を見ていると、鉄道ファンとしては悔しいが、鉄道の存続よりも、廃止イベントで観光客への知名度を上げた方が得策ではないかと思えてきた。

具体的な駅名は挙げないが、木造駅舎があって国道からも近く、増毛駅のように整備すればそれなりに観光スポットとなるだろうなと思う駅はいくつかある。
そのどれもが、現役の鉄道駅であるが故に町の整備計画からも外れて中途半端な存在となっているのは残念に思う。

暴言は承知で言わせてもらえば、無理に鉄道の存続にこだわるよりは、廃止後に過去の産業遺産として保存し、観光スポットとした方が町の発展になるのでは、と思われた。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 19/07/15 | Comment(0) | 廃線跡を行く

2019年稚内とサロベツ原野の旅

2019年7月6日からの土日は稚内まで行ってきました。

花が次々と咲き乱れるこの時期は、宗谷地方の一番良い季節。
晴れて青空が広がり、そこへ黄色いエゾカンゾウの花が一面に咲いて、バックには利尻富士がそびえるというのは絵になる風景である。

しかし、この一番良い季節の頃の宗谷地方は、曇り空の日が多い。
数少ない晴れの日と週末と重なることは少なく、何度行っても曇り空ばかりに当たってしまった。

この週末の天気予報は曇りのち晴れ。なんとも頼りない空模様だが、この晴れに賭けて行くことにした。

札幌を出発したのは土曜の8時半。
途中道の駅などに寄り道しながら北を目指す。

道中は曇り空だが、自分の真上だけは青空がついてくるような天気だった。

これもまたどういうわけか途中の道の駅も食事処も混んでいた。
天気なので皆一斉に出てきたという感じだった。

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 ひたすら何もない道道稚内天塩線。

天塩の道の駅で一休みして、道道稚内天塩線に入る。
天塩河口大橋を渡ると風景が一変する。

ここはもう日本離れというか北海道でもない。
宗谷海峡で隔たれているとはいえ、ここはもう樺太や遥か北の大陸と同じ空気である。

沖合には利尻富士のシルエットが見えた。

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 沿道はエゾニュウの花で出迎えてくれた。

乱れた草ばかりが茂る原野の中を1本の道道がどこまでも続く。

駐車帯に車を停めて、この亜寒帯の空気を吸う。
もうここは北海道とは違う空気。

馬や牛の姿はどこにも見つからず、人間の家の影さえなかった。
・・私は遠いロシアの曠野(こうや)へでも迷い入った旅人のような気がした。

とは猿払村にある風雪の塔の碑文からの引用。
もとは藤森成吉『旧先生』の一文で、オホーツク海側の猿払原野の描写だが、このあたりの風景のほうがしっくりとくる気がする。

同じさいはてでも、根室や標津あたりとも違う。
頑として人を寄せ付けない永久凍土の冷たさが、足元から血の中に湧き上がるような感覚は何だろうか。

もうここは北海道ではなく、北極星に吸われる不毛の大地。
しかし私など、時に北海道離れした冷たい空気の中に、無性に身を置きたくなるのだった。

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 遠くに逃げ水が光る。

今時期は、道の脇に一斉に咲いた黄色いエゾカンゾウが出迎えてくれるものだが、これは一足遅かったようで、今日迎えてくれたのは不気味に咲き乱れるエゾニュウの白い花だった。

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 レストハウスサロベツの店内。

稚咲内(わかさかない)から内陸に入ってサロベツ湿原センターへ行く。
花は咲いているだろうか。

着いたら花よりもレストハウスに入った。
途中はどこの店も混んでたので、札幌を出てからここまで何も食べていなかったのだった。

サロベツラーメンというのが名物のようだが、いももちと牛乳にする。
もう20年以上昔だが、旧原生花園だったときに、いももちが美味かった記憶がある。

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 いももち(300円)と牛乳(100円)。

いももちとは、つぶしたジャガイモに片栗粉を加えてよく練って餅状にして焼いたもの。
子供の頃はよく食べたものだった。

さて食べようとしたが、テーブルの調味料立てにはなぜか醤油がない。塩はあるから塩で食べるのかな。
しょうがないなあ、厨房へ行って醤油を借りてきた。

焼きたてで粘りもあって、醤油をつけて食べるとジャガイモの風味の磯辺焼きみたいで美味い。
それに、いももちには牛乳が合う。

なんとか一息ついて、湿原センター裏手の木道を歩いて湿原へ行く。

う〜ん・・・5月の熱波のせいで花は早く咲いてしまったらしい。
黄色いエゾカンゾウの群れを期待していたが、これも遅かった。

遠くの方に、もう終わりかけたエゾカンゾウの黄色い点々が見えているくらい。
その代わりに、紫色のノハナショウブが満開だった。

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 ノハナショウブが満開のサロベツ原生花園。

サロベツ原生花園からまた道道稚内天塩線に戻って北上する。

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 うねる道。

続いて立ち寄るのは抜海駅。
ここを通ると必ず寄りたくなる所だ。

抜海駅は、もう数少なくなった木造駅舎が今も残っている。
無人駅だが、冬季は除雪係の詰め所として使われる。

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 抜海駅正面。

駅の正面側は若干リフォームされているが、ホーム側は昔のままの佇まいが残されている。

かつて映画『南極物語』のロケ地にもなっている。
高倉健さん演じる隊員が、樺太犬リキの代わりの犬を連れて荻野目慶子演じる飼い主の姉妹の元へ現れるというシーン。

映画では駅舎もいい味を出していたが、その当時とほとんど変わっていない。

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 抜海駅ホーム。

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 なかなか味わいのある木造駅舎。

駅前は人家が1軒だけ。あとは何もない。
1軒の人家は空き家ではなく、人の気配がある。まさに野中の一軒家といったところ。

駅にいると、レンタカーやバイクの人が次から次へと現れる。
地味に観光スポットとなっている模様。

味のある駅舎なんだし、もうちょっと整えたら観光名所になるんじゃない。
新十津川の駅前のように、売店とかカフェなんか置いて、車を呼び込めばそこそこ繁盛するんじゃないか。

かといって、大型バスが出入りするようになって、観光客がゾロゾロというのも興ざめするが。

さて、稚内市内で給油と買い物。
今夜は車中泊となる。

今夜の宿は宗谷岬とした。
快晴となったので、夕日が拝めるかもしれない。

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 暗雲立ち込める宗谷岬方面。

宗谷岬へ向かうと、岬のあたりは何やら雲が覆っている。

で、着いたら見事に霧の中。
車を降りたら寒い。

とてもじゃないがこんなところで車中泊などしたくはない。
また稚内へ戻る。

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 宗谷岬は霧の中。

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 霧と寒さの中、観光客もご苦労様。

稚内は晴れていた。
どこに泊まろうかな。

道道稚内天塩線の、海岸沿いから山に向かう坂道の途中に駐車場があるのを思い出した。
道の駅でもいいが、どうせなら景色の良い場所で、一杯やりながら夕日を眺めるというのは悪くない。
あそこならトイレもあるし。

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 夕日が丘パーキング。

駐車場は夕日が丘パーキングという看板があった。
18時30分。

今日の稚内の日没は19:27となっていて、まだ1時間近くある。
夏至からまだ1週間しか経ってないので、まだまだ日が長い。

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 日が傾くがまだ沈まない。時刻は18時30分。

宇都宮ナンバーのおっさんは、三脚を2台も立てて夕日写真のスタンバイだ。
何でも、写真を撮るために北海道をあちこち回っているのだそうだ。
仕事もリタイアして暇だから、ということらしい。

最近は道の駅なんかでやたらと道外ナンバーを目にするようになった。
キャンピングカーも多い。
そのドライバーは大概が爺さんだったりする。

フェリーにマイカーを積んで来るくらいだから、何週間も車で北海道観光するのだろう。
暇もだけど、お金もあるんだねえ。
貧乏人の私からすれば感心するほかない。

宇都宮ナンバーのおっさんの話は、どこそこの写真のコンテストでこれは入賞したとか、要するに自慢話。
話の腰を折ってしまうとお互い気まずい思いになるし、私も日没までは暇なので、「へえすごいですね」とか言って自慢話に付き合う。

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 夕焼け空と利尻富士のシルエット。右側には礼文島も見える。

私は写真家ではないので、適当なスナップショットが撮れれば十分だ。
だけど、利尻富士をバックに沈む夕日が撮影できたら最高だ。

だんだん日が傾いて空が赤く染まってきたが、雲も出てきた。

この頃から、駐車場に続々と車が集まってきた。
車中泊組かなとも思ったが、夕日撮影のために来たらしい。

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 夕日の名所なのか続々と車が集まってきた。

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 水平線近くの空は雲が覆ってしまって残念。

夕日は完全に雲で隠れてしまった。
撮影隊の人たちは悲愴ムード。

集まってきた車も、ほとんどが退散してしまった。

宇都宮のおっさんは森林公園(稚内公園)に泊まるという。
今度は朝日を狙うんだとか。

私はここで車中泊で、これから一杯やってから寝ることにする。

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 三日月が浮かぶ夕日が丘パーキングからの夜景。

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 北斗七星と北極星。

シュラフに潜り込んで、目が覚めたのは午前3時。
普段ならばまだ夜中だが、夏至が近い稚内では3時を過ぎると明るくなってくる。

外に出るとあたりは霧の中だった。
寒い。
宗谷岬の霧がここまでやってきたようだった。

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 空が白み始めた午前3時、すっかり霧の中。

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 びっしりと夜露に覆われた車。

すっかり目も覚めたし、ここにいてもしょうがない。
車をノシャップ岬へと走らせる。

もしかしたら朝日が拝めるかもと淡い期待からだった。

途中、道路の真ん中にエゾシカの群れがいてびっくり。
こんな町に近いところでも出てくるのか。
ヤツらときたら油断も隙も無いな。

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 道道抜海港線に現れたエゾシカ。

ノシャップ岬も霧の中だった。
日の出時刻は3時50分。

だめだねこりゃ。

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 ノシャップ岬も霧の中だった。

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 霧に反射する灯台ビーム。

今度は道の駅わっかないへ。
洗面所の用で寄らせてもらう。

ここの駐車場は駅正面とは反対側にあるのだが、その駐車場が完全に満車状態
まだ4時過ぎだぜ。地元の人なわけないから、これ全部車中泊!?

しょうがないから正面側の一般車乗降場に停めて用足しをさせてもらう。

洗面所がお湯が出るのは驚いた。トイレもウオッシュレット完備。
そりゃあ人気の車中泊スポットなわけだ。

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 低い雲が垂れ込めた稚内駅前。

もう少し日が高くなれば晴れるのかもしれないが、低い雲が垂れ込めて暗い朝だ。

曇り空ならばこんな所に用はない。
明日から仕事なので、さっさと帰りたい。

また道道稚内天塩線を南へと走る。

ところが、抜海あたりまで来るときれいに晴れ渡っていた。
利尻富士も綺麗に見えている。

さっさと稚内を後にして正解だった。

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 朝日に映える秀麗利尻富士。

これはもしかして、サロベツ原生花園で利尻富士をバックにした花の写真が撮れるかなと思い、もう一度サロベツ湿原センターへ行ってみた。

ここの駐車場とトイレは24時間開放されている。
車中泊するのならこっちの方が良かったかなと思うが、湿原の中だからねえ。
蚊が多そう。

期待して木道を湿原へ向かう。
ところが、ちょうど地平線の部分だけ雲が覆って、山は隠れてしまった。
なんて意地悪な雲。

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 サロベツ原生花園に着いたら利尻山は雲に覆われてしまった。

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 原生花園に現れたエゾシカ。

日が高くなれば雲は晴れるのではないか。ちょっとそんな期待をして、しばらく粘ることにした。

お湯を沸かして、カップ麺の朝食。

STVのライブカメラは礼文島に設置されたものがあって、ネットで見ることができる。
8時頃には礼文のライブカメラに利尻山の姿が映っている。
これはいけるかもとカメラを持ってまた湿原へ。

そこで30分くらい待つと、ようやく山の姿が現れた。
でも霞んで薄いシルエットしか見えない。

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 再び姿を現した利尻富士。辛うじて咲いていたエゾカンゾウと。

この時期でこれだけ晴れたんだから上出来じゃないか。
山の姿が完全に見えたのも一瞬だったようで、また雲で覆われだした。

さて、札幌へ戻るか。

また道道稚内天塩線を南下する。
再び天塩河口大橋を渡って天塩の町へ。
ここからは留萌総合振興局の管内となる。

天塩まで来ると、なぜか人里へ戻ってきたような気になる。

何だか見えない線があるんだよね。
北海道と樺太や大陸へ続く亜寒帯を区切る線。

これが内陸ルートやJRからだと雄信内のあたり、オホーツク海沿いだと浜頓別のあたりだと思う。
この線の向こう側へ行って戻ってくると、海外から戻ったような気分に陥る。

え?私だけですか・・・(^^;

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 19/07/14 | Comment(0) | 2019年その他旅行記
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